活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

古書ミュージアム「西尾市岩瀬文庫」

2014-12-06 10:28:01 | 活版印刷のふるさと紀行

  次に、私たち印刷文化史の研究グループ「神田川大曲塾、」研修旅行一行が訪ねた先が、日本初の古書ミュージアムと銘打つ西尾市岩瀬文庫でした。このめずらしい図書館?、博物館?は明治時代に愛知県西尾市で肥料商として産をなした岩瀬弥助という人が蒐集した8万点にも及ぶ蔵書の私設図書館が原点と聞きました。

 それを示す煉瓦造りの旧書庫の隣に近代的な岩瀬文庫の建物、閲覧室と常設展示室を有する本館がありました。驚いたのは図書館らしくない採光いっぱいの建物もさることながら、建物の内外あちこちに収蔵図書から選んだ資料がレプリカふうにコラージュされていたことです。

 熱心に館内案内をして文庫活動を紹介してくださった学芸員の名刺の所属が西尾市教育委員会文化振興課とありましたが、市内の小・中学生の課外学習で古書のいろいろ、出版や印刷の歴史などについて展示や映像をつかってわかりやすくレクチュアしておられるので。

 私たちに関係の深い印刷出版分野では印刷の歴史や活字のこと、装丁などについて図解パネルで説明されているのをうれしく拝見してきました。蔵書では後奈良天皇直筆の重要文化財の『般若心経』、江戸時代の博物図鑑ともいえる『本草図説』、朝廷の歴史本ともいうべき『続史愚抄』のような稀覯本から近代の洋装本までじっくり腰を落着けて閲覧したい宝の山とみました。

 名古屋から西尾までは名鉄で、西尾駅からバスまたはタクシーで10分ちょっと。ぜひ、訪ねてほしい古書ミュージアムです。



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