ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

大災害が及ぼす、石油ビジネスへの影響

2011年04月04日 04時08分58秒 | Weblog
色々な、業界の人達と大震災による今後の影響を話しています。

春休みですが、
観光地やサービス業などでは「自粛ムード」が予想以上に浸透して多大な影響が出ているという事です。

工業、製造業では、被災地に関連した意外な製造品の「物不足」が表面化しており、
今後、夏場にむけての電力供給に関する不安感が一層強まっています。

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉の逆の現象で、
一見、災害に関係ないと思われるような製造部品や業種にまでおおきなマイナスの影響が出ている事には驚かされます。

日本の産業の全体構造が大きな「分業制」となっている事を改めて認識させられますね。

一般小売業の経営者の方は、「売れるか、売れないか」の問題に目がいきがちですが、
今後の復興から再生の時期に向けては、色々な業種で供給側の課題のほうが大きいように感じられます。

石油ビジネスも、
今後の販売動向によって、今迄のように、その場、その場で安い仕入れソースを見つけて手当てするといった
「場当たり経営」では通用しない時代が到来するはずです

特に、復興に向けて需要が見込まれる中間溜分などの動向が気になります。常にタイトな需給環境となる事が予想されます。

電力供給面での安定供給が確立されるまでには、最低2~3年掛りそうだという見通しもありますから、
今年の冬の「灯油ビジネス」は結構忙しくなるのかもしれません。
すでに、東電の「オール電化」のショールームは閉鎖しています。

これまで、
「オール電化で灯油は売れなくなる」と主張し、SS店頭販売オペレーションに固執してきた経営者の方は考えを改める必要があります。
店頭のガソリン販売だけでは、仮にセルフでも採算に乗せられるSSがどのくらいあるでしようか?
時代は、変わりました。そろそろ目を覚まさなければ経営の存続はおぼつかなくなるはずです。

「灯油」を中心とする「外販・配送」オペレーションを強化してきた販売業者の方は、
もし、今季の「配送灯油の収益」がなかったら、と試算してみればその収益効果と優位性が再確認できるはずです。

改めて、「仕入先」との連携が問われる時代に入りそうですから、
常識的に考えれば「系列」が見直されるという事になる、という意見が増えています。

需給が緩んでいるときには、
石油ビジネスも、「魚屋」か「八百屋」のように市場で価格が安くて良い商品を自由に選択して仕入をし、自らが優位な値付けをすることも出来ますが、
石油製品は特殊です。品質格差がないという事を前提に考えると、当座の「仕入値」だけに目が生きやすい・
今後は、視点を変える必要がありそうです。

「樹をみて、森を見ず」といった商売に陥らないように心掛ける必要がありそうですね。

こんな混乱期ですから、
過去の経済指標やデータを羅列してみても、意味がないように思います。

それぞれの経営者が自らの「経験と感性」で乗り切る事が一番です。

不謹慎な表現かも知れませんが、
「石油ビジネス再生のチャンス到来」と考えている経営者の方も相当いらっしゃいます。

誤解のないように申し上げておきますが、
これは、過去の「過去の千載一遇のチャンス」と云う表現とは全く意味が異なり、
これまで不況業種と見られてきた石油販売業界が「エネルギービジネス」として自らの使命を改めて認識し、
今後、どのようにあるべきか、改めて考え直す時がきたということでしょう。