司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

江頭憲治郎著「株式会社法」(有斐閣)

2006-06-27 16:18:13 | 会社法(改正商法等)
江頭憲治郎著「株式会社法」(有斐閣)
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00033.html

 「株式会社・有限会社法(第4版)」の全面改訂版であるが、刊行は8月下旬にずれこんでいるようである。金融商品取引法関係を取込むためであろうか。
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金融機関向け会社法の説明会

2006-06-27 00:02:43 | 会社法(改正商法等)
 京都司法書士会では、下記のとおり金融機関向けに会社法の説明会を実施します。株式会社の機関設計の多様化、新たな会社類型である合同会社制度の創設等、会社法は、金融機関の融資実務、不動産担保実務にも大きな影響を及ぼすものであるため、実務の安定を図るべく開催するものです。京都市内に本支店のある金融機関には既にご案内を差し上げているところですが、多数のご参加をお待ちしております。

日時  平成18年7月4日(火)14:00~16:00
場所  京都司法書士会館3階大会議室
    (京都市中京区柳馬場通夷川上る五丁目232番地の1)
    TEL(075)241-2666
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取引等の適切性確保への取組みの再徹底について

2006-06-26 11:27:33 | 消費者問題
 金融庁が、各金融機関に対して、「取引等の適切性確保への取組みの再徹底について」を要請している。
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/ginkou/20060622-1.html

 断固たる姿勢を感じさせるものである。
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最終の事業年度

2006-06-25 15:28:36 | 会社法(改正商法等)
 債権者保護手続の公告において「最終の事業年度」の判断が微妙なケースが多いようである。

 A株式会社(以下、「A社」という)は、委員会設置会社(会社法第2条第12号)であり、かつ、有価証券報告書提出会社(証券取引法第24条第1項)である。事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までである。A社は、100%子会社との間で平成18年6月15日付合併契約書を締結した。そして、会社法第799条第2項(いわゆる債権者保護手続)の公告を、6月16日付官報及び電子公告(債権者への各別の催告を省略できる、いわゆるダブル公告である。)により行っている。そこでは、同項第3号の法務省令の定める事項(決算公告の掲載場所等)として、電子公告のURLが掲載されている(掲載されているのは、平成17年3月決算分までである。)。
 なお、定時株主総会は、その後、6月22日に開催しており、平成18年3月決算の有価証券報告書は6月23日に提出されている。


 A社の平成18年3月決算の計算書類の作成、監査及び承認の方法については、整備法第99条の規定により、商法に基づくことになるが、平成18年5月15日付「会計監査人の監査報告書」があることから、同日以前に取締役会の承認を受けているはずである。決算公告に関しては経過措置がなく、会社法の規定に基づき行わなければならないが、A社は、証券取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社であるから、会社法第440条第1項は適用されない(同条第4項)こととなっている。

 さて、本件合併契約書は、平成18年6月15日付で作成されているので、本件合併は会社法の規定に基づき行われる。そして、吸収合併存続会社における債権者異議申述公告(会社法第799条第2項第3号)の法務省令の定めは、会社法施行規則第199条であるが、A社は、上記のとおり会社法第440条第1項の規定が適用されないので、仮に平成18年3月決算分まで掲載していたとしても、会社法施行規則第199条第1号ハには該当しない。

 では、どうなるのか。会社法施行規則第199条第3号に該当しそうである。しかし、同号の「最終の事業年度」(会社法施行規則第2条第3項第9号イ、会社法第2条第24号)が問題である。

 A社は、委員会設置会社であるから、会計監査人設置会社(会社法第2条第11号)である。従って、会社法第439条により会社計算規則第163条の要件に該当する場合には、計算書類について会社法第436条第3項の取締役会の承認を受けると、当該事業年度が会社法第2条第24号に規定する「最終の事業年度」となる。会社法第2条第6号イの「最終の事業年度に係る貸借対照表」が「会社法第439条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表」をいうのとは異なるのである。

 しかし、A社は、「最終の事業年度に係る貸借対照表」を「会社法第439条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表」と解して、平成17年3月決算分の決算公告の掲載場所等を示せばよいと考え、会社法第799条第2項の公告を行ったようである。会社計算規則第163条の要件に該当しないとは考え難いからである。実際、定時株主総会においては、報告事項として処理されている。

