茨城県の長い海岸線(鹿島灘)約120Kmのほぼ中央に位置する鹿島灘海浜公園は、鉾田市にある総面積27haの茨城県営都市公園です。
隣接する大竹海水浴場近くに植えてあるハマナス(浜茄子)は、花より実が目立つ時期になっていました。果実が梨のような味がするためのハマナシ(浜梨)が東北で訛ったといわれます。
知床旅情の歌詞にもあるように北海道での群生のほかに、分布は東北や茨城県の一部で、ここから約10Km南の鹿嶋市大小志崎が太平洋側の自生南限地帯になっており天然記念物に指定されています。
ところで仙人が紅顔の少年時代には県北の高萩市が南限地になっており、校歌にも♬浜なすにおう松原に~♪と出ていました。校庭にハマナス園を作ることになり、いくらでも自生していたハマナスを理科の先生と採ってきて植えたのを覚えていますが、そんな行為のせいか激減し、またさらに南の鹿嶋市でも発見されたため指定地が変わってしまいました。
一帯は広い海岸線がどこまでも続いています。釣り人の身支度を見ると、イシモチのエサ釣りでなくルアーでのヒラメやシーバス狙いのようでした。
砂浜の海岸に平行して1000mのボードウオークという木道があり海風に吹かれながら散歩を楽しめます。
背の低い防風松林の間に散策路もあり、自然のままの海浜植物がいろいろと楽しめます。
この辺の海岸でよく見かけるテリハノイバラ(照葉野茨)は、ノイバラ(野茨)との違いは艶のある葉と花の付き方で、ツル性の原種バラの一つです。
海岸の砂浜が好きなハマヒルガオ(浜昼顔)は北海道から沖縄まで、海外でも広く分布し、朝から夕方頃までの日中に花を咲かせます。
同じくハマの名が付いたハマエンドウ(浜豌豆)も北海道から九州の海岸に分布する海浜植物で、赤紫色の花はだんだん青紫色に変わります。
はまなすや親潮と知る海のいろ 及川 貞
浜昼顔砂丘へ一花一花寄る 兒玉南草
浜豌豆風の持ち去る日月よ 吉野陽子
浜昼顔砂丘へ一花一花寄る 兒玉南草
浜豌豆風の持ち去る日月よ 吉野陽子
木道の側にクワ(桑)の実?、コウゾ(楮)の実?…、実の形が丸くないのでヤマクワ(山桑)の実のようです。つまむと桑の実の味です。蚕を飼育する桑はカラグワ(唐桑)とか畑桑といい、この山桑の方は昔から高級工芸品の材料として知られています。
こんなところにもブタナ(豚菜)の群生です。昭和のはじめに渡来したヨーロッパ原産の外来植物、フランス語の名前「豚のサラダ」がそのまま日本名になりました。一面の黄色は美しく、食用にもなるそうですが、繁殖力が強く害草として駆除されています。