岡本隆司『中国「反日」の源流』(講談社選書メチエ、2011年1月)
というわけで『中国「反日」の源流』、読了しました。全体の内容は、前にも書いたように中国での反日の源流を倭寇の時代から日中両国の社会構造の違いに着目して見ていくというものです。で、いくつもの例を挙げて日中双方の政治や社会のあり方を対比していき、日本と中国それぞれが異質な存在であることを浮かび上がらせていくという構造になっているのですが、個人的には日中の対比そのものが面白かったなあと。以下にその例を2、3挙げてみます。
○支配者と民衆との関係:支配者と民衆との距離がとても近いのが日本。はるかに遠いのが中国。
○「西洋の衝撃」に対して:危機感を抱いたのが日本。軽視したのが中国。
○お互いについて:鎖国下にあってもとにかく中国事情を知ろうとしたのが日本。「倭寇」のレッテルを貼ったまま日本の実情を知ろうとしなかったのが中国。
最後の項目に出て来る倭寇についてですが、結局明代に登場した日本=倭寇というイメージが以後も改められることはなく、この倭寇のイメージが登場した時代から現代に至るまで中国は基本的に反日なんだと著者は主張してますが、中国の歴史ドラマで倭寇との戦いが抗日のメタファーとなっている現状を鑑みると、この主張にもうなずけるものがあります。
最後に、本書の「エピローグ」で妙に納得した一節。
○中国の伝統的史学とは、言わば史実を材料としてイデオロギーを表明したものである。で、その時々の政治的な問題が歴史の見方として現れるのであって、決してその逆ではない。
まあ、そうだよな……
というわけで『中国「反日」の源流』、読了しました。全体の内容は、前にも書いたように中国での反日の源流を倭寇の時代から日中両国の社会構造の違いに着目して見ていくというものです。で、いくつもの例を挙げて日中双方の政治や社会のあり方を対比していき、日本と中国それぞれが異質な存在であることを浮かび上がらせていくという構造になっているのですが、個人的には日中の対比そのものが面白かったなあと。以下にその例を2、3挙げてみます。
○支配者と民衆との関係:支配者と民衆との距離がとても近いのが日本。はるかに遠いのが中国。
○「西洋の衝撃」に対して:危機感を抱いたのが日本。軽視したのが中国。
○お互いについて:鎖国下にあってもとにかく中国事情を知ろうとしたのが日本。「倭寇」のレッテルを貼ったまま日本の実情を知ろうとしなかったのが中国。
最後の項目に出て来る倭寇についてですが、結局明代に登場した日本=倭寇というイメージが以後も改められることはなく、この倭寇のイメージが登場した時代から現代に至るまで中国は基本的に反日なんだと著者は主張してますが、中国の歴史ドラマで倭寇との戦いが抗日のメタファーとなっている現状を鑑みると、この主張にもうなずけるものがあります。
最後に、本書の「エピローグ」で妙に納得した一節。
○中国の伝統的史学とは、言わば史実を材料としてイデオロギーを表明したものである。で、その時々の政治的な問題が歴史の見方として現れるのであって、決してその逆ではない。
まあ、そうだよな……