相田洋『橋と異人 境界の中国中世史』(研文選書、2009年9月)
この本、本来は「境界」や「異人」をキーワードとした中国民俗学に関する書なのですが、宿屋・茶館・侠女・鏢局など武侠物でお馴染みの要素がかなり盛り込まれているという点で要チェックなのであります。
特に面白かったのは鏢局の話。実は鏢局の歴史は意外と浅く、個人で依頼人を護衛する鏢客・鏢師が登場するのが清朝の康熙年間あたりからで、団体としての鏢局が登場するのが同治年間の前後とのこと。山西の票号の発達に伴って発展し、最盛期は清末。小説のように宮中の警備を請け負ったり、あるいは八カ国連合軍進駐の際、西安へと逃亡する西太后・光緒帝を護衛したとのこと。しかし1920年代には衰退してしまったと言いますから、随分と息の短い商売であります。
後は、哥老会や三合会といった秘密結社が茶館を経営していることが多く、メンバーは「茶碗陣」と呼ばれる独特の茶碗や茶壺の並べ方をマスターして意思疎通をしたり、茶館が喧嘩の仲裁の場ともなったという話が面白かったですね。そう言えば金庸の『鹿鼎記』でも酒店が似たような役割を担っていたりしてましたっけ。
この本、本来は「境界」や「異人」をキーワードとした中国民俗学に関する書なのですが、宿屋・茶館・侠女・鏢局など武侠物でお馴染みの要素がかなり盛り込まれているという点で要チェックなのであります。
特に面白かったのは鏢局の話。実は鏢局の歴史は意外と浅く、個人で依頼人を護衛する鏢客・鏢師が登場するのが清朝の康熙年間あたりからで、団体としての鏢局が登場するのが同治年間の前後とのこと。山西の票号の発達に伴って発展し、最盛期は清末。小説のように宮中の警備を請け負ったり、あるいは八カ国連合軍進駐の際、西安へと逃亡する西太后・光緒帝を護衛したとのこと。しかし1920年代には衰退してしまったと言いますから、随分と息の短い商売であります。
後は、哥老会や三合会といった秘密結社が茶館を経営していることが多く、メンバーは「茶碗陣」と呼ばれる独特の茶碗や茶壺の並べ方をマスターして意思疎通をしたり、茶館が喧嘩の仲裁の場ともなったという話が面白かったですね。そう言えば金庸の『鹿鼎記』でも酒店が似たような役割を担っていたりしてましたっけ。