ススキ(薄、芒、尾花、茅)はどこでも見られるイネ科の秋の七草です。どちらかと言うと雑草として嫌われもんですが、うろこ雲に秋の風情を感じさせてくれますし、茅葺き屋根にはなくてならないもので、ススキの原を観光資源にしているところもあります。
穂芒にとまるでも無き蜻蛉かな 高浜虚子
ノブドウ(野葡萄)です。同じ野葡萄でも葉が深く切れ込んでいるのは、キレハノブドウ(切葉野葡萄)といいますが、どちらも同じ種だとする説もあります。ヤマブドウに比べ実も緑色から紫色、ブルーと色んな色に変化します。食用にはしないようです。
野葡萄の同じ瑠璃色ひとつも無し 栗田れい子
ツワブキ(石蕗)はキク科ツワブキ属、蕗の仲間なので食用にもなり、花の少ない時期に鮮やかな黄色が、名前の由来であるツヤのある濃緑の葉に似合います。
庭石や草皆枯れて石蕗の花 正岡子規
カラスウリ(烏瓜)の赤い実がいつまでもぶら下がっていますが、名前のようにカラスが食べることはなく、中国から伝わった朱墨の原料である卵型の辰砂に似ているので、「唐朱瓜(からしゅうり)」が語源のようです。
色見せてよりの存在烏瓜 稲畑汀子
やはり、秋の色といえば、ムラサキシキブ(紫式部)、たしかに平安時代の十二単衣の色を見るようです。近辺の野山でよく見かける落葉低木、花言葉は、「上品」「聡明」「知性」…なるほどです。
女らは声深めゆき実むらさき 加藤知世子
庭先の柿はもぐ人もなく鈴なりになっているのを最近はよく見かけます。かっては貴重なオヤツでしたし、近所の柿を失敬して怒られたことを思い出しますが、飽食の世になりました。
この里や柿渋からず夫子住む 夏目漱石
※夫子(ふうし)は、賢者、あの人などのことアケビ(木通)の薄紫色、絵の具での再現が難しそうです。山道を歩いていると、実が落ちているのを見て初めて気が付きます。蔦を引っ張って実を引き寄せると、中身が無情にも落ちてしまいます。
ひそやかに通草山国色となる 後藤比奈夫
ホトトギス(杜鵑草)も日本の色、紅葉を一枚そばに散らせてみました。
紫の斑の賑しや杜鵑草 轡田進
秋は紫色が多いかもしれません。山で見かけるリンドウ(竜胆)の濃さに比べると、庭で咲くのは薄紫です。花は筒状で全開せず何故か奥ゆかしさを感じる花です。
山隠す大岩の根の濃龍胆 福田蓼汀
枯れ木に鮮やかなオレンジ色のキノコ、ウエブで調べるとヒイロダケ(緋色茸)、普通にみられる広葉樹生の木材腐朽菌で食用には適さないと出ていました。
食べられる茸と言はれても躊躇 稲畑汀子
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)を載せるとブーイングが出そうですが、よく見るときれいな黄色の花です。食用とか薬用とか珍重される種に生まれれば、こんなに蔓延ることがなかったかも知れません。
沼を吹く風を黄色に泡立草 和知喜八