司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

会社法の下での官報公告は慎重に

2006-06-04 21:41:04 | 会社法(改正商法等)
 官報の公告内容に、誤りが散見されるようである。

 本件において、甲は、会社法施行後、特例有限会社から通常の株式会社に移行した会社であり、乙は、特例有限会社である。その両社が、甲を吸収合併存続会社、乙を吸収合併消滅会社として吸収合併を行うとして、債権者異議申述のための公告(会社法第799条第2項)を平成18年5月31日付官報で行っている。
http://kanpou.npb.go.jp/20060531/20060531h04348/20060531h043480025f.html

 その内容中、会社法第799条第2項第3号に規定する法務省令で定める事項として、下記の記述がある。
(甲)平成18年5月22日に有限会社から、株式会社に変更し最初の決算期が到来しないため計算書類の公告義務はありません。
(乙)計算書類の公告義務はありません。

 しかし、甲は、通常の株式会社に移行しているのであるから、即会社法第440条の適用がある。公告に関しては、経過措置が設けられていない(ただし、会社計算規則附則第4条を除く。)ためである。従って、甲は、会社法施行規則第199条第5号に該当せず、同条第7号に該当し、最終事業年度に係る貸借対照表の要旨の内容を債権者異議申述のための公告かつ通知の内容としなければならないと解される。

 会社法施行規則第199条は、公告実務においては、重要な条文である。
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職権登記事項に係る変更登記の要否

2006-06-04 10:29:39 | 会社法(改正商法等)
 みなし定款規定である「株券を発行する旨の定め」(整備法第76条第4項)については、職権で登記がなされている(整備法第136条第12項第3号)が、これに係る変更登記の要否が問題となっている。

 本来商業登記においては、登記事項に変更が生じれば、変更の登記をしなければならない(会社法第915条第1項)のであって、してもしなくてもいい、というものではない。従来の実務慣行からすれば、このようなケースでは、変更登記を行うのが通例であった。
 しかし、会社法施行に伴ってできるだけ会社に対して登記義務等を課さないように整備法が立案されている点に鑑み、このケースでは、変更登記をすべきであるが、絶対にしなければならないと言い切ることまではしない、というのが登記所のスタンスであるようである(ただし、私見)。

 みなし規定に関しては、整備法施行日において、「~である旨」の定めが新設又は変更されているものである。可視的ではないが、既に当該規定は存するのである。株式会社が、6月総会においてこれらの規定を「変更」するのであれば、もちろん変更登記が必要になる。しかし、新設又は変更された内容を単に成文化するだけであると善解できるのであれば、職権登記の文言と相違があったとしても、それは新たな変更にあたらないので、変更登記は不要であると解すべきである。みなされているのは、「~である旨」の定めであり、成文化における多少の表現の相違は当然許容されていると解されるからである。そして、大多数の株式会社の合理的意思としては、変更ではなく、単に成文化するだけであるから、変更登記は必ずしも要しないことになる。

 しかし、現実には多くの株式会社が、職権登記と定款規定の文言の相違を好ましくないと判断し、変更登記を申請するものと予想される。
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近司連定時総会

2006-06-04 10:00:00 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 昨日、近畿司法書士会連合会定時総会が奈良県橿原市にて開催。評議員として出席。通常の議案のほか、組織員提案により「ゲートキーパー規制の法制化に反対する決議案」、「非司法書士の取締りを強化するため司法書士法の改正を求める決議案」が提出され、いずれも決議された。
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