acc-j茨城 山岳会日記

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谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 凹状岩壁

2016年09月13日 22時05分36秒 | 山行速報(アルパイン)

2016/9/10(土) 天気:晴れ

メンバー:W辺,szt

 

 前週に続き谷川岳.今回のパートナーは5月に中央稜を一緒に登ったW辺さん.私のリクエストは変チ,中央カンテ,凹状のどれかでお願いしたら,凹状に行きましょうということで今回の山行が実現した.

 3:30起床で4:00ベースプラザ駐車場を出発.5:00に出合に到達しハーネスを装着.ここまでは一番乗り.他のパーティがいないのが不思議であった.

取り付きに向けて出発するが,先週に比べ岩の湿り気が増していて靴が止まらない.テールリッジを登って行っても気が休まらないし,疲労度は先週の比ではない.週の半ばは台風が来ていたし,晴れたのだって昨日くらいだからそういうことなのだろう.

6:58中央稜の取り付きに到着.だいぶ気を使って登ったのでとても疲れた.ここで一休みしていると,2パーティ登ってきた.ダイレクトカンテ,中央稜に行くみたいなので我々のルートにはあまり関係なさそうで一安心.

たっぷり休んで重い腰を上げ,凹状岩壁の取り付きに向かい7:45いよいよ凹状岩壁の登攀開始である.

1P目,リードW辺さん.右へバンドをトラバースし左上していく.トラバースではハーケンがあるが,左上していくラインではハーケンなど全くなし.私はセカンドで登ったが,恐ろしことこの上ない.W辺さんよく登るよな~と思っていた.

2P目,リードszt.登りやすそうなところを上がっていくと,中央カンテに分かれるペツルの支点がよく見える.それにしても事前の情報通り浮石が多い.下に落とさないよう気を付けないとな~

3P目,リードW辺さん.凹角上の立った壁の基部まで.ここら辺の記憶はあまりなし.特に厳しくも感じなかった.セカンドだから当たり前か?

4P目,リードszt.もともと今日の岩のコンディションは微妙に湿気っているのであったが,凹角だけあって岩の濡れかたもひどい.おまけにプロテクションは見当たらないし,上に行けばどんどん立ってきそうだし,登る前から嫌な感じ満点である.

とはいえ,まぁ行くかという感じで登る.予想通り岩は濡れているし,ランナウトしているし,そのうえ岩は動くし,とにかくおっかない.ここで足を滑らせれば大けがは間違いなさそうだし下手したら...とにかく集中して登っていくと途中リングボルトが見つかってようやくヌンチャクをかけられた.

一息つけたといいたいが,リングボルトなんて埋まっているのはごくわずかなことを思い出す.とにかく集中して丁寧に足を探しながら登り,ハーケンを見つけて2本目のヌンチャクをかける.ふぃ~,支点まで集中集中と心の中でつぶやいて,何とか立った壁を抜けられた.

5P目,リードW辺さん.ここだって岩はグズグズな感じである.おまけにハング越えはどうやって登るんだ?W辺さんは直上してハング手前を右にトラバースしていたが,トラバースに使ったフットホールドなんて信じられるシロモノとは言えないぞ?

リードで抜けたW辺さんを尊敬するとともに,全く気の抜けないルートである.

6P目,リードszt.事前に考えていたポイントはここかと思っていたピッチ.

見上げれば崩壊跡がありのっぺりとしていてどこがルートかちっともわからない.カンテ沿いに行くとⅢ級だがランナウトするらしいが,そのカンテがどこなのかよくわからない.

ひとまず支点から右へトラバースし,トポに書いてある通りリッジを超えて凹状を登るつもりで行ったのだが,ここでルーファイミス.よくよく考えれば藪だらけなのだからわかるはずだが,トポの文章を気にしすぎておそらくカンテを超えてしまい,ルートを外れてしまう.5P目までのクライミングで気力を持っていかれたのもあるかもしれない.

岩壁登攀でなく,傾斜の急な藪山登りとなってロープがいっぱいになったところで灌木ビレイ.

それにしたって足元は全然安定しない.

7P目,リードW辺さん.ひとまず正規ルートは左の方にあるはずだから,目印となる灌木めがけて藪を左上しながら突っ込んでいく.W辺さんごめんなさい.

目指した灌木は正規ルートの支点にする木であったようで,本来のルートに戻った雰囲気に少しホッとする.上を見ればクラックがあり,ハーケンも何本か目視できる.今までのことを思えば天国にいる気分.

8P目,リードszt.事前の情報通り岩は今までに比べしっかりしていてとっても安心できる.でもここまでのタフな登りでココロはよれ気味なため,出だしのスラブは体が思うように上げられない.気持ちを落ち着けて左の灌木にスリングをかけ,クラックに取り付いていくがここも微妙な感じでかぶっている.ハーケンが連打されているからそれほど恐怖感はないが,ココロがよれているから体もヨレヨレの呈である.

ムーブ的にはどうってことないが,最後の最後でけっこうしんどかった.詰めていけば凹状岩壁の終了点に到着したのであった.

結局終了点にたどり着いたのは12:30.ルートを外れた割にはまずまずなのか?

ここで水分補給&栄養補給をして谷川岳方面を眺める.今年はここら辺に5回も来てるんだな~

ひとまず終了点まで来たら,最近抱えていたちょっと悲観的な考えやココロのわだかまりやモヤモヤしていた気持ちがストンと抜け落ちて,やけに前向きになっている自分がいた.

何だこれ?大げさかもしれないが,必死の思いで登ってきてケガなく無事でいられることを喜んでいる自分に気がついたとでも言うか...

とはいえ安全圏にいるわけではなく,下降が残っている.下降は中央稜で行くか北陵で行くか迷ったのでひとまず中央稜の終了点まで移動することに.中央稜の終了点の移動までだっておっかないのだ.

下降路は相談して13:00頃より中央稜を降りることに.下降の途中で凹状岩壁のルート取りを振り返る.明らかに右へ回り込みすぎだよな~,,,

中央稜の下降は順調に進み,14:00には中央稜の取り付きに到着.

ふと横を見れば,ダイレクトカンテを登っている.

テールリッジの下りは朝に比べれば,幸せなフリクションにあふれている.なんてステキなんでしょ.

出合までは先週と同様にヒョングリの滝を下って行ったのであった.

順調に下って出合には16:30に到達した.

場合によっては死ぬかもしれないことをしているのにこの清々しさは何だろう?やっぱり今の自分は谷川岳に呼ばれているのだろうか?いずれにしても自分の頭のネジは何本か外れているようだ.外れていたってそれがどうした.今の自分には,一ノ倉の壁のいくつかのルートに挑戦しないと生きている心地がしないようなのだ.

szt



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