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2022.10.16 「262mP」  厚真町マツノ沢奥地林道探索

 厚真町の多くの地区で、

4年前の「胆振東部地震」による崩壊地の、

災害復旧工事が終了したように見える。

しかしそれはほんの人目につくところだけで、

一歩その奥に足を踏み入れると、

崩壊したときそのままの風景が広がっている。

この日の山行もそんな中で実施した。

 厚真町幌内地区の奥で車中泊し、

朝起きてみると、

前日そこにいた雄鹿が、

まだとどまっており、

しばらくその辺を悠然と歩いた後、

ゆっくり山の方に去って行った。

結局一晩中車中泊地のそばで過ごしたのだ。

 この日はまず幌内地区奥で、

「マツノ沢」に沿って伸びる林道が、

どんな状況になっているのかを確認し、

尾根に取り付いて、

尾根上を「坊主山」(四等三角点)まで歩き、

崩壊地の状況を見て歩くこと。

「マツノ沢」に沿って伸びる林道奥には、

先月むかわ町側から登った「幌内」(ニ等三角点)がある。

それで今度は、

厚真町側から歩いてみたいという思いがあった。

 この日の朝車中泊地をスタートして、

広い風景の中の林道を歩き出した。

この辺りは以前崩壊した土砂、

流倒木がぎっしり折り重なって、

大量に堆積していたものと思われる。

それらがすっかりかたずけられ、

今は広々とした風景が広がる。

そんな中で紅葉が進んで美しい。

 はじめは沢と言うより、

池か沼のように水が溜まっていたが、

それを過ぎると水量の少ない小沢となった。

そしてそこにあるはずの林道だが、

やはり崩壊した土砂に、

ほとんどが埋まってしまっていた。

また、狭くなった沢奥をのぞき込むと、

やはり流倒木が折り重なって、

山のように複雑に積みあがっていた。

こりゃダメだ!

今このルートで「幌内」を目指すことは不可能だ。

 林道探索の目的を終えて、

最寄りの尾根に取り付いた。

ここから「坊主山」を目指すのだが、

ミスをして隣りの尾根を登ってしまった。

林道奥地の凄まじい光景が残像として残ったこと、

登り行く尾根から目にする崩壊地の光景が、

これまたすごい迫力で、

魂を吸い込まれるような気迫を感じたこと、

などで気付いた時には、

地形図に記された「262m標高点」の上だった。

そのまま尾根を進んでもいいが、

かなり遠回りになることから、

一旦沢筋まで下ることにした。

そして隣りの尾根に取り付いた。

はじめは倒木を越えるのに少々手間取ったが、

それを過ぎると薄い笹原の尾根だった。

急登だったが長くは続かず、

尾根が平坦になったところで驚いた。

その先の尾根がない!

地震で尾根ごと崩れ去ったのだ。

まあまあすごい光景だ。

どうも地震が起きた際は、

この辺りが震源地に近かったのか、

これまで色々見てきた中で、

もっとも崩壊の規模が大きい。

なんとか崩壊した中に下り、

先へと登り返そうかとも考えたが、

視認できない部分があり、

そこで先に進めなければ危うくなるため、

迷った末に断念。

結局進退窮まって撤退せざるを得なかった。

しかしそれはそれで深く心に残るものを見た。

いやあ、素晴らしい日となったことに感謝!

この日もここに登って本当に良かった。

周りを見渡すと、

ところどころにピンテが見られる。

これは近々新たな災害復旧工事を始める目印だ。

一旦工事が始まると、

この辺りには立ち入れなくなるし、

その工事がいつまで続くのか不明だ。

従ってこの辺りに足を踏み入れるのは、

今がラストチャンス。

近いうちにまた訪れたい。

 尾根上からそのまま沢筋に下って、

ドロドロの登山靴やスパッツを洗い、

広い広い風景の中を駐車地に戻った。

そして着替えその他のかたずけを済ませて帰途に着いた。

その途中の工事現場で、

面白いものを目にした。

はじめはヒグマ捕獲用の箱ワナか、

と思ったがやけに大きい。

そばに寄ってよく見ると、

それはヒグマを捕獲するためではなく、

突然現れたヒグマから逃れるために、

人間が入って安全を確保するためのオリだった。

中にはクマよけスプレーが備えられている。

こんな人間用のオリを見たのは初めてだ。

いやあ、色々ためになる日だったなあ。

 一旦帰宅して後かたずけをし、

夕方Hiromiといつもの「反省会」とした。

そして二日間の山行の余韻に浸った。

 

 

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