顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

鮎四尾

2018年06月24日 | 釣り
知り合いから久慈川で釣ったばかりの鮎をいただきました。
あまりにもきれいな魚体なので、外に出して雨にうたれる姿を撮りました。
日本書紀にも登場し日本人の生活と文化に深く関わってきた鮎は、なぜか魚編に占うと書きます。諸説あるなかで、神武天皇が高倉山で敵に包囲されたとき、「酒を入れた瓶を丹生川に沈め、魚が浮いてくれば大和国を治めることができる」という占いに従ったところ、本当に魚が浮かんできて、その魚がアユであったという話もあります。

柳の葉のような姿と上品な香りと味わい、内臓のほろ苦さが好まれ、万葉集でも鮎の歌が詠まれ、食通で名高い北大路魯山人は「はらわたを抜かず、塩焼きにして、火傷するほど熱いものに蓼酢を絞ってかぶりつくこと」といい残しているそうです。
我が家でもそれしか知らない調理法、塩焼きにて美味しくいただきました。
季語は夏ですが、若鮎は春、落鮎は秋になります。

またたぐひ長良の川の鮎鱠   芭蕉
鮎くれて よらで過ぎ行く夜半の門  蕪村
姿よく焼かれし鮎に膝ただす  吉屋信子

大洗カジキミュージアム

2018年05月18日 | 釣り

近年、大洗沖はゲームフィッシングの対象魚カジキ釣りの日本一の釣り場として全国に知られるようになりました。2007年から行われているビルフィッシュトーナメントでは多い年では60艇も参加、124匹もの大物が上がった(2016)そうです。(ビルフィッシユBillfishとは英語で嘴魚、カジキのことです。)
その大洗に1年前、高さ4mもの大きなカジキモニュメントが正面に飾られたミュージアムが、関東筑波銀行のあったビルに開館しました。

海流に乗って移動するカジキですが、大洗沖は餌が豊富で滞留する期間が長く、絶好の漁場になっています。ただ、漁業者以外の釣りは基本的には認められておらず、県から特別採捕許可を受けた上で7~9月の土日に限って可能となり、大会も開催できるようになりました。
展示スペースにはカジキ釣りに使う丈夫なロッドやリール、大きな針などの釣り具、釣り上げたカジキの長く鋭く伸びた嘴(くちばし…吻(ふん)の実物などもあります。

カジキといえば「老人と海」のヘミングウェイ、小舟でカジキを釣り上げ4日もかかって引き上げた老人とカジキの戦いと結末を描いた小説は、後のノーベル賞につながりました。その時のカジキは、小説では18フィート(5.4m) 1500ポンド(675kg)となっています。

日本では、去年亡くなった松方弘樹も愛好家で、トーナメントではここの沖合8Kmのポイントで、118Kgのカジキを釣り上げたそうです。これらの写真は、元銀行の金庫室に展示されており、無機質の部屋に何故かぴったり決まっていました。

寺子屋食堂という名前の飲食スペースでは、カジキ肉を利用した軽食を200~300円の低価格で提供しています。また毎週土曜日夕方は、子ども食堂として子供たちが食事作りに携わりながら無料で食べられるという応援もしています。

たまたま在館していたオーナーを昔から知っていましたので、トローリングで使っている「ファイティングチェアー」に座り、かじき釣りのシュミレーションをやらせてもらい、大海原の画面を見ながら強烈な引き、ジャンピング、ジージーというドラグの回転音を充分に味わうことができました。

海の恵み

2016年11月03日 | 釣り
釣り自慢の弟から、大洗の夜釣りでのおすそ分けが届きました
スズキ68センチ、黒鯛38センチ、メバル25センチ級8匹、届いたのは夜だったので、翌日、魚さばきの上手い釣り仲間を呼んで庭で調理しました。

釣り上げた魚は美味しく食べてやるのが釣り人のマナー、アラも貴重な部位なので捨てるところはあまりありません。思った以上にいっぱい出来上がり、刺し身、煮魚、塩焼き用と4軒におすそ分けが広がり、それぞれとても美味しかったという波紋が返ってきました。
なお、鱸(スズキ)は秋の季語です。

まっすぐに鱸の硬き顔が来ぬ  岡井省二
吸物も鱸さしみも鱸哉  正岡子規

大洗海岸の地引網

2016年10月16日 | 釣り
秋晴れの土曜日、遠浅海岸の大洗サンビーチで地引網が行われていました。
地引網とは、長い網の両端についたロープの一方を海岸で固定し、もう一方のロープと網を船に積んで沖合いに向かって船を走らせ、走りながら網を海岸に平行に入れ、残ったもう一方のロープを海岸に持って帰ります。そして、その両方のロープを海岸で引き、魚をU字型になった網に引き寄せる伝統的な沿岸漁法です。人手のかかる漁法なので、最近ではもっぱら観光用になっています。

約100人近い人数がふた手に別れ網を引きながら、間隔を少しずつ狭めていきます。結構手早く引かないと、先端の網から魚が逃げてしまいますが、子供さん主体のグループのようなので苦戦していました。小さいサメが逃げ回っています。

網が砂浜に近づくと、オコボレ頂戴に鷗が集まってきます。情報がどんな風に伝達されるのか、港中の鷗が集まってきたようで盛観です。

結局先端の網の中は大漁のイワシ、このイワシを狙っているスズキも網にかかることもあるようですが、今日はゼロでした。観光地曳網の料金は、100人位までで約80,000円というネット情報が出ていました。
なおイワシ(鰯)は、秋の季語です。

鰯引く浜の今昔ありにけり  稲畑汀子
鰯ほか名を教はりて地引網  内藤庫江

釣…久しぶりに

2016年10月08日 | 釣り
今年の涸沼一帯の鯊釣りは、サイクリングしていて不調と分かっていましたが、あまりの好天なのでかっての釣り仲間と、お互いにもっぱら海釣り専門したが、涸沼川に出かけました。竿を出すのは、2年ぶりくらい、陸からの投げには5.4mの磯竿が仙人流、エサはアオイソメ、とりあえず2本投げてあたりを待ちます。

涸沼は汽水湖で、海までは涸沼川と那珂川を経て約7.5キロ、満潮時には川が逆流して海水が流れ込みます。そのため鯊の他にスズキ、カイズとチンチン(どちらもクロダイの幼魚)、コチ、カレイなど海の魚が上がってきます。

当日は月齢7.1の小潮、海に下る流れが強くなってきたので約2時間で納竿しましたが、25センチ前後のセイゴ(スズキの幼魚)3つと本命の鯊1つ、何とも哀れな仙人の釣果でした。もちろん釣った魚の供養のためにも美味しくいただきましたが…。
なお関東地方では、スズキは当歳魚をコッパ、30センチ以下がセイゴ、60センチ以下がフッコ、60センチ以上がスズキと呼ぶ出世魚ですが、この呼び方には釣りの名誉がかかっており、仲間で揉めることがあります。