国道349号万代橋(よろずよばし)が架けられているこの付近は、当時は水戸城下と常陸太田間を結ぶ交通の要所、那珂川には渡し場があり舟で人や荷物を運んでいました。今は堤防ができて川は直接見えませんが、大きな柳の木が当時の風情を醸し出しています。
碑は何か動物が蹲っているような形の石で、しかも土の中から直接出ているため元々そこにあったような自然石そのままの感じです。二行に並べた隷書体の配置もよく、当時の感性が偲ばれます。雨の降る夜、川向こうの水戸の台地上の灯りを見て感傷に浸り、詩歌を詠む気持ちが芽生えてくるのは何時の世も同じ感情のようです。
夜さめに小舟くだせば夏陰の柳をわたる風のすずしさ 徳川斉昭
なお、水戸八景すべてについては、拙ブログ「水戸八景…斉昭公選定の水戸藩内景勝めぐり 2020.8.18」に載せさせていただきました。