老木の多い偕楽園では、なぜ梅の木はねじれるのかと聞かれることがあります。梅に限らず他の樹木でも見られる現象ですが、梅ほどではありません。
梅の木は樹齢が80年くらいを超えると幹にスジが目立ち始め、だんだんと右巻きに(根元から先端に時計回りに)ねじれてくるようです。もちろん個体差もありますし、たまには天邪鬼の左巻きもあるようです。
この原因について、いろいろ調べてもまだ確立してはいないようですが、偕楽園の梅樹の専門職員の意見では、木の成長のため細胞増殖を繰り返している形成層(芯材と樹皮の間)の細胞が斜めに位置していてねじれができ、年数の経過によりスジが強調されるのではということです。同じような見解が、偕楽園の梅に詳しいブログ「庭の花たちと野の花散策記」にも書かれていました。
なお、ねじれがほとんど右巻きなのも、地球の自転、コリオリの法則とか枝が太陽を追いかけるとかいろんな理由が述べられており確立した見解はないようです。
また、176年前の偕楽園開園当初の梅の古木は何本か残っている…、ほとんど無い…と、これも意見が別れるところですので、DNA鑑定でもするしかありません。
しかし、仙人の分身のような「ネジレ幹」は鑑賞対象にもなりますし、偕楽園のみどころの一つでもあります。推定樹齢100年以上の風格や古さが感じられる老梅の雅称、「鉄幹」や空洞の「ウロ幹」、芯が白骨化した「舎利幹」、表皮が朽ちた「サバ幹」など、花のない時期でも眺められる年月を経た古木たちは、偕楽園の大きな魅力です。
梅が香にむせてこほるゝ涙かな 正岡子規
屏風絵に見紛ふごとし梅古木 早崎泰江
梅古木皮一枚の命かな 顎髭仙人