茨城県では、コロナ感染者増加が収まらず「まん延防止等重点措置」が3月6日まで延長になり、水戸の梅まつりの開催もまた日延べになってしまいました。皮肉にも、今年は梅の開花も遅れていて満開は3月10日くらいになるかもしれません。
そういうことで掲載の写真はすべて以前のもので、今の状況ではありません。2月21日発表の偕楽園の開花情報は約18%(昨年同時期は約47%)です。
さて偕楽園の梅の種類と本数は、いたって流動的なものなので、通常大まかに100種、3000本というのが公式数字です。
水戸藩9代藩主徳川斉昭公が天保13年(1842)に開設の当初は200種、1万本ともいわれていますが、明治になってから常磐神社の創設などによる敷地の縮小、そして水戸空襲の被災、その後の管理不十分により減衰していたものが、やっと回復してきた昨今でした。
そんな機運の中で、日本一の梅林を目指そうと、「偕楽園公園を愛する市民の会」が平成18年(2006)から始めた「平成梅林整備事業」により402種、920本の梅の苗木が集まり、好文橋近くの苗畑A、B、C、D、Eで園内への移植を待っていました。
ところが平成21年(2009)に、青梅市でPPV(プラムポックスウイルス)という梅のウイルスの感染が発見され(青梅梅林では全部焼却)、青梅から移植の苗木もあるこの苗畑でも数本の感染が確認され、経過観察を重ねた結果、平成25年(2013)までに全部の苗木を抜根焼却する苦渋の決断せざるを得なくなりました。
その後の調査では偕楽園本園の感染は確認されず、苗畑の段階で本園や周辺への感染を防げたということは不幸中の幸いでした。焼却リストの中に珍しい名前の梅を見ると残念でたまりませんが…
現在ではこの教訓から梅の苗の増殖は原則として園内の母樹からの採取で、他方からの苗木は隔離状態で2年以上様子を見て感染の有無を調べてから移植するということを聞きました。
そして2019年の春には、焼却処分をした苗畑を復活させ、梅品種の見本園として花梅、実梅、枝垂れ梅220種が元のA、B、Cの3圃場に植えられました。今では番号札付きの梅がしっかり根付き花も咲き始めたので、本園への移植が進む今後の展開が楽しみになってきました。
見本園に掲げられていた説明書きです。
さらに本園内の苗木畑でも、従来からある偕楽園の種の保存が進んでいますので、由来がしっかりして、品種の特徴をより確実に有した後継種の拡充を期待したいと思います。
本園内の苗木畑の案内版です。
現在、偕楽園公園センターのホームページの写真入り「梅図鑑」に掲載されているのは97種ですが、苗畑で育った新しい品種が移植されつつありますので、今後増えていくことでしょう。
「偕楽園の梅図鑑」 https://ibaraki-kairakuen.jp/zukan/ ←梅図鑑ページは緑色文字をクリックしてください。
なお、総本数は流動的ですが、老木の枯朽と、若木移植でも最近は木の間隔を開けているようなので、2600本位というのが現状のようです。その中で白梅が約7割、紅梅が3割…、また実を付ける実梅が6割、実の生らない花梅が4割くらいといわれています。
3月上旬には満開を迎える「水戸の梅まつり」、冬を耐えて咲き誇る梅花にコロナの終息を重ねられるようになれば嬉しいのですが…。
どうぞ園内の梅樹の品種名札を見ながら、いろんな梅の色や咲き方などを観察し、春を満喫していただきたいと思います。