 A社は、本公告を平成18年6月16日に掲載しているが、その時点での「最終の事業年度」は、上記のとおり会社法第436条第3項の取締役会の承認を受けているので、「平成17年4月1日~平成18年3月31日」となるはずである。すると、A社は、公告掲載日においては、最終の事業年度に係る有価証券報告書を提出していないので、会社法施行規則第199条第3号にも該当しないことになる。

 よって、本件においては、会社法施行規則第199条第7号が適用され、同公告において平成18年3月決算における貸借対照表の要旨を掲載すべきケースであったと解される。

 なお、会社法施行規則第199条第7号は、従来決算公告を行っていなかった中小企業が同時掲載を行うケースが非常に多かったことから、同ケースを想定して置かれた規定のようであるが、本例のように第1号乃至第6号に該当しないレアケースを救済する役割も果たしていると思うのは、考え過ぎであろうか。
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「会社法を支える円滑な商業登記制度の運用」

2006-06-25 15:13:19 | 会社法(改正商法等)
 ビジネス法務2006年8月号の巻頭コラム「地平線」に、元公証人神崎満治郎先生が「会社法を支える円滑な商業登記制度の運用」を著されている。

 曰く、
「・・・会社法で定める多くの手続は、登記によって完結する。そして、この登記手続は、会社法で定める実体上の手続が適正に実行され、登記すべき事項が効力を生じていることを申請人(企業)が立証し、登記官がこれを検証する手続であるところから、現実には、商業登記制度を担う登記官が、会社法の執行者であるともいえ・・・司法書士は、会社法で定める手続が適正に実行されるようにサポートすると共に、その手続が適正に実行され、登記すべき事項が効力を生じていることを申請人に代わって登記官に立証する役割を担う・・・商業登記制度の円滑な運用は、とりもなおさず会社法の円滑な運用に連なるものである・・・」

 すなわち、商業登記実務の安定は、会社法実務の安定と密接不可分であると言えるのである。
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金融庁、貸金業規制法改正で新規制を検討

2006-06-25 08:01:54 | 消費者問題
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060625AT2C2400B24062006.html

 高金利の下では、貸金業者にとっては、元本の返済は要せず、金利分の返済を永続してもらうのがベストである。従って、毎月の返済額に下限を設けるとともに返済期間を短くする新規制は、有効である。

 しかし、本日付日経朝刊23面「経済論壇から」で、大竹文雄大阪大学教授が、上限金利引上げを是とする論調であるのは、いかがなものかと思われる。上限金利引下げにより、債務者が貸金市場から締め出され、ヤミ金が跋扈することを懸念しているが、高金利に手を出して「救済」される例は皆無に近く、逆に傷の浅い段階でフレッシュスタートをすることで、徒に親族まで多重債務の泥沼に引きずり込むことを防げるであろう。ヤミ金に関しては、跳梁跋扈を許さない規制を採ればよいだけである。また、上限金利引上げの上での情報開示や消費者教育の充実が、多重債務者を減らす本当の対策である、と論じているが、情報開示や消費者教育の充実は上限金利如何に関わらず、当然行わなければならないものである。この超低金利時代に、利息制限法所定の15~20%でも暴利に近いということの認識はないのであろうか。
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裁判所判例Watch

2006-06-24 16:44:50 | いろいろ
 「裁判所判例Watch」という便利なサイトができている。
http://kanz.jp/hanrei/
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会社法&商業登記の臨時常設相談を実施中です!

