野球少年は夢を見る…

Hanshin Tigers Series 2024

「野村ノート」を読む(其の四)

2006-12-23 23:44:43 | Stove League
才能は学から生まれる」と題した第4章。最初に登場する名は、イチロー(シアトル・マリナーズ)だ。イチローの入団1年目(当時オリックス・ブルーウェーヴ)のオープン戦で最初に見たとき、既にその才能を見抜いた著者。そのイチローを1995年(平成7年)の日本シリーズで封じ込めて見せた著者(野村克也氏)。
 イチローを打者のタイプでいえば、A型(直球に重点を置きながら、変化球にも対応しようとする)に規定する。この章は野球の技術論に終始している。因みにB型(内閣か外角、打つコースを決める)C型(右翼方向か左翼方向か、打つ方向を決める)D型(球種にヤマを張る)らしい。

 さらに捕手は「疑い屋」であるべきと規定し、阿部慎之助(読売ジャイアンツ)には同情しつつ、槍玉に上げ、集中力を高めるには「興味」と「必要」であると規定し、松坂大輔(西武ライオンズ)に対して、この二つを要求し、技術的にはリリースの瞬間(指先で)スピンをかける意識が乏しいのでは? と指摘する。確かに……松坂にが誰しもが物足りなさを感じていた。このアドヴァイスが的確である可能性は高いが、果して、松坂がこれを読むか? 元日本テレビのアナウンサー(夫人)の知的センスに期待したい!?

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「野村ノート」を読む(其の参)

2006-12-21 21:40:07 | Stove League
 第3章「指導者の最初の仕事は戦力分析にある」では、「ペナントレースと戦いの性質が異なる短期決戦」の章が興味深い。昨年、日本シリーズに出たセントラル・リーグの監督が「これがウチの勝ちパターンだから」とか「ペナントレースと同じ戦い方をする」「ペナントレースの延長だ」と発言したことを著者(野村克也氏)は批判している。両者の“犬猿の仲”は有名。≪連覇≫を逃した阪神タイガースの監督のことだ。

 そのタイガースの前の監督が星野仙一SD(シニアディレクター)。星野監督が2003年の日本シリーズで福岡ダイエー(当時)ホークスと対戦したとき、「情」に絆されて、ペナントレースの「論功行賞」伊良部秀輝(引退)を第2戦の先発に送ったが、これが失敗し、さらに温情をかけ、第6戦の先発にも起用した。これが完全に裏目に出た。2003年(日本シリーズ)のタイガースの敗因である、と断言する。確かに……

 社会人野球のシダックス時代に「情」に絆されて、エース・野間口貴彦(現・読売ジャイアンツ)の続投に拘り、(同じく)2003年の都市対抗野球の決勝戦で優勝を逃した己(著者)の采配を重ね合わせている。そういう意味では「情」の人、星野監督と野村監督。両者の個性、表面的な違いは明らかだが、二人は「似た者」同士だったのかもしれない。

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「野村ノート」を読む(其の弐)

2006-12-19 21:53:19 | Stove League
 第2章「管理、指導は経験がベースになる」で、清原和博(オリックス・バファローズ)のことが述べられている。実績は一流だが、「考えているな」「勝負しているな」「駆け引きしているな」「読んでるな」というのが伝わってこない選手、と評している。
 当の清原は、野村克也監督のことを慕っていて(?)西武ライオンズ時代の野村選手のヘルメットを譲り受けて未だに使っているくらい、尋常でない愛着ぶりなのだが、昨シーズンオフ、読売ジャイアンツを解雇された後、その野村「新」監督の東北楽天ゴールデンイーグルス入りを希望したようだが、フロントの意に反して、清原獲得に反対した野村監督。……二人は擦れ違う。

 最後の「配球の原点は打者への意識付け」の章では、阪神タイガースのエース・井川慶(現ニューヨーク・ヤンキース)が槍玉に挙がっている。意識付け=ズバ抜けた球種。西武ライオンズの松坂大輔(現ボストン・レッドソックス)のストレート、西本聖(元読売ジャイアンツ)のシュート、伊藤智仁(元ヤクルト・スワローズ)のスライダー、高津臣吾(ヤクルト・スワローズ)のシンカー、あるいは“大魔神”佐々木主浩(元横浜ベイスターズ)、上原浩治(読売ジャイアンツ)のフォーク。
 それに較べて、井川にはズバ抜けた球種がない、と一刀両断。強いてあげれば、チェンジアップだろうが、それが決定的な≪因子≫になり得ていない。ここ数年の低迷の主因もそれか? 果して、これで来シーズンからMLB(メジャーリーグ)でやっていけるのか? 本人に自信(確信)はあるのだろうか? 

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「野村ノート」を読む(其の壱)

2006-12-18 20:24:43 | Stove League
再生工場」と謳われた人。東北楽天ゴールデンイーグルスには現時点で最も相応しい監督だろう。新たに誕生した新球団でありながら、本場MLB(メジャーリーグ)では当たり前の<エクスパンション・ドラフト>が採用されなかった。これでは戦力が整えられず、苦戦するのは致し方ないところ。
 MLBの真似をしながら、どこか中途半端なNPB(日本プロ野球機構)の間の抜けた思考の≪餌食≫にされてしまった。この本を読みながら、イーグルスが強くなることを祈りたい、と思った。何しろ、この人は、阪神タイガースが強くなるための基礎作りをしてくれた人だから。

 第1章で「意識改革で人は変わる」。とても野球人が書いた本とは思えないタイトルから始まる。このタイトルを見ただけでも、これは『ノムラの考へ』という、プロ野球の一部の選手たちの間でコピーされて読まれている有名な技術論だけではなく、一般の組織に携わって仕事をしている人たちにも読まれていい本だということが分かる。
「人生」と「仕事」とは常に連動している、と著者は言う。人生論が確立されていない限り、いい仕事は出来ない、と断言する。この国では、20年前のバブルの時期から“アフター5”という様式が定着し、「人生」と「仕事」とを切り離す思考が幅を利かせたが、それは間違いだったと気付かされる。

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