生前ご縁のあった
津村喬さん。
私が津村さんの文章を紹介させてほしいと
ご連絡すると
いつも
「どうぞどうぞいつでも使って広めてください」
といってくださったので、
たまに
ご紹介させていただいています。
今回はこれ。
「樹林気功のために」
よい時刻を選ぶということ
中国の伝統的な考え方によれば、人間の気も環境の気も時間の推移にしたがって変化して行くので、気功も季節や時刻によって意味が変わってくる。
ひとつの説では、樹木との対話にもっともよい時刻は日の出前と日没後のわずかの薄明記である。
このころには樹木の気が人間にもっとも受け取りやすいように地表に平行に流れるというのだ。
もし午後の日が高いころだったらどうだろうか。
そういう時に木によりかかってぼんやりしていたら背中の気は急速に上昇して、逆上せたり気分が悪くなるかも知れない。
そういうときは気から少し離れたところで、木に向かい合って、上空からのシャワーを浴びるのがいいのだ。
明け方や黄昏のころの気功の気持ちよさは何物にも代えがたいほどのものであるので、こうした説にうなずく人は少なくないだろう。
別の説によれば、気功がもっとも体によい影響を与えるのは午前零時と正午である。
体験してみたことのある人なら午前零時から一時までの森の気がとてもやさしく、昼間はけっして見せてくれないほどの暖かい気にあふれていることを知っているだろう。
結局森で寝て、夜中にもし、明け方にもするという体験をする以外にこの両方を満足させることはできないかも知れない。
ほかの時刻が無意味ということではないが、一歩突っ込んだ体験の手がかりがここにあるということだ。
木の種類を選ぶ
ひとつひとつの木は違う個性を持っている。
松は暖かくやさしいと誰もがいう。
しかし柳の木の下で気功をして気持ちのいいのは、熱症で高血圧の人に限られるだろう。
杉は疱瘡を治し、樺は黄疸を治療するなどの具体的治療効果もある。
それは薬として飲んでもいいが、それのあるところでやるように指定された気功も少なくない。
ガン治療で有名な郭林新気功の場合も歩く気功に樹木療法を応用している。
中国でよく使われる柏はコノテガシワで、ヒノキや杉に近い細い葉のものである。
一方でそうした分析的な森とのかかわりを確かめ、楽しんでみてもいい。
だが、それを気にせずに、森の木全体を受け入れるのであってもいい。