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寺伝によると、応永5年(1398)宥祖上人の開山で寺号を古内山宝性寺西光院と称し京都醍醐寺無量寿院末、文政2年(1819)本堂を建立、除地(藩から年貢を免除された土地)六石余、寺中に蓮華院、功徳院、常福寺の三寺あり、門末併せて五十六ヶ寺を数えたと伝わります。明治の廃仏の難に遭い寺門荒廃、明治9年には大貫小学校の仮校舎にもなりました。
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また一説では町内の大貫に城を構えた下総国の豪族千葉氏を壇越として下総国(旭市)の延寿寺を開設した宥祖が開創したという資料もありますが、詳細は不明です。
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航空写真で見ても海岸から約800mくらい離れた標高約25mの高台にある城址のような立地です。
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山門には葵の門が…水戸徳川家との関係があったようです。
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山門から仁王門に向かう坂の参道には石灯篭が並んでいます。
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モミジの中に仁王門が浮かび上がります。
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仁王門にある迫力十分の仁王像は木彫で、金剛杵を持って口を開いた阿形像、口を閉じ宝棒を持った吽形像が睨みを利かしています。
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昭和44年に建立の本堂は、鉄筋コンクリート造りの現代的な建物です。木造の阿弥陀如来立像(本尊)が安置されています。
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京都醍醐寺無量寿院末として開山された西光院、無量寿の扁額が架かっています。無量寿とは、寿命が無量である阿弥陀仏のことだそうです。
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約100坪の旧本堂は、茅葺だったのを瓦葺にして聖徳太子を祀る太子堂に修築されました。
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薬師堂には、水戸藩2代藩主徳川光圀公が眼病の際に祈願して平癒され、後に帰依したと伝わる薬師如来が奉祀されています。
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立派な鐘楼が建っていました。除夜の鐘の時期なのでお聞きしたところ、大晦日には撞いていないということでした。
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さて境内のイチョウの大木は、稀に葉の上に種子(ギンナン)が付くので「お葉付き銀杏」とよばれ、天然記念物(茨城県指定)になっています。
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幹囲(地上1.5m)4.4m、樹高24m、樹齢約400年で古来より海難者の霊をこの樹に招き慰霊、その冥福を祈ったと伝えられています。
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県内ではこの「お葉付き銀杏」が天然記念物なっている寺社は、国指定の八幡宮(水戸市)の他、県指定ではこの西光院(大洗町)、照明院(鉾田市)、稲田禅房西念寺(笠間市)が知られています。
(※天然記念物は国指定のほかに、都道府県や市区町村が指定することができるそうです)
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しかしこの現象は滅多にみられるものではなく、仙人も数年前に水戸の八幡宮でやっと小さい実を撮影できただけです。種子がふたつ出たため実が大きく育たず、葉は丸まって黄葉しています。
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ところで参道の向かい側にある高い石垣…、現代の施工でしょうがまるで城壁のような壮大な石垣にしばし見とれてしまいましが、これは個人の邸宅のものだそうです。
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海に面したこの一画は暖かいので、東側の急崖の土手のツワブキ(石蕗)もいちだんと鮮やかな色でした。
この一年間拙いブログをご覧いただき誠にありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えになりますように…