魔道祖師 4 (ダリアシリーズユニ)の感想
これまでの巻は比較的抑えめだったが、最終巻で一気に箍が外れた感じ。個人的には、濃厚な描写は日本の歴史・時代物によくあるエロ描写と同様に興醒め感がある。これを全年齢向けに丸めたドラマ版は偉いと思った。
読了日:08月03日 著者:墨香銅臭
日韓関係史 (岩波新書 新赤版 1886)の感想
戦後の両国の関係を中心に、非対称の関係からの日韓癒着、そして現在の対称の関係からの相互不信の状態に至るまでの展開を描く。韓国においては軍事政権からの民主化が日韓関係の変化に対しても大きな意味を持っていたのだなと再認識。日韓のすれ違いの状況と背景を対比的にまとめている。よくネタにされる1950年代の北朝鮮による在日コリアン帰還事業の時代背景についても言及がある。
読了日:08月06日 著者:木宮 正史
挑発する少女小説 (河出新書)の感想
小公女、ハイジ、赤毛のアン、若草物語等々、古典的な少女小説も読み方次第で新たな気付きがある。受け身の姿勢に徹したように思っていた小公女セーラが意外に自分の力で運命を切り開いていたり、赤毛のアンに就活小説としての側面が見出せたり、予定調和の終わり方と思われたあしながおじさんも続編を込みで見ればジュディの真の計画を想像できたりと、分析が面白い。
読了日:08月08日 著者:斎藤美奈子
佐藤春夫中国見聞録-星/南方紀行 (中公文庫 さ 80-2)の感想
佐藤春夫の中国紀行文および関連の小説、雑文等を収録。特に厦門旅行記に関しては芥川龍之介のものと比べるとわかりやすい面白さはない。作品の価値や背景については解説に詳しく触れられているので、先に目を通した方が良い。小説の「星」は現地人から聞いた話をもとに膨らませたものということだが、単なる才子佳人物と見せかけて思わぬ方向に話が広がっていく。
読了日:08月11日 著者:佐藤 春夫
異文化コミュニケーション学 (岩波新書 新赤版 1887)の感想
韓国ドラマを中心に見る異文化コミュニケーション。異文化コミュニケーションというのは一般的にイメージされる外国人とのコミュニケーションだけでなく、科学コミュナケーション、ビジネス・コミュニケーション、ジェンダー・コミュニケーションなど広範なものである。異文化コミュニケーションの概説書としても韓国ドラマ入門としても面白い。
読了日:08月13日 著者:鳥飼 玖美子
反日: 東アジアにおける感情の政治の感想
国内政治・国際政治よりは、中国・韓国・台湾の映画作品などから、それぞれの「反日主義」「親日主義」の表象を見出していく。両者をそれぞれの国民性・民族性と結びつけるのではなく、日本の植民地主義からの脱却の失敗や、我々日本社会の徹底的な無知と関連付けて議論している。エピローグに示された和解、そして和解のための対話への道筋は、私にとってはそうあるべきものだが、「普通の日本人」にとっては反発を覚えるものだろう。
読了日:08月16日 著者:レオ・チン
今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)の感想
今までそれほど注目されることのなかった天竺、震旦の部の説話も訳出しているが、なぜ注目されてこなかったのかという理由が透けて見える悲しいことになってしまった。訳注のつけ方に若干の不安を覚えたが、巻末の解説は案外としっかりしている。
読了日:08月20日 著者:作者未詳
ある地方官吏の生涯――木簡が語る中国古代人の日常生活 (京大人文研東方学叢書)の感想
睡虎地秦簡『編年記』を取っかかりに、戦国末~秦の時代の人々のゆりかごから墓場までを語る。人々の生活史を同時代、あるいは前後の時代の史料で肉付けしていくという手法が面白い。
読了日:08月23日 著者:宮宅 潔
刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機 (中公新書, 2655)の感想
刀伊の入寇について、当時の国際状況、外交、国防、軍制、戦いの経過、戦った武者たちの内実等々総合的な解説となっている。肝心の刀伊とは何者かについてもう少し詳しく知りたいと思ったが…… また将門の乱などの鎮圧で活躍した者たちの子孫が軍事貴族として定着していく中で、藤原隆家の子孫がそうならなかったのは少々不思議な気がする。
読了日:08月24日 著者:関 幸彦
シルクロードとローマ帝国の興亡 (文春新書 1326)の感想
ローマ帝国の経済的繁栄を支えていたのはシルクロード交易による関税だったということで、シルクロード(本書で問題にしているのはその中でも海のシルクロード)交易の盛衰とローマ帝国の盛衰を結びつけた書。時節柄パンデミックの話題も出てくる。西ローマ帝国の滅亡と東ローマ帝国の存続もシルクロード交易が関係しているということで、話が少々出来すぎという気もするが……
読了日:08月25日 著者:井上 文則
遊牧の人類史: 構造とその起源の感想
著者の研究の総決算的な書。『遊牧の世界』と内容的に重なる部分が多い。牧畜、農耕より遊牧が先行する、乗馬の技術の起源は子供の遊びからといった議論が刺激的。
読了日:08月30日 著者:松原 正毅
これまでの巻は比較的抑えめだったが、最終巻で一気に箍が外れた感じ。個人的には、濃厚な描写は日本の歴史・時代物によくあるエロ描写と同様に興醒め感がある。これを全年齢向けに丸めたドラマ版は偉いと思った。
読了日:08月03日 著者:墨香銅臭
日韓関係史 (岩波新書 新赤版 1886)の感想
戦後の両国の関係を中心に、非対称の関係からの日韓癒着、そして現在の対称の関係からの相互不信の状態に至るまでの展開を描く。韓国においては軍事政権からの民主化が日韓関係の変化に対しても大きな意味を持っていたのだなと再認識。日韓のすれ違いの状況と背景を対比的にまとめている。よくネタにされる1950年代の北朝鮮による在日コリアン帰還事業の時代背景についても言及がある。
読了日:08月06日 著者:木宮 正史
挑発する少女小説 (河出新書)の感想
小公女、ハイジ、赤毛のアン、若草物語等々、古典的な少女小説も読み方次第で新たな気付きがある。受け身の姿勢に徹したように思っていた小公女セーラが意外に自分の力で運命を切り開いていたり、赤毛のアンに就活小説としての側面が見出せたり、予定調和の終わり方と思われたあしながおじさんも続編を込みで見ればジュディの真の計画を想像できたりと、分析が面白い。
読了日:08月08日 著者:斎藤美奈子
佐藤春夫中国見聞録-星/南方紀行 (中公文庫 さ 80-2)の感想
佐藤春夫の中国紀行文および関連の小説、雑文等を収録。特に厦門旅行記に関しては芥川龍之介のものと比べるとわかりやすい面白さはない。作品の価値や背景については解説に詳しく触れられているので、先に目を通した方が良い。小説の「星」は現地人から聞いた話をもとに膨らませたものということだが、単なる才子佳人物と見せかけて思わぬ方向に話が広がっていく。
読了日:08月11日 著者:佐藤 春夫
異文化コミュニケーション学 (岩波新書 新赤版 1887)の感想
韓国ドラマを中心に見る異文化コミュニケーション。異文化コミュニケーションというのは一般的にイメージされる外国人とのコミュニケーションだけでなく、科学コミュナケーション、ビジネス・コミュニケーション、ジェンダー・コミュニケーションなど広範なものである。異文化コミュニケーションの概説書としても韓国ドラマ入門としても面白い。
読了日:08月13日 著者:鳥飼 玖美子
反日: 東アジアにおける感情の政治の感想
国内政治・国際政治よりは、中国・韓国・台湾の映画作品などから、それぞれの「反日主義」「親日主義」の表象を見出していく。両者をそれぞれの国民性・民族性と結びつけるのではなく、日本の植民地主義からの脱却の失敗や、我々日本社会の徹底的な無知と関連付けて議論している。エピローグに示された和解、そして和解のための対話への道筋は、私にとってはそうあるべきものだが、「普通の日本人」にとっては反発を覚えるものだろう。
読了日:08月16日 著者:レオ・チン
今昔物語集 (光文社古典新訳文庫 Aン 2-1)の感想
今までそれほど注目されることのなかった天竺、震旦の部の説話も訳出しているが、なぜ注目されてこなかったのかという理由が透けて見える悲しいことになってしまった。訳注のつけ方に若干の不安を覚えたが、巻末の解説は案外としっかりしている。
読了日:08月20日 著者:作者未詳
ある地方官吏の生涯――木簡が語る中国古代人の日常生活 (京大人文研東方学叢書)の感想
睡虎地秦簡『編年記』を取っかかりに、戦国末~秦の時代の人々のゆりかごから墓場までを語る。人々の生活史を同時代、あるいは前後の時代の史料で肉付けしていくという手法が面白い。
読了日:08月23日 著者:宮宅 潔
刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機 (中公新書, 2655)の感想
刀伊の入寇について、当時の国際状況、外交、国防、軍制、戦いの経過、戦った武者たちの内実等々総合的な解説となっている。肝心の刀伊とは何者かについてもう少し詳しく知りたいと思ったが…… また将門の乱などの鎮圧で活躍した者たちの子孫が軍事貴族として定着していく中で、藤原隆家の子孫がそうならなかったのは少々不思議な気がする。
読了日:08月24日 著者:関 幸彦
シルクロードとローマ帝国の興亡 (文春新書 1326)の感想
ローマ帝国の経済的繁栄を支えていたのはシルクロード交易による関税だったということで、シルクロード(本書で問題にしているのはその中でも海のシルクロード)交易の盛衰とローマ帝国の盛衰を結びつけた書。時節柄パンデミックの話題も出てくる。西ローマ帝国の滅亡と東ローマ帝国の存続もシルクロード交易が関係しているということで、話が少々出来すぎという気もするが……
読了日:08月25日 著者:井上 文則
遊牧の人類史: 構造とその起源の感想
著者の研究の総決算的な書。『遊牧の世界』と内容的に重なる部分が多い。牧畜、農耕より遊牧が先行する、乗馬の技術の起源は子供の遊びからといった議論が刺激的。
読了日:08月30日 著者:松原 正毅
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