野球少年は夢を見る…MLB篇

Major League Series 2022

野茂の199勝、井口が阻む?(9日・フロリダ)

2005-05-12 21:07:26 | Tampa-Bay Rays
 シカゴ・ホワイトソックスの1番スコット・ポドセドニックをいきなり四球で歩かせて、この日、ライトに入ったクリス・シングルトンが思わず帽子を取って、額の汗を拭い、ライト線寄りに守備位置を変えながら、顔を掻く。「打たせろヨ」とでも言いたげ、だ。2番・井口資仁を迎える。初球(85MPH)がアウトサイドに際どく外れて、2球目。「スピード・スター」ポドセドニックが走って、盗塁成功。3球目(87MPH)が外れて、「2-1」からの4球目。「86MPH」を巧く流し打たれて、シングルトンの予測通り、打球はライト線へ。ポドセドニックが還って、早くも「1対0」。

 3番カール・エヴェレットにも「3-1」にして、4球目(88MPH)5球目(89MPH)ファウル。力の勝負を挑んで、最後はフォーク(81MPH)で完全に詰まらせたが、これがショート前の内野安打になって、1,3塁。4番ポール・コナーコには初球フォーク(81MPH)でストライク。2球目、汗を滴らせながら、キャッチャーのサインに首を振り、投じた球はフォーク(80MPH)。これで空振りを取って、「0-2」と追い込んだが、3球目に力勝負「89MPH」で行って、これをセンターに弾き返され、犠牲フライになって、「2対0」。

【3回表】9番ホアン・ウリベに「1-2」と追い込みながら、フォーク(81MPH)をフルスイングされ、痛烈に三遊間を抜かれる。1番「スピード・スター」ポドセドニックには、初球にセーフティーバントを決められ、ノーアウト1,2塁。ここで2番・井口にサクリファイス(犠牲バント)を決められ、1アウト2,3塁のピンチ到来。それにしても、ダッグアウトに戻ってからの井口を迎えるナインのハイタッチの数が凄い。まるでホームランを打ったバッターを迎えているような光景、だ。これもメジャー流。

 3番エヴェレットに初球のフォーク(78MPH)で空振り。エヴェレットはヘルメットをコツンと叩き、自らを戒めて、2球目のフォーク(79MPH)は見送り成功。しかし、3球続けたフォーク(79MPH)には反応して、チェックスウィング。判定は「ストライク」。打席を外して、エヴェレットはうんざりした顔で、首を振っている。4球目もフォークの連投(80MPH)でファウル。何とかバットに当てたエヴェレット。打席を外し、やはり首を振り、今度はバットでヘルメットをコツンと叩いて、打席に戻る。5球目は「89MPH」のファストボール。真ん中低めに決まって、完全に意表を突かれた、エヴェレット、見逃し三振!

 その瞬間、思わず、1塁側の敵のダッグアウトに歩を進めようとした、エヴェレット。しかし、思い直して、その自らの(ちょっと)恥ずかしい行為を糊塗する為に、球審の判定に文句を言うポーズを取るエヴェレット。本当は野茂のピッチングに脱帽した、のだろう。兜を脱いで、直ぐダッグアウトに帰るつもりが、方向を間違えた。強面(こわもて)だが、なかなか御茶目な(?)エヴェレット。一流のバッターとピッチャーの見応えのある対決、だった。

 依然として、大粒の汗を滴らせながら、マウンド上の野茂。4番コナーコにも初球フォーク(80MPH)で入り、2球目(84MPH)も外れ、「0-2」。3球目は「新球」カットボール(84MPH)で「1-2」。4球目(80MPH)で「1-3」。5球目(85MPH)でファウルを打たせ、「2-3」。ラストボール=6球目は渾身のファストボール(90MPH)! しかし、これがアウトサイドに大きく外れて、野茂はその瞬間、大きな声を出して、悔しがる。2アウト満塁になるが、5番アーロン・ロワンドを3球勝負で空振り三振に仕留め、ピンチ脱出。

【4回裏】にシングルトンのタイムリーで1点を返したデヴィルレイズ。【5回表】を3者凡退に抑え、【6回表】のマウンドに上がった野茂。4番のコナーコに1球(84MPH)を投じて、2球目。振りかぶって、いつものように左足を振り上げたものの、そのまま着地。よくあるバランスを崩しただけ、かと思ったのだが、左の太腿の裏を押さえている。ピリッときたか? 痙攣? 野茂はマウンド上で寝っ転がって、トレーナーから治療を受けたが、状態は変わらず、そのまま降板。「1対2」のスプリット・スコアの場面だったのだが……

 この後、味方が【6回裏】に、デーモン・ホリンズのトリプル(3塁打)で同点に追いつき、さらにシングルトンのタイムリーで勝ち越し。【7回裏】にも加点して、「4対2」。デヴィルレイズの逆転勝利。「快進撃」ホワイトソックスの連勝を「8」で止めた。野茂の「199勝」を阻んだのは、左の太腿だった。せっかく、いいピッチングをしていて、降板した後に、味方が逆転してくれたのだが……「次」は14日(日本時間・15日)カンザスシティー・ロイヤルズ戦。症状は軽く、予定通りに先発する。