acc-j茨城 山岳会日記

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赤谷川本谷

2011年09月17日 21時28分58秒 | 山行速報(沢)
赤谷川本谷


「山に行ったらお月様をみてね。きっと笑っているから。」
娘の言葉が耳に残った。
子供ながらに風流なことを言うようになったなぁと歓心。
山行前夜、十五夜お月様はやさしく微笑んでいるように見えた。


入渓点

白毛門登山口で東京のARさん夫妻と合流、1台をデポし川古温泉へ。
赤谷川を目指し林道をヘッデンで行く。

入渓点でヒル退治。
スパッツの奥深く、1匹に喰われていた。
いったいどこから入ったんだろうと驚く。


マワット下ノセン

マワット下ノセンは右岸を巻く。
先日来た時に積んだケルンはそのままだったということは、大水が出ていないということだ。
実際、水量は少ない。


マワットノセン

マワットノセンも右岸を巻く。
前回チョット悪い草つきだったので、ルンゼをもっと登ってから灌木帯に入る。
安定はしていたが、降り口を見失う。しばらく行きすぎ、戻って滝上に出た。


ARさん

そこから巨石帯を行く。
大きな岩や隙間を縫ってクライミング。アップにはちょうどいいかもしれない。
途中から傾斜は増す。まるで巨石の積み重なった大きな滝にも見える。
おおむね右岸を行けば無駄はない。


遠くに望む重鎮

遠くに裏越ノセンが見える。
水量によってその表情を大きく変えるそれは、赤谷の重鎮。

赤谷川本谷は大滝を4つ重ねる。
序盤のマワット下のセン、マワットノセンが門番となり、裏越のセンは本院。
そうして出てくるドウドウセンは、やはり奥ノ院。赤谷の本質がそこにはあろう。
それを越えれば、開けた美しい楽園のような光景が広がる。
とはいえ、4つの大滝は巻くこともできるから、人気が高い。


裏越ノセン

さあ、楽しいクライミングの時間だ。

裏越ノセンは左岸下部の草つきを一段上がってテラスへ。
そこでロ-プをつないで、バンドを行く。


バンドを行く

1P
奥さんリ-ド。草つき岩バンド途中まで。草が茂っていて、岩も湿っているので慎重に。中間支点はキャメと細い灌木。


F滝上のクライムダウン

2P
sak。岩バンドをトラバ-ス、錆びた残置ハ-ケンを過ぎ、バンド終了点からクライムダウン。
足場は見えるけど、ヌメってそうでちょっと怖い。アングルハ-ケンを打ってスリングを垂らして伝い降りる。(ラストが回収)
降りたところに、つぶれたハ-ケン。3ミリスリングで支点利用。
F滝の落ち口へトラバ-スし水流をジャンプで超える。右岸テラスにハ-ケンを打ってビレイ。


3P正面右からリッジを行く


E滝

3P
ARさん。正面リッジを右(滝側)から。
岩は乾いており、快適。途中フェ-スがあり、ここは左側から薮をつかんで、少々強引に登る。
さらに上に4mほどの垂壁。左から巻けばいいのだが、上の灌木にロ-プが掛かって左に振れない。
ここでちょいと苦労し、時間をロス。
垂壁を上がればテラスから右の水流沿いにトラバ-ス。支点構築はキャメ。

4P
sak。D滝落ち口へトラバ-ス。腰から下に飛沫を浴びて水流左、細かいスタンスをつないでいく。
そのうえは右リッジでも、左スラブでも行ける。ハ-ケンと薮支点でビレイ。

5P
一気に開放的な雰囲気。
ロ-プは解いて、スラブをペタペタ行く。
A滝は右のクラックをノ-ロ-プで終了。


A滝あたりは開放的

その上の滝は腰までつかって右テラスに上がってからトラバ-ス。
落ちるといやなので念のためロ-プを出す。
そこを越えると扇沢出合。


今宵の幕場はあの岩より上の小さな台地

時間によっては、奥ノ院と意気込んでいたものの、タイムオ-バ-。
ここは冷静に、幕とする。
幕場は扇沢対岸。オニシダの台地を整地する。少し傾斜があるものの、増水しても安心。
少ない薪を集めてささやかな焚火とシンプルな食事。
沢風に身を委ねる心地よさ。

谷底から見上げる夜空の河に、ひときわ明るい不知夜月。
月明かりに照らされながら深い眠りに落ちていく。

明けて翌日は、ドウドウセンの高巻から。
いつか、きっと。この想いを次に繋げるために巻くべし。


ドウドウセン上の河原が見えた

扇沢を登ってわずかで2段チョックストン。
その手前、右の草付に踏み跡。そこは小沢になっていて、いつしか薮頼りの強引な登りとなる。
尾根上に出たら右へと折れてその尾根を詰める。
途中、露岩がでたら左から巻いてから尾根に上がるが、このあたりシャクナゲが多く苦しい。この巻きの核心であろう。
尾根を伝っていくと、ドウドウセン上の河原が見える。
その河原に落ちていく支尾根へとトラバ-スし、河原に向けて草つきと灌木のコンタクトラインを降りていく。

河原に降りたら、ドウドウセン上部の見学が可能。
A滝とB滝は地下でつながっていてA滝の釜から水が流れ出ない。なかなかの造形に見惚れる。

河原から最初の8m滝を高巻けば、あとは癒しの沢旅だ。







開けた光景に舌鼓。
笹原の山姿が美しい。草原の大地が眩しい。流れる水は清麗にして甘露。
ときに腰まで浸かる釜も困難なく楽しめる。

途中、一面の野苺。地球は美しく、かくも豊か也。そう感じる一瞬だ。


野苺畑

奥の1:1は本流の左へ。途中の小沢を左へ行くと草原へ出た。
「わぁ-っ」と言って次の言葉が出ない。このフィナ-レはナカナカない。


草原に出た

草原の傾斜をスリップに注意しながら慎重に