緊張の今シーズン初登板&プロ入り初先発の左腕・中村泰広(4年目)。初回こそショートゴロ3つで退けたが、【2回表】に早くも1点を失って、不安な感じ。しかし、そんな不安を吹き飛ばしてくれたのが、【3回裏】4番の一発! 金本知憲のセンターバックスクリーンに飛び込む(通算349号)2ランホームランで「2対1」逆転!! その瞬間、グラブをポンポンと6回も叩いた笑顔の中村。一方の金本に笑顔なし。「4番」の重責を担い続ける男の苦悩は続く……
中村は5回を投げ終えて、降板。早過ぎると思ったが、予定通りなのだろう。次の目標は6回を投げきることか……そんなふうにステップUPしていけるかどうか? 2番手は(先発崩れの)安藤優也。この安藤が相変わらず、ランナーを出しながら、要所を抑えて、その間に【6回裏】先頭のアンディー・シーツが、金本と同じ場所(センターバックスクリーン)へ打ち込む(第12号)ソロホームラン! 「3対1」。
【8回表】はジェフ・ウィリアムスがピシャッと3人で抑え、【8回裏】金本がレフトへ流し打っての350号ソロホームランが出て、「4対1」。これで勝負あった。勝利を確信したのだが、【9回表】マウンドに上がる男には「変な」プレッシャーが付きまとっていたのか? 藤川球児。
先頭の栗原健太を「2-1」に追い込み、ここまでは順調、いつも通り。しかし、勝負に行った4球目の外角低目154㎞を「ボール」に判定されて、リズムが狂ったか? 「2-3」にカウントを苦しくして、ラストボールをライト前に弾き返され、0-OUT1塁。
4番・新井貴浩にもライト線に大飛球を飛ばされるが、ライト(途中出場)の中村豊の好守で1-OUT。5番・前田智徳にも右中間に弾き返され、1-OUT1,3塁。47イニングス(3/2)連続無失点を続けている藤川にとって最大のピンチ。しかし6番・緒方孝市をピッチャーゴロに打ち取って、2-OUT。7番・森笠繁も「2-0」に追い込んで、これで「終わり」と誰もが思ったが、ここで前日の【9回表】に続いて、バックネットにワイルドピッチ! 思わぬ形で失点して、記録は途切れた……
妙なプレッシャーから解放されて、返って良かったかも知れないが、ここまで積み重ねてきただけに……そういえば、今日の球審・真鍋勝己。またこの男か……この球審の一球のジャッジでリズムが乱れた。タイガースの球団記録をタイガースのOBが止める(遠因になる)とはなっ!!……最後は「2-3」にまで追い込まれて、ショートライナー! 鳥谷敬がジャンプ一番飛びついて、この波乱の【9回表】を締め括った。まさに
波乱! 中村にとっては思い出に残るプロ入り初勝利の、7月12日。
中村泰 この星“1勝”忘れない (デイリースポーツ)