2006-06-24 14:20:53 | 会社法(改正商法等)
 京都司法書士会では、常設の無料相談事業を実施していますが、会社法施行後の登記実務の安定に寄与するため、会社法&商業登記の臨時常設相談を実施中です。平成18年6月23日(金)~7月28日(金)の間、毎週金曜日15:30~17:00に行います。会社法下の商業登記実務においては、未だ明確となっていない点が多々ありますが、商業登記の専門家としての立場から、適確にご相談に応じますので、お気軽にご相談下さい。
http://www.siho-syosi.jp/topics/20060626.html

日時  毎週金曜日15:30~17:00
    ただし、平成18年6月23日(金)~7月28日(金)の間
場所  京都司法書士会館
    ※ できるだけ、電話で予約して下さい。
     TEL(075)241-2666

cf. http://www.siho-syosi.jp/kaisya/kaisya.html
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合同会社における利益相反取引の承認

2006-06-24 12:58:56 | 会社法(改正商法等)
 合同会社においては、業務を執行する社員と会社間の取引等については、定款に別段の定めがある場合を除き、当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない(会社法第595条第1項)。社員1名の合同会社も認められることから、社員1名の合同会社においては、当該社員以外の社員が存在せず、利益相反取引行為についての承認は如何、という問題が生じる。既に不動産取引実務において、そうした問題が現出しているようである。

 利益相反取引に関する規制は、取締役等の会社に対する忠実義務違反行為を規制するためであるが、合同会社の業務執行社員についても、会社に対する忠実義務(会社法第593条第2項)の規定があり、そして、会社法第595条第1項の規定が置かれているものである。ここで、利益相反取引については他の社員の過半数の承認により許容されるのであるから、規制目的は「他の社員の保護」にある。従って、社員1名の合同会社においては、利益相反取引行為に関する承認という問題はそもそも生じないということができる。

 支配社員の忠実義務という観点からすれば、会社債権者の保護の必要も問題となりうるが、会社債権者が、詐害行為の取消し(民法第424条第1項)、否認権の行使(破産法第160条)、当該社員の第三者に対する責任(会社法第597条)による救済を受けられる以上に、会社に対する干渉を認める必要もないであろう。

 また、会社法第598条第2項が同第595条を準用しているので、法人が業務を執行する社員である場合には、当該社員の職務を行うべき者と会社間の取引等については、定款に別段の定めがある場合を除き、当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。法人社員1名の合同会社においては、この場合に承認不要とすることもありえるが、法人社員と当該社員の職務を行うべき者とが契約関係にあることからすれば、当該社員の職務を行うべき者と会社間の取引等については、当該社員の承認を受ける必要があると考えるべきではないだろうか。当然のこととして規定されなかったのかもしれないが、当該社員の職務を行うべき者が当該社員の意に反して専断的に利益相反取引を行った場合に法律関係が錯綜することから、法人が業務を執行する社員である場合には、「当該社員以外の社員の過半数の承認」ではなく「当該社員の承認、かつ、当該社員以外の社員の過半数の承認」が必要であると解すべきである。

 なお、会社法第595条第1項では、定款の別段の定めを許容しており、その内容には特に制限が設けられていないので、社員が複数存する合同会社においてさえも、利益相反取引について一切承認を要しないとすることも可能である。総社員の同意等により定款変更(会社法第637条)を行えば、承認を要しないとすることができるのであるから、この点に鑑みても、社員1名の合同会社においては、利益相反取引の承認を要しないということができる。
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株主総会議事録の作成に係る職務を行った取締役

2006-06-24 10:52:09 | 会社法(改正商法等)
 株主総会の議事については、議事録を作成することが要求されている(会社法第318条第1項、会社法施行規則第72条)。旧商法と異なり、議長及び出席した取締役の署名(又は記名押印)は要求されていないが、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名が、議事録の記載事項とされている(同規則第72条第3項第6号)。

 株主総会の議事内容は、関係事項についての登記、決議を争う訴訟等に関係し、後日のために明確に記録される必要がある。旧商法では、議事録が会議に関する記録であることから、議長及び出席した取締役の署名(又は記名押印)を議事の内容を確認する意味で要求し、決議についての証拠保全と、その証拠保全を議事に関与した者の署名(又は記名押印)によって担保させていた。

 会社法では、株主総会議事録は単に事実の記録であるとされ、議長及び出席した取締役の署名(又は記名押印)は、原則として要求されていない。従って、「議事録の作成に係る職務を行った取締役」は、株主総会に出席していない取締役(例えば、株主総会で新たに選任された取締役等)であってもよい、という解釈も成り立つところである。

