昨日は慶応大阪リバーサイドキャンパスで開催の「漢情研2010年度公開シンポジウム『電子出版の動向と諸問題』」に行ってました。既に師茂樹氏による実況まとめもアップされているので、今更内容をまとめる必要も無いかなと思いましたが、取り敢えず個人的に面白かったポイントだけを挙げておきます。
今回は田代真人氏が主に電子出版のビジネスとしての面、守岡知彦氏が技術面、石岡克俊氏が法的な面について発表されてました。この中ではアゴラブックス取締役として関わっておられる田代氏の話が最も面白かったかなと。
○出版には印刷・製本費以外の経費の占める割合が多く、電子書籍にしてみたところでそれほど安くなるわけではない。更に著者の印税を現行の10%から引き上げようとすると、紙の本と変わらない値段になってしまう。
○再販制と取次会社の存在を中核とする現在の日本の出版体制は、出版社のみならず著者の利益も守っている。現在の体制では出版した時点で取り敢えず初版部数分の印税が著者のもとに振り込まれるが、電子化によってそうした体制が崩れ、実売部数のみの印税となると、著述業で食べていくことは現在より更に困難になる。
○出版社を経由せず個人での出版が容易となると、書籍の質が現在より低下する恐れがある。これまで出版社に持ち込んで編集の判断で出版を断られていたような人も、ある程度の資金があればドンドンと電子書籍を出してくるだろう。あるいはインディーズ出版がどんどん出て来れば面白い状況になるかもしれない。→電子出版は同人作家とトンデモさんにとってビッグチャンス!というとこか(^^;)
○電子書籍は、学術書の出版に限ってみれば、著者による出版費用の負担がはるかに軽くなり、メリットが大きい。著者が自分でDTPソフトが扱えればなお良し。
○電子書籍に参入する企業の中では、Googleの立ち位置がやや特殊。これは創業者2人が元々スタンフォード大学の図書館に所属しており、効率的な図書館の蔵書検索が事業の起点となったことに関係。
全体的に編集者の役割を強調する論調になってましたね。出版において編集者が本当に必要なのかどうかは、発表の中にもあったように1つの本を編集者が介在したバージョンとしないバージョン(いわばディレクターズ・カット?)の両方を出してみて読者の反応を見るしかないんでしょうけど。あと、電子書籍を安くするには出版社の社員の給料を半額にするしかないなんて話も出てましたが、実際は全社員の給料を半額にするかわりに、給料はそのままで社員の数を半分にするという方策に出そうな悪寒が……
石岡氏の発表ではAppleの検閲問題が話題に挙がってましたが、これは現在のようにAmazonなどの有力な対抗馬が市場に存在し、それらがカルテルなどを結んで結託しない限りは、一企業の方針ということで何の問題もないとのこと。
個人的なツボとしてはこんな所でしょうか。あと、参加者のi-pad、i-phoneの所有率の高さは異常(^^;) i-pad は電子書籍の端末としては大きすぎるかなと思ってましたが、実物を見てみると横画面にして見開きの状態で読むには丁度いい大きさですね。
今回は田代真人氏が主に電子出版のビジネスとしての面、守岡知彦氏が技術面、石岡克俊氏が法的な面について発表されてました。この中ではアゴラブックス取締役として関わっておられる田代氏の話が最も面白かったかなと。
○出版には印刷・製本費以外の経費の占める割合が多く、電子書籍にしてみたところでそれほど安くなるわけではない。更に著者の印税を現行の10%から引き上げようとすると、紙の本と変わらない値段になってしまう。
○再販制と取次会社の存在を中核とする現在の日本の出版体制は、出版社のみならず著者の利益も守っている。現在の体制では出版した時点で取り敢えず初版部数分の印税が著者のもとに振り込まれるが、電子化によってそうした体制が崩れ、実売部数のみの印税となると、著述業で食べていくことは現在より更に困難になる。
○出版社を経由せず個人での出版が容易となると、書籍の質が現在より低下する恐れがある。これまで出版社に持ち込んで編集の判断で出版を断られていたような人も、ある程度の資金があればドンドンと電子書籍を出してくるだろう。あるいはインディーズ出版がどんどん出て来れば面白い状況になるかもしれない。→電子出版は同人作家とトンデモさんにとってビッグチャンス!というとこか(^^;)
○電子書籍は、学術書の出版に限ってみれば、著者による出版費用の負担がはるかに軽くなり、メリットが大きい。著者が自分でDTPソフトが扱えればなお良し。
○電子書籍に参入する企業の中では、Googleの立ち位置がやや特殊。これは創業者2人が元々スタンフォード大学の図書館に所属しており、効率的な図書館の蔵書検索が事業の起点となったことに関係。
全体的に編集者の役割を強調する論調になってましたね。出版において編集者が本当に必要なのかどうかは、発表の中にもあったように1つの本を編集者が介在したバージョンとしないバージョン(いわばディレクターズ・カット?)の両方を出してみて読者の反応を見るしかないんでしょうけど。あと、電子書籍を安くするには出版社の社員の給料を半額にするしかないなんて話も出てましたが、実際は全社員の給料を半額にするかわりに、給料はそのままで社員の数を半分にするという方策に出そうな悪寒が……
石岡氏の発表ではAppleの検閲問題が話題に挙がってましたが、これは現在のようにAmazonなどの有力な対抗馬が市場に存在し、それらがカルテルなどを結んで結託しない限りは、一企業の方針ということで何の問題もないとのこと。
個人的なツボとしてはこんな所でしょうか。あと、参加者のi-pad、i-phoneの所有率の高さは異常(^^;) i-pad は電子書籍の端末としては大きすぎるかなと思ってましたが、実物を見てみると横画面にして見開きの状態で読むには丁度いい大きさですね。
こないだの一時帰日では、雑誌『MacFan』』が、
『iPadFan』ちゅな本まで作って売ってるん見ました。
台湾では、無いんですわ!iPad自体。
なんか、おもろい和書や中文書が流通してきたら、
また教えてつかあさいませww
ありゃりゃ、台湾ではまだ売ってないんですか…… 中文書ですが、既に基本的な漢籍なら読める状態とか、金庸の小説がアップされているらしいとか、色々漏れ聞こえてきております(^^;)