2013/5/9-10 白馬岳主稜
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久しぶりのアルプスだった。
いつ以来、か?
思わず頭を傾げる。
決して避けているわけでも、ましてや嫌っているわけではない。
ここ数年、白馬主稜の計画はことごとく悪天で転戦、中止に追いやられていた。
当然、古典的な正統派アルパインル-トは憧れの一本だ。
しかし、気負いや焦りはなかった。
きっといつか、蒼天のリッジを駆け抜ける。そんな予感があったのだ。
前夜程よく早めに仕事を畳めた。
つくばでtunoくんと合流し白馬へ。
予実はバッチリで12時の時報の直後に長野ICを出れば深夜割引料金。
猿倉には1:00。
東京のarさん夫妻(sadさん、ikuさん)はすでに休息に入っていた。
満点の星空を一時、堪能してから眠りにつく。
翌朝は5時6時。
一泊にしては軽めの装備で出発。
踏み跡を辿るが、朝から雪はグズグズ。
ちょっと、この先が思いやられる。
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白馬尻から主稜に取りつく。
下から拝すると峰を幾つも重ねたような、いかにも長大なリッジ。
どちらにしろ、普段の運動不足を痛感させられるのだろうと腹は括っている。
地味に地味に、ゆっくりと行くほかあるまい。
しばらくすると先行者が見えた。
駐車場でも見かけた単独の若者。
締りのない雪に苦労しているようだ。
トレ-スがあるこちらとて、ステップが安定せず苦戦しているのだから、その苦労は容易に想像できる。
八峰直下で大休止。
tunoくんはまだまだ余裕。若いって良いなあ。
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ここからは主稜たるリッジの始まり。
キレたリッジや雪壁、張り出した雪庇に注意しながらこなしていく。
見上げれば微風、蒼天。
モノト-ンの山々に蒼碧の空。
ぼんやりした想像の輪郭と色彩は、次第に鮮明になっていく。
予感通りだ。
五峰でようやく休憩中の先行者に追いつく。
挨拶と先行の礼を述べる。
なかなかの猛者でその後も先行を替わることはなかった。
tunoくんはまだまだ余裕。先頭を行く機会も多い。
ikuさんもなかなか健闘している。
しかしながら時間はまだ12時。休憩にも充分時間をかける。
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三峰まで来ると、最後の雪壁も近い。
時間は13:30。
今日中に抜けてしまうという選択肢もあったが、せっかく幕装備を担ぎあげたのだから今日はココまでとする。
先行の若人はこの先、二峰まで行ってツエルトを張るということだった。
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数日前の幕場跡を拡張して天幕2張りを連棟。
あとは、水を作ってカフェを楽しんだらやることがないので昼寝タイム。
ウトウトしていると、頂上から外国語で呼びかける声が聞こえたが何と言っていることやら。
夕暮れに山が映えるころ、食事の支度。
しかし、sakは高山病の症状。
一晩休めば問題ないのだが、メンバ-には心配をかけた。
明けて翌日も天気は上々。
シンプルな食事をとって撤収。
下から2人が間隔を空けて上がってきたところで、我々も出発。
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幾分冷えたためかステップは安定していて、不安なく2峰の雪壁を越える。
最後の雪壁には、昨日の単独若人が取付いており、追って先ほどの2名。
後から来た2名も先の2名と同パ-ティ-で昨日は四峰で幕としたらしい。
皆それぞれにノ-ザイルで行っていたが、我々はロ-プを出すので、あとから来た2名にも先行してもらう。
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雪壁は60mほどだろうか。
上に行くたびに傾斜は増すが、ステップがあれば問題ない。
雪庇の切れ目から顔を出せば、白馬の頂と立山連峰、日本海。
アンカ-でフィックス。アッセンダ-でikuさん、tunoくんを迎え、sadさんはスタンディングアックスビレイで。
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下山は白馬大雪渓。
秘密兵器の作業用ナイロンズボンに履き替えてシリセ-ド。
思いのほか湿雪が緩んでいて滑りも伸びない。
歩けば、グズグズで足をとられる。なかなか消耗する下り。
雪崩跡の脇を進んで、わずかで白馬尻。
踏み跡を行けば1時間かからず猿倉につくことだろう。
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時に振り返る。
理由のなき確信というよりは、期待。
期待というよりは、希望。そして、障壁は払拭するもの。
それは、変わらずそこにある。
sak
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いつ以来、か?
