明けましておめでとうございます
どうぞ今年も健康でお過ごしになられますように… 2025年 元旦
さて、春に先駆けて咲く梅の花ですが、偕楽園ではまだ早咲きや早とちりの梅が数輪咲いているだけですので、園内100種といわれる梅の中で特に姿、色、香りが優れたとして選定された「水戸の六名木」といわれる梅を以前の写真からご紹介いたします。
まずは、天保13年(1842)偕楽園を創設した水戸藩9代藩主徳川斉昭公の諡号(しごう・おくりな)の付いた「烈公梅」です。野梅系の一重、薄紅色の花弁が重ならずに凛と咲く様子は、激動の幕末を駆け抜けた公の生きざまを見るようです。さすがに花果兼用種なので、立派な実が生ります。
東京梅の会と水戸博物学会が「六名木」を選定した昭和6年に、弘道館脇で見つけた今までにない老木の花を「水戸公の名を祈念せんがために斯く命名せり(松崎睦生著「水戸の梅と弘道館」)」といわれます。
「月影」は命名された方の感性が感じられます。青軸性という種類で青白い花弁が端正に開き、花弁基部には淡緑色の萼片の色が浮かび上がる…いかにも名前通りのイメージとして人気の品種です。野梅系で良果結実します。
「江南所無(こうなんしょむ)」 杏性の八重大輪で雄しべは退化しているため結実しません。中国渡来の古い品種で、園内では最も遅く咲く梅です。よく言われる命名の由来は、三国時代の中国で、陸凱という人が、江南から北の長安の親友に一枝の梅を送り、後に長安に赴いたときに贈った詩の一節「江南無所有,聊贈一枝春(江南には何も贈る物がないので、とりあえず梅の一枝で春をお届けします)」から付けたとされています。
「白難波」 やや早咲きの難波性八重で少量結実種、雄しべが花弁に変わる旗弁がよく見られます。
「柳川枝垂」 枝垂れ系薄紅色一重の梅で偕楽園の貴重品種、あまり結実しない品種です。
「虎の尾」 難波性八重でやや早咲き、少量結実します。虎の尾という名前の由来は蕊の曲がり具合、枝の模様や枝振りなどいろんな説がありますが不明です。
天保13年、斉昭公が偕楽園を開設したときに、梅を植えたことについて述べた「種梅記」の石碑が弘道館公園に建っています。
その文中に、梅は「雪を冒し春に先たちて風騒の友となり、実は則ち酸を含み渇を止めて軍旅の用となる。ああ備えあるものは患なし。(天下の魁として咲く梅の花は、花を愛でるばかりではなく、いざというときには軍旅の備えにもなる)」と書かれています。※風騒:詩文をつくり楽しむこと
ということは、開設当初に植えた梅は実をとる「実梅」で、種子繁殖された原種の白い野梅がほとんどだったのではないでしょうか。
その後時代が変わり、花を愛でる品種で実が生らない「花梅」がどんどん作出され、偕楽園でも現在では約40%が花梅といわれています。
※写真は青梅市で作出された実梅の「玉英」、青梅市に縁のある日本画家の川合玉堂と小説家の吉川英治から名付けられました。
さて、今年で129回目を迎える水戸の梅まつりは、2月11日(火)から3月20日(木)まで行われます。梅は開花期間が長く、しかも種類の多さから早咲き、遅咲きなど次々に咲き続けますので、約1か月のまつり期間が設定されています。
100種とされる偕楽園の梅も最近では新しい品種も増えて、苗畑でデビューを待つものも入れれば200種を超えているかもしれません。満開のいろんな梅の中から「水戸の六名木」を探してみるのも観梅の楽しみ方のひとつになるでしょう。
またひとつ年を重ねるということは、恐怖以外の何ものでもありませんが、とにかく平穏無事に新年を迎えられました。
去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの 高浜虚子
今年も細々とブログ更新をしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。