散歩道などで、似ている春の野草をもう少し探してみました。
「世の中に雑草という植物はない」は牧野富太郎博士の有名な言葉ですが、数ミリの小さな花を見つけると、確かに一生懸命咲いているその姿に共感を覚えました。
「はこべら」として春の七草に登場のハコベ(繁縷)はナデシコ科ハコベ属、いたるところで眼にします。昔から食用植物として知られ、仙人の娘たちが小さい頃飼っていた手乗り文鳥の大好物でした。
ハコベの写真として拡大してみたら違いに気づきました。オランダミミナグサ(阿蘭陀耳菜草)はナデシコ科ミミナグサ属、帰化植物でハコベより多く見かける地方もあるそうです。葉がネズミの耳に似ているので命名されたといわれます。
ハナニラ(花韮)はネギ亜科ハナニラ属に属する多年草、葉にニラのような匂いがありますが、有毒なので食用にはなりません。
似ているオオアマナ(大甘菜)もキジカクシ科オオアマナ属の有毒な多年草、明治末期に観賞用として渡来し野生化しています。
庭に咲いてるチョウジソウ(丁字草)も似ているのに気づきました。キョウチクトウ科の完全な別種ですが、アルカロイドを含む有毒植物というのが同じ、横から見ると丁の字に見えることからの命名です。
土手で見つけた面白い穂状の花を調べたら、ヘラオオバコ(箆大葉子)と出ていました。オオバコの仲間で帰化植物、繁殖力が強く要注意外来生物に指定されています。ヘラ(箆)のような細長い葉が命名の由来です。
花穂をリング状に囲んでいる白い雄蕊は下から咲き上がっていき、花穂の中から白い雌蕊が顔を出します。
北米原産の帰化植物で最近目に付くのがツボミオオバコ(蕾大葉子)、薄い毛におおわれた花茎が一斉に立ち上がる様は、さわやかな印象を与えます。花がいつまでも蕾のままのように見えるので命名されました。
本家のオオバコ(大葉子)にも地味な花穂が出ています。カエルッパと言って花穂を抜いて茎を絡ませひっぱりっこした懐かしい草ですが、いまはダイエット食品として知られているようです。
50種以上もあるという野草のスミレの区別は難しいですが、一番多く見かけるタチツボスミレ(立坪菫)、ハート形の葉と直立する花茎でこれだけは見分けられました。
いわゆるスミレ(菫)、なにも名が付かない純粋の菫ですが、街中でも目にします。公園で見つけた群生は数日後自走式の芝刈機で刈られてしまいました。
この白いスミレ、多分アリアケスミレ(有明菫)だと思います。花弁の青い筋の入り方、細長い葉の特徴が似ています。
丸い葉の白いスミレ、ニョイスミレ(如意菫)でしょうか?葉の形が仏具の如意に似ていると牧野富太郎博士の命名、別名のツボスミレ(坪菫)としても図鑑に載っています。
この2種は分かりません。図鑑で探すと上の写真はアカネスミレ(茜菫)に似ている?と思いますが。
山路来て何やらゆかしすみれ草 松尾芭蕉
菫程な小さき人に生れたし 夏目漱石
かたまつて薄き光の菫かな 渡辺水巴