 しかし、取締役会議事録については、出席した取締役及び監査役の署名(又は記名押印)が要求され(会社法第369条第3項)、「議事録の作成に係る職務を行った取締役」の記載が法定されていない。この点に鑑みると、株主総会議事録の作成に係る職務を行う取締役は、原則として出席した取締役であるべきである。

 取締役会設置会社でない株式会社において、株主総会議事録を代表取締役を選定したことを証する書面(商業登記規則第61条第4項第1号)として登記申請書に添付する場合には、議長及び出席した取締役の記名押印が要求され、また、不動産登記の申請の際の利益相反取引を承認する議事録として添付する場合には、作成者の記名押印が必要である(不動産登記令第7条第1項第5号ハ、同第19条第1項)。このような場合には、議事に関与した者の記名押印によって真正を担保させるわけであるから、「議事録の作成に係る職務を行った取締役」が株主総会に出席していない取締役であるのは、問題があろう。

 従って、「議事録の作成に係る職務を行った取締役」は、株主総会に出席していない取締役(例えば、株主総会で新たに選任された取締役等)であってもよい、という解釈を採るとしても、上記のような場合は例外とすべきである。

cf. 登記研究第658号(2002年11月号)
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「新不動産登記の実務と書式(増補改訂版)」

2006-06-24 09:52:05 | 著書・論稿・講演等
司法書士登記実務研究会(代表 佐藤純通)編「新不動産登記の実務と書式-書面申請・本人確認・登記原因証明情報-(増補改訂版)」(民事法研究会)
http://homepage3.nifty.com/minjiho/books/fudousantoukinojitumutoshosiki-zouho.htm

 平成17年3月の新不動産登記法施行後1年余を経過、その間の実務・運用、特にオンライン指定庁での動向を織り込みつつ、会社法施行による影響等も盛込み、最新の法令に基づき増補改訂したもの。

 「新会社法施行に伴う不動産登記実務への影響」、「磁気ディスク(FD等)を提出する申請」等の新章を追加し、100頁あまり増補。

 私も共著に名を連ねています。
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「アドバンス新会社法(第2版)」

2006-06-23 23:13:48 | 会社法(改正商法等)
長島・大野・常松法律事務所編「アドバンス新会社法(第2版)」(商事法務)

 改訂版がいよいよ発刊。ボリュームがあるが、「実務のポイント」を拾い読みするだけでも、参考になると思われる。お奨め。

 同書のはしがきに、
「おかしなところ、使い勝手の悪いところは躊躇なく指摘し、大いに議論し、適切な改善措置を求めるべきであろう。その関係では、法務省が省令制定過程で見せた『省の面子よりは規則の完成度を上げることを優先する』という姿勢は大変心強い。この動きの激しい時代に『無謬の会社法』や『会社法の完成』はありえず、会社法は永遠に不完全であり未完であるというべきである。法務省には、会社法本文についても、実務上の問題点の指摘を踏まえつつ、柔軟かつ迅速な改正作業を期待したい。」
とあるが、正に同感の至りである。
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「類型別会社訴訟 I・Ⅱ」(再掲)

2006-06-23 22:55:44 | 会社法(改正商法等)
東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社訴訟 I・Ⅱ」(判例タイムズ)
http://www.hanta.co.jp/news.htm

 判例タイムズ誌の連載を単行本化したもの。会社訴訟事件等を取り扱う商事専門部である東京地裁民事第8部の裁判官及び書記官が、実務上の問題点をQ&A方式でまとめたもの。連載当時は、旧商法時代の解説であったが、会社法対応で全面的に書き改められている(深謝)。会社訴訟は地裁の専属管轄とされ(会社法第835条第1項ほか)、司法書士には代理権はないが、特に閉鎖会社においては争いとなりやすいので、商業登記を扱う上で留意すべき事項が多々あり、当然押さえておくべき分野である。

 お奨め。
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日司連定時総会

2006-06-23 08:22:52 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 日司連定時総会2日目。質疑多数につき、30分繰上げて開始。
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裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の実施に関するガイドライン

2006-06-22 17:54:38 | 会社法(改正商法等)
 法務省HPに、「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の実施に関するガイドライン」が公表されている。平成19年4月1日施行。
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/adr01-08.pdf
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