活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

バリアブルデーターの強み1

2014-10-20 11:19:59 | 活版印刷のふるさと紀行

 すっかり秋めいてウオーター・フロントを歩くのも気持ちがいいシーズン。夕暮れの風景に目をこらしながら新富町の印刷博物館の例会での議題を反芻しながら帰ってきたのです。ちょっと硬くなりますが、その議題の中身の紹介をすることにします。

 例会の教材は、ローン・レイニンガーというクレムソン大学教授が《How storog is your variable data?》というタイトルで今年6月のPIAのTheMagazineに発表した論文でした。

 さて、私たちに馴染みのあるのは「バリアブル印刷」とか「バリアブルデータプリント」という言い方ですが、あえて、それはなんぞやといいますと、たとえば、最近、あなたのところに舞い込むDMにあなたの名前が印刷されているものがあります。不特定多数の人に送られる印刷物に自分の名前がはっきりと印刷されていると親近感を持った人もいるはずです。

 子ども向き絵本などで物語のヒロイン名を絵本の持ち主の名前に差し替えて印刷したミーブックと呼ばれるようなものは以前からありました。あれもバリアブル印刷でしたが、結構、面倒な印刷でした。ところが、最近、デジタル印刷機やDTPソフトの進展でオンデマンド印刷としてバリアブル印刷の技術がクローズアップされてきました。

 レイニンガー教授はバリアブルデータ印刷には2種類あるというのです。①は公然型ともいうべきもので、例えば「Oさん、あなたの2006年製のダッジキャラバンはオイル交換の時期です」と顧客に企業があなたのことはよく知っています、コレコレが必要ではありませんか」と訴求するタイプ。

②は隠密型ともいうべきもので、企業は顧客のデータをたくさん持っているがそれを感づかせないで巧妙にデータを関連付けて、BさんならBさんの気をひいて、購買に結びつけるタイプ。

 いずれにしても、不特定多数の人を対象に大量印刷物を整版・印刷するような時代は去って、印刷業者はバリアブルデータを最善処理してソフトとハードの適切な組み合わせで、顧客へのサービスに力を尽くし、自社と顧客の両方に最終利益を途方もなく大きくする時代が来ているのですと教授は力説しているのです。


 



 





 


 


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