水戸の梅まつり会場の偕楽園は、ちょうどいま満開の時期を迎えています。2月11日(火)から3月20日(木)までの37日間の長い会期でしたが間もなく終了、慌ててのレポートです。

地球温暖化のため暖冬が続いていましたが、今年は久しぶりに寒い冬となりしかも雨が少ないために梅の開花が遅れていました。会期末には梅花がほとんど咲き終わってしまった年もありましたが、今年は遅咲きの梅がやっと開き始まったくらいで、ちょうどいい状態のまま幕を下ろせそうです。

水戸藩9代藩主徳川斉昭公が一年前に開設した藩校弘道館の一対の施設として天保13年(1842)に開いた偕楽園は、領民と「偕(ともに)」「楽(たのしむ)」ということを目的としました。

偕楽園の特徴は、梅の種類が多く開花時期の違う梅が次々と咲くために、1か月以上の梅まつりを楽しめることです。100種類3000本という公式の数字以外にも、新しい品種が植えられているのでいろんな梅の花を見ることができます。

開設以来183年、梅園は空襲の被害も受けているため当時の梅はないようですが、幹の捻じれた古木が多く残っているのも偕楽園の特徴で、「疎瘦横斜」という梅の老成の美を楽しめます。

梅林の中で「案山子梅」と勝手に名付けたこの老木に会うのを楽しみにしていますが、まだ健在で白い花を咲かせていました。維管束形成層の残った樹皮の一部だけで大地と繋がっているその生命力に、同じ老木の仙人は羨望の念を抱いてしまいます。

開設当時の入場はこの表門からですが、現在は駐車場などの利便さで東門からの入場が多くなっています。右側の白梅は、花の小ささでは園内随一の「チャボ冬至」です。

表門を入り、この一の木戸をくぐると斉昭公が設計した陰陽の世界…「陰」を体験できます。

孟宗竹林と大杉林が、偕楽園内とは思えないような鬱蒼とした空間、まさに「陰」の世界を創り出しています。

この中門をくぐると芝前門を経て「陽」の世界へ……好文亭への入り口もあります。

園内には自生している大木のヤブツバキ(藪椿)が多く、この時期には落ちた椿が風情を醸し出しています。

藩主来園時に領内お年寄りや文人墨客を招いての詩歌の会などを行った好文亭も、この時期には梅と一緒におさまります。左手の梅は「紅加賀」という品種です。

広々とした「陽」の世界には見晴らし広場があり、芝生の上でお弁当を拡げたりできます。手前の「臥竜梅」という紅梅は、仙台藩の伊達政宗が秀吉の朝鮮出兵時に持ち帰った梅の子孫で、東日本大震災復興を記念して植えられたものです。

広場には開園当初から植えられた萩やツツジの群生があり、それぞれの季節を彩っています。水戸黄門の扮装をしたボランティアの方が、観光客の方々と一緒に写真に納まっています。.

広場から見下ろす千波湖は水戸城の水堀としての重要な役目をもち、この沼を借景としてとり入れて池泉回遊式庭園の池としました。※昔から「千波湖」と呼ばれていますが分類上は沼になるそうです。

2019年の台風で倒伏してしまった歴史のある「左近の桜」の同じ場所に、一昨年秋篠宮家の佳子さまによって植樹された宮内省提供の苗木がずいぶん大きくなっています。

比高約20mの河岸段丘上にある偕楽園本園より見下ろす沖積層の水辺にも、三つの梅林があり偕楽園公園として整備されています。

公園の一角を占める田鶴鳴梅林、右手奥には「The 迎賓館 偕楽園 別邸」という結婚式場とレストランが、パークPFI事業の公募で一昨年オープンしました。

やがて桜に主役の座を譲りますが、まだまだ遅咲きの梅なども鑑賞できますので、混雑のなくなった園内で「探梅」「賞梅」「送梅」という梅の楽しみ方の最後を味わってみては如何でしょうか。
偕楽園 開園時間 (年内無休)
2月中旬~9月30日 / 6:00~19:00
10月1日~2月中旬 / 7:00~18:00
偕楽園本園を除く区域は常時開放
偕楽園 入園料
一般大人320円、小人160円
団体大人240円、小人130円
満70歳以上の方は入園料が半額 梅まつり期間を除いて「県民は無料」
好文亭 入館料
一般大人230円、小人120円
団体大人170円、小人90円
満70歳以上の方は入館料が半額となります。
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