司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

外形標準課税逃れの減資(?)

2006-06-03 10:25:18 | 会社法(改正商法等)
1044社、1億円以下に減資 課税逃れ目的か (朝日新聞) - goo ニュース

 資本金の額の減少は、一般的には、欠損填補のためになされることが多い。株主への有償払戻しを目的とすることも旧商法においては可能であったが、会社法では、それは、資本金の額の減少と剰余金の分配の二つの手続を同時に行う形となる。

 経済合理性の観点からは、外形標準課税回避のための資本金の額の減少も合理的選択と言えなくもない。資本金の額が不相応に巨大であるケースもあり、会社法下において、機関設計を簡素化するために、「大会社でない株式会社」に移行する目的で、資本金の額を減少させることも今後増えるであろうと思われる。

 資本金の額が大きい方がいい、とは必ずしも言えない。資本金の額は、会社法の下では純資産の部の計数の一つに変質したと言われているが、大会社 or 大会社でない株式会社を区分する重要な数字である。単なる税逃れではなく、戦略的機関設計のために、資本金の額の減少を検討すべきである。
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