顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

震災後4年目の春

2015年04月24日 | 散歩
震度6弱に襲われたこの地域も4年経ち、屋根、塀などの破損もほぼ修復され、一部道路に波うちの状態がかすかに残っている程度になりました。まだ他地区では、復興途中のところも多数ありますので、一日も早い生活の取戻しを願うばかりです。

散歩の途中、地区の共同墓地の入り口に石の像があり、震災で破損したのでしょうか、頭の部分が補修されているのを見つけました。杖をもっている立像なので、弘法太子かと思いますが、その顔が何とも愛嬌があって親しみやすくて気になっておりました。多分地区の器用な人が、モルタルで作ったと思いますが、平穏を願う気持ちが表われている傑作だと思います。




 
その近くには、水戸市災害時生活用水協力井戸という看板のある湧水が出ています。震災時、我が家の水道は一週間止まり、通常何気なく恩恵に浴していた水道の有難さが身に沁みました。飲料水は購入したり、近くのお寺の湧水を頂いたりでしのぎましたが、困ったのはトイレの水、これは長柄杓でため池の水を汲んでバケツに入れ、車でそろそろ運んで処理しました。
水戸市では、これを機に災害時に協力してもらえる市内で約350箇所の湧水を登録、その情報を広報しており、この湧水は直径7センチくらいの管から絶えずきれいな水が湧き出しています。協力湧水は14項目の水質検査はしましたが、飲料以外とされています。試しに口に含んでみると、まろやかな感じがしました。
この湧水の流れていく湿地にはセリが、それも良質なのが生えており、今年の七草粥の時には美味しくいただきました。





大串貝塚ふれあい公園の花見

2015年04月17日 | 季節の花


4月6日、グラウンドゴルフ例会で3ラウンドプレーの後、全員で近くの大串ふれあい公園で花見を楽しみました。ここは国指定史跡の大串貝塚を主体にした公園で、今から約5000年前の縄文時代の私たちの祖先の生活跡が残っています。

いわゆる縄文海進で高台突端のこの辺まで海が押し寄せてきて、貝塚ではヤマトシジミを主体にハマグリ、カキなどの貝類のほかにクロダイ、スズキなどの骨もみられるようです。もっともさらに西の千波湖周辺でも海進の跡の柳崎貝塚があり、ここは現在の海岸線から13キロ離れ、海抜20メートルなので、当時相当の部分が海に浸食されていたということです。いま騒がれている地球温暖化の影響で、北極の氷が融け、また海進が心配されますが、30世紀頃の話なので、その頃には現在では考えられないような地球になっていることでしょう。

さて、今年は開花後の気温が低かったせいか、長い間花を楽しめましたが、当日の桜も満開、平日とあって人もまばらで、ゆっくりと楽しめました。ここには約80数本の桜があるので、隠れた花見スポットといえるかもしれません。



公園内にあるダイダラボウ像は、高さ約15メートル、東の太平洋に向かって手を伸ばしています。常陸国風土記に出てくる巨人伝説によると、「大昔、丘の上にいながら手をのばして海辺の蛤を掘り出して取った巨人がおり、その巨人が食べた貝が積もって丘になった。今では大櫛の丘という。その巨人の足跡は長さ約72メートル。」の記述があります。

桜咲く広場に背を向けて、静かに海を眺めている巨人は、また海が近付いてくる日を待っているのでしょうか。




梅の旗弁

2015年04月01日 | 水戸の観光
今年の梅まつりも3月末で終わりました。今年は偕楽園と弘道館に23日もボランティアで出掛けましたが、 期間中の前半は、週末の天気が悪く、客数が伸びなかったようなので、後半の好天気で盛り返したかどうか 心配なところです。

梅花の咲き具合は大体平年並みで、水戸の六名木「江南所無」などのアンズ系もいつものように、お彼岸く らいには咲きそろいました。いろんな梅を眺めて40日、今年は特に旗弁(きべん、はたべん)という花の 中の面白い現象を見てみました。
旗弁とは通常マメ科などの花弁の中で一番上の目立った花弁のことで、旗を立てているようにして虫を呼び 寄せる役目をします。ところが、梅の花では五枚の花弁の根元から散開する雄蕊の花糸の先に花弁が出てき たものを、旗弁といいます。この現象は、桜、椿など他の樹木にもみられるようですが、観察してみると多 くの梅花にこの旗弁が見られ、面白い現象なので写真に撮ってみました。

「紅千鳥」という品種の梅は、この現象をみた江戸時代の粋人が、千鳥が飛んでいる様子に例えて命名した とか、残念ながら偕楽園の「紅千鳥」は、背が高く近接撮影はできませんでした。どうしてこのような現象が 起こるのか、花弁を増やして八重になろうというのか、雄蕊が花弁に出世しようとしているのか、さらに虫を 呼ぼうとしているのか、答えは分かりませんが、いずれにしても自然の仕組みは奥深く、小さな花にも生命の 神秘を見る思いがします。