2021/12/05
私がリトミックにふれてから
30年以上になります。
今さら「リトミックとは何か」とは
おかしいようですが
先週、仕事にも関連する講座に参加させていただいて
初心にかえって「リトミックって何だろう」と
考えることがありました。
受講した講座はよく工夫されていて
参考にしたい点もたくさんありました。
講師の先生にも感謝申し上げたいと思います。
私がリトミックを習い始めた最初の数年は
「リトミックって何ですか？」と聞かれても
うまく答えることができませんでした。
「音楽を使って、体を動かして・・・」
「じゃあ、体操のようなもの？」
「体操ではないですね」
「では、ダンスですか？」
「ダンスでもありませんね」
「リトミックって椅子取りゲームのようなことやるみたいよ」
何のためにやるものなのか
うまく言えなかったのです。
つまりはよく理解できていなかったのですね。
体は動かすけれど
動くことが目的ではないと私にもわかりました。
やっていることは
拍とか、拍子を取るとか
歌うとか、和音の勉強とか
ピアノで動きの伴奏をすることも
学びました。
いってみれば音楽の授業でした。
体操やダンスは
体を動かすこと、体で表現すること
それ自体が目的だと思います。
きっと音楽は主体ではありませんね。
リトミックは音楽を知ることが目的なのです。
音楽をより深く理解するために
体を使ってみる。
音感、リズム感をよくするために
からだと耳の訓練をする。
しかし、音楽を知ることだけが目的ではない
ともいわれました。
音楽を手段としているが
自分の考え方を知ること
自分の反応の仕方を知ること
情操を開発すること
感覚を鋭敏にすること
心と身体を調和させるのが目的なのです。
これはダルクローズ自身が著作に書いています。
「人間教育」が最終的な目標
といったらいいのかもしれません。
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リトミック論文集 リズムと音楽と教育 エミールジャック=ダルクローズ
エミール ジャック ダルクローズ
全音楽譜出版社
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「人間教育」が最終の目標というと
目標が大きすぎて
どうしたらいいかわからないくらいです。
私が習っていたときには
幼児向けの音楽教育の初歩の方法として
学んだ部分が多かったので
人間教育か、音楽教育か
目標がしぼれずに
最初は「リトミックとは何か」ときかれても
うまく言えなかったのですね。
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リトミック論文集 リトミック芸術と教育
ダルクローズ
全音楽譜出版社
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習い始めた当初、教えてくださった先生が
「ひとくちにリトミックといっても、いろいろなものがあります」
とおっしゃいました。
例えば、カウンセリングといっても
心理学の療法から
お肌の状態を訊いて
最適な化粧品を勧めるのも
カウンセリングと言ったりします。
リトミックも大正期に日本に入って来た時に
それを紹介した人の専門分野によって
ざっくりいえば音楽系、舞踊系がありました。
私の学んだのは音楽系ですが
音楽系の中にもいくつもの流派があるのです。
ジャック＝ダルクローズが創始したものに
基づいているので
解釈に差があれど大差はないと思います。
舞踊系のリトミックは
私の知るところでは
昭和初期に体育教師の天野蝶が
パリのリトミック学校で学び
日本に紹介した天野式リトミックが有名です。
こちらはリズム体操と
いわれるものだと思います。
音楽系リトミックが音楽の要素
例えば、リズム、メロディ、ハーモニーなどを
学ぶのに対して
舞踊系リトミックは
ダンスの振りつけのための動きの基礎を
学ぶのだと思います。
私自身は天野式リトミックは
講習会で1度しか経験したことがないので
詳しいことは言えません。
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ダルクローズのリトミック (リトミック教育のための原理と指針)
エリザベス バンドゥレスパー
ドレミ楽譜出版社
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それで、最初の「リトミックとは何か」に
戻りますが
日本では今のところ、リトミックというと
音楽教育の初歩という捉え方が多いようです。
海外のリトミック学校では
ダンスやバレエの基礎訓練としての
意味合いが強いようで
ダンサーの方たちが学びに来ると聞きました。
吉田都さんや反田恭平さんは
幼い頃、リトミックを習っていたと聞いて
それがとてもうれしいです。
また角野隼斗さんのお母さま
角野美智子さんも
ピアノ教室と、数年前から
リトミック教室もなさっているそうです。
これもうれしいことですね。
リトミックが単に音符やドレミを
学ぶだけではなくて
自分を表現する方法をいくつも見つけること
音楽は楽しいと知ること
表現の楽しさを経験することが
ほんとうはもっと大切なのではと思います
リトミックを学んで
才能溢れる人がたくさん出てくると
いいなと思います
