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見えないものを見る 感じたことを写真と文章でつづる暮らしと自然のフォト日記

何年後かの日本昔話

2014-01-23 16:00:00 | フォト日記

             
あるところに 息子夫婦と一緒に暮らしているおばあさんと
息子は街に出て行ってしまい独り暮らしのおばあさんがいました

その ふたりのおばあさんも高齢になり 自分のことがわからなくなり
町の医者さんに認知症と診断され介護が必要になりました

いっしょに暮らす息子夫婦は懸命に面倒を見ていましたが
夜も寝れないためにすっかり疲れ果ててしまいます

家族がくたばってしまうのでは仕方ないと相談した結果
老人介護施設に入ってもらおうと言うことになりました

ところが この国では同居している老人は安価な施設には入ることができず
同じような施設に入るにはお金をいっぱい積まなければなりません

施設に入れば家族の健康は保たれるが 負担できる金額ではない
と途方に暮れてしまいました

一方 街の息子は そろそろ親孝行しようと おばあさんを引き取ろうと考えたり
田舎に帰りいっしょに暮らそうかとも考えましたが いまの生活を変えることは大変なことで

どうしても躊躇してしまい 親の面倒を見ることはできなくて やはり困っていました
それを聞いたお国の偉い人は それでは独り暮らしの おばあさんがかわいそうだ 

すぐに町の施設に入居してもらいましようと言うことになりました
おかげで おばあさんは暖かな部屋で大勢の仲間と暮らし楽しそうです

息子に金銭的な負担はなにもなく いままで通りの生活は保障され 大喜びです
何年も払い続けている介護保険制度では同居以外は家族とみなさないからです

いっしょに暮らし面倒を見ていた息子は 高額な施設料を払うか
寒い家で目も離せず 老人と暮らし続けてなくてはなりません 

しかも介護している息子もされている親も保険料は払い続けるのです
それは施設で暖かく暮らす老人に使われるのですからやりきれません

そこで田舎の息子はひらめいた ばあさん独り残してよそに引っ越そう
そしたら町の施設に入れるかもしれないと

そして いま老人と同居している人は早く家を出るか老人を追い出せと
それを人にすすめるようになり やがて全国行脚し善人になりましたとさ どんとばれ

という何年後かの日本昔話 この話はフィクションです

メモ
介護保険を使って 安価な特別養護老人施設に入居するには得点が必要で120点の満点に近い順に入居となる その得点は介護度により異なるが 独居老人は70点加算され 同居は10点だけ 同市内の施設入所は割増20点 介護度が5段階にわけられて1から5まで それぞれ10点15点30点40点50点 と介護度によって上がる
たとえば介護度3とすれば30点となる それに市内20点同居10点加算されても合計でも60点しかないので いつまで待っても入居の順番はまわって来ないことになる 独居老人だとそれが120点になるので入居の可能性は一挙に上がる