毎年萩まつりが行われる9月の偕楽園は、緊急事態宣言と茨城県非常事態宣言を受けて、萩まつり期間中(9月13日~26日)を含めて30日まで休園になっていました。
嬉しいことに感染者の減少傾向が見られ、県の非常事態宣言も解除されて、9月20日から開園できましたので、なんとか散り際の萩を見ることができました
偕楽園の見晴らし広場には、萩の大きな樹叢が150群あり、園創設の天保13年(1842)に伊達藩からいただいたというミヤギノハギ(宮城野萩)や、ヤマハギ(山萩)、シラハギ(白萩)などが咲き乱れて、春の梅花とはまた違った情景を見せてくれます。
ところで万葉集で一番詠まれた花は萩の花で、142首もあり、しかも第2位は梅の花の119首です。今から1300年以上前の先人たちの感性に驚きながらも、その2つの花を偕楽園のシンボルとした水戸藩9代藩主斉昭公の見識にも感嘆せざるを得ません。
秋萩の咲き散る野辺の夕露に 濡れつつ来ませ 夜は更けぬとも (作者不詳)
わがやどに咲きし秋萩散りすぎて 実になるまでに 君に逢はぬかも (作者不詳)
この萩は、秋の終わりにすべて地上部分は刈り取られます。刈り取った枝は園内の萩垣(柴垣)になり、また来園者の目を楽しませてくれています。和風庭園の垣根とし珍重される萩垣、その希少な材料がここでは豊富に調達できるからです。
園内の好文亭は休館中ですが、緊急事態宣言が解除されることが決まりましたので、10月1日より開館されます。
百日紅が満開の好文亭は外から眺めるしかありません。左手の二層三階の好文亭では、斉昭公が文人墨客や家臣、領民を招き、養老や詩歌の宴を催しました。右手の奥御殿は奥方や女中衆のお休みどころで、襖絵の植物の名の付いた10室からなります。
昨年から入園が有料になった偕楽園の料金所は4か所ありますが、閑散期には東門、表門以外は閉まっている所もありますので注意が必要です。
表門の十月桜はほんの数輪を探すのがやっとでした。
今年はなぜか元気がないような?二季桜です。
マントに高下駄、右手にコンサイスの辞書と文科理科を象徴する二冊の本を抱えた、旧制水戸高校生の立像「向学立志の像」も萩に囲まれていました。