今朝、「日本経済新聞」の1ページ広告に目がとまりました。
紙の本を愛していない人が、電子書籍ユーザーになるだろうか。 これがヘッドラインでした。広告主は?と見るとTOPPANとありました。
この逆説的な問いかけは、多くの読者に一瞬、考えさせる時間をもたらしたに違いありませんし、この私も決して例外ではありませんでした。しかし、以下に続くコピーを読んでゆくと、凸版印刷が「コンテンツファクトリー」として読書スタイルの多様化にこたえるために一元化管理されたデータから電子書籍も印刷本も手掛けて行くぞという経営ポリシーの表明でした。
以前、「文芸春秋の昭和の100人」について書きましたときにも触れましたが、情報加工業としての印刷会社の業態がこのように二股かけたものになっていることは自明の理で、今更の感がなくもがなであります。
同じ新聞に大日本印刷が電子書籍搭載済みの読書専用端末を開発したという記事がありました。紙の本で買いそろえるとかさばる全集やシリーズものが読める専用端末だというのです。
また、学研や角川でしたか、新刊を原則として電子書籍で出すニュースもありました。いま、出版や印刷のありようが大きく変わろうとしていることは事実ですが、私は紙の本を愛している人が電子書籍のユーザーにならないことも見聞きしています。
電気仕掛けがないと読めない、デジタルコンテンツにはたして紙の本のような寿命があるだろうかなどときわめてベーシックな疑問を呈する人も少なくありません。次世紀まで生きてこの情報加工技術の行く末を見たいものです。