2022/02/19
カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した映画「ドライブ・マイ・カー」を見てきました。
この映画は最近、アカデミー賞の作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚色賞の4部門にもノミネートされましたね。
3時間の長さでしたが、最後まで興味が尽きず、惹き込まれました。
村上春樹の短編集『女のいない男たち』の中の「ドライブ・マイ・カー」は短い作品だそうです。
この短編集は読んでいませんが、それを膨らませて1つの映画としてつくり上げた脚本の力は、3時間を飽きさせずに惹きこむというところにも表れているのかもしれません。
多くの比喩的な表現、伏線があり、あのことはこれだったのかと推測しなが見ていました。
チェーホフの劇「ワーニャ伯父さん」を多言語で演じる演劇舞台が出てきます。
韓国、中国、台湾など東アジアの俳優が出てきます。手話の俳優もいます。
そんな演劇の方法があるんだと、とても斬新でしたね。
言葉を語るとは、意思を伝えるとはどういうことなのか。
それをもう一度、多言語演劇で問い直すことと解釈したんですが‥。
主人公・家福(西島秀俊)は俳優であり、演出家でもあります。
私たちが日常でも人を傷つけないように、あるいは自分の心が傷つかないように無意識に演じている部分があります。
それに気づき、家福やドライバーのみさき(三浦透子)が再生していく物語と見ました(簡単に言ってしまえばですが)。
1度見ただけでは解釈しきれないほど、様々なものが詰め込まれた作品でした。
画面が大きいと臨場感が素晴らしいですね。
体ごとどこかに持って行かれてしまうような感覚がありました。
視点として、高いところからの俯瞰や、右から左に視点がズーと移動するときには、自分の椅子ごと身体が動いているような感覚を覚えます。
車が、まっすぐ目の前の道を進んでいくときは、自分が運転しているような気分になるのです。カメラワークが素晴らしいのです。
また音の表現もよくて、車のエンジン音、バーで他の客の小声の会話など、自分もその場に居合わせているかのような臨場感です。
見終わった後は、遠いどこかに旅に行ってきたような気分になったのでした。
村上春樹の原作