思わず頭を傾げる。
決して避けているわけでも、ましてや嫌っているわけではない。
ここ数年、白馬主稜の計画はことごとく悪天で転戦、中止に追いやられていた。
当然、古典的な正統派アルパインル-トは憧れの一本だ。
しかし、気負いや焦りはなかった。
きっといつか、蒼天のリッジを駆け抜ける。そんな予感があったのだ。
前夜程よく早めに仕事を畳めた。
つくばでtunoくんと合流し白馬へ。
予実はバッチリで12時の時報の直後に長野ICを出れば深夜割引料金。
猿倉には1:00。
東京のarさん夫妻(sadさん、ikuさん)はすでに休息に入っていた。
満点の星空を一時、堪能してから眠りにつく。
翌朝は5時6時。
一泊にしては軽めの装備で出発。
踏み跡を辿るが、朝から雪はグズグズ。
ちょっと、この先が思いやられる。
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白馬尻から主稜に取りつく。
下から拝すると峰を幾つも重ねたような、いかにも長大なリッジ。
どちらにしろ、普段の運動不足を痛感させられるのだろうと腹は括っている。
地味に地味に、ゆっくりと行くほかあるまい。
しばらくすると先行者が見えた。
駐車場でも見かけた単独の若者。
締りのない雪に苦労しているようだ。
トレ-スがあるこちらとて、ステップが安定せず苦戦しているのだから、その苦労は容易に想像できる。
八峰直下で大休止。
tunoくんはまだまだ余裕。若いって良いなあ。
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ここからは主稜たるリッジの始まり。
キレたリッジや雪壁、張り出した雪庇に注意しながらこなしていく。
見上げれば微風、蒼天。
モノト-ンの山々に蒼碧の空。
ぼんやりした想像の輪郭と色彩は、次第に鮮明になっていく。
予感通りだ。
五峰でようやく休憩中の先行者に追いつく。
挨拶と先行の礼を述べる。
なかなかの猛者でその後も先行を替わることはなかった。
tunoくんはまだまだ余裕。先頭を行く機会も多い。
ikuさんもなかなか健闘している。
しかしながら時間はまだ12時。休憩にも充分時間をかける。
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三峰まで来ると、最後の雪壁も近い。
時間は13:30。
今日中に抜けてしまうという選択肢もあったが、せっかく幕装備を担ぎあげたのだから今日はココまでとする。
先行の若人はこの先、二峰まで行ってツエルトを張るということだった。
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数日前の幕場跡を拡張して天幕2張りを連棟。
あとは、水を作ってカフェを楽しんだらやることがないので昼寝タイム。
ウトウトしていると、頂上から外国語で呼びかける声が聞こえたが何と言っていることやら。
夕暮れに山が映えるころ、食事の支度。
しかし、sakは高山病の症状。
一晩休めば問題ないのだが、メンバ-には心配をかけた。
明けて翌日も天気は上々。
シンプルな食事をとって撤収。
下から2人が間隔を空けて上がってきたところで、我々も出発。
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幾分冷えたためかステップは安定していて、不安なく2峰の雪壁を越える。
最後の雪壁には、昨日の単独若人が取付いており、追って先ほどの2名。
後から来た2名も先の2名と同パ-ティ-で昨日は四峰で幕としたらしい。
皆それぞれにノ-ザイルで行っていたが、我々はロ-プを出すので、あとから来た2名にも先行してもらう。
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雪壁は60mほどだろうか。
上に行くたびに傾斜は増すが、ステップがあれば問題ない。
雪庇の切れ目から顔を出せば、白馬の頂と立山連峰、日本海。
アンカ-でフィックス。アッセンダ-でikuさん、tunoくんを迎え、sadさんはスタンディングアックスビレイで。
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下山は白馬大雪渓。
秘密兵器の作業用ナイロンズボンに履き替えてシリセ-ド。
思いのほか湿雪が緩んでいて滑りも伸びない。
歩けば、グズグズで足をとられる。なかなか消耗する下り。
雪崩跡の脇を進んで、わずかで白馬尻。
踏み跡を行けば1時間かからず猿倉につくことだろう。
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時に振り返る。
理由のなき確信というよりは、期待。
期待というよりは、希望。そして、障壁は払拭するもの。
それは、変わらずそこにある。
sak