活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

民族衣装の学芸員の懇切な説明

2011-12-04 11:01:30 | 活版印刷のふるさと紀行
 
博物館のドアを開けると、黒の民族衣装に身を包んだアラブ女性が2人で
にこやかに迎えてくれました。アブダビでもドバイでも観光客が多いせいか
民族衣装の女性はあまり見られません。たまたま出会う黒の着衣の女性は黒が
きわだたせるのか、やたら美人ぞろいでした。

 ここの学芸員のお二人も飛び切りの美人、それはさておいて、説明はしっ
かりした英語で、まず、アラブの地図を前にして、アラブの海域と真珠採集の、
歴史から入りました。ともすると、私たちにはペルシャ湾という呼び名の方に
馴染みがあるようですが、アラブの人たちは絶対に「アラビア湾」なのです。
 アラブ首長国連邦が面しているアラブ湾と真珠との長い歴史についての話は
全く私が知らないことでした。天然真珠のなかでは「ドバイの真珠」がとりわけ
有名だったそうです。

 入館してすぐのフロアは1900年代初めまでの天然真珠が採られたころの
船をはじめ、潜水具や網や道具類の展示が主体になっていました。高橋 裕さんに
よると、これらの道具類を集めるのが大変だったようです。

 いささかウシロメタサを感じるところですが、日本で御木本幸吉さんが養殖真珠を
成功させたのが確か明治30年ごろ、間もなく銀座に御木本真珠がオープンして
養殖真珠が世界各国で認められるようになるにつれて「ドバイの真珠」が衰退して
行ったといわれています。

 ところが、ここへきてこのラアスアルハイマ北部の海の穏やかさ、水温やプランク
トンの量、ミネラル分どれをとっても真珠養殖に最適であることを三重県の井村真珠
養殖の井村大二さんが発見して、ラアスアルハイマ政府から保護海域の使用
許可を受けてファームを発足させることが出来たというのです。
アラブ連邦(UAE)と日本が養殖真珠を通じて結びつくことはいままでのいきさつから
いってもうれしいことです。 

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オープンしたばかりの真珠博物館

2011-12-03 11:09:37 | 活版印刷のふるさと紀行
 海沿いから車でラアスアルハイマの町に戻って博物館へ。
メイン道路に面した2棟が博物館にあてられているのですが、建物本体は王様が
建てて、それを借り上げて内部を博物館にしたものです。

 つまり、わが大曲塾の塾友、高橋裕氏は2年前から博物館とその付属施設の設計・
施工を受け持ったというわけです。発注者であるアラブの人たちのノンビリムード
で進行スケジュールがどうしても遅れに遅れてしまうこと、日本では簡単に手に入る
鋼管のようなパイプ類にはじまって照明器具や建材が手に入らず仕様変更が随所に
でてしまうこと、指定寸法どおりに仕上げてくれない職人さんに泣かされた話など
苦労話はヤマほどあったようです。

 しかし、まず、私が目を奪われたたのは、博物館の階段まわりの壁面でした。前面に
アコヤ貝が埋め込まれていて、青い漆喰壁にまるで海の底を思わせるような妖しげな光
を放っているのです。これから見る博物館への期待がいやが上にも高まるのでした。

 ドバイと違ってラアスアルハイマには日本人観光客は来ません。現地の人の来館は望
めません。ならば、観客は?といいますと、この町の超高級リゾートホテルやレジデンスに
滞在しているアメリカやヨーロッパのお金持ちのようです。

 ですから1階のミュージアム・ショップの隣には軽食もとれる瀟洒なカフェがありますし
2階には豪華な日本料理店があります。窓外にはアラブ海につづく水路とマングローブ、
そして岩山の続きに高層ビル、これが砂漠の中とはとても思えません。金襴緞子の打掛の
飾られた壁、これは日本から運んだに違いない木彫りの漆黒の欄間。博物館見学の前に
その料理店でアラブの海で取れた高級魚のお寿司をごちそうになったことも告白しておきます。


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アラブの海の真珠養殖

2011-12-02 23:35:47 | 活版印刷のふるさと紀行
 高橋 裕さんに案内されて訪れた真珠のファームでアコヤ貝に核入れ
をしている作業場を最初に見せてもらいました。日本の志摩から技術指導
に来ている南さんと泉さんからアラブの真珠養殖について聞きました。

 1900年代の初めまではアラブの天然真珠が世界的に有名だったようで
その歴史は3千年以上前までさかのぼるとのことです。そういえばクレオパトラ
と真珠の有名な話がありました。

 乗せていただいた作業船は青く澄んだアラビア海の入り江に漕ぎ出されました。
ラアスアルハイマの王様が真珠関係者以外は絶体に立ち入らせないで環境保全に
神経を行き届かせているそうで、実にきれいな海です。このあたりには天然の
アコヤ貝がわんさといるともききましたが、船が目指すのは浮きブイに養殖用の
のアコヤ貝が吊るされたファームなのです。

 それにしても目に飛び込んでくるマングローブの緑、近くまで張り出している
岩山はラスアルハイマ特産のライムストーンを切り出すのだそうです。また、
対岸には砂漠というかおおきな砂州台地がひろがっていてラクダや馬が放牧されて
いました。しばしば、フラミンゴも飛来するそうです。

 説明のために同乗してくれたエジプト人のフセインさんが特別に引き上げて
養殖2年目の貝を我々に選ばせて、その場ですでに大きく育っている真珠を
とりだしてプレゼントしてくれるサービスぶりでした。

 船上でごちそうになったデーツ(ナツメヤシ)の菓子や生のコーヒー豆、焙煎
していないコーヒーも味わい深かったのでした。もっと楽しんでいたい気がしますが
本命が真珠博物館見学にあるので陸にあがることにしました。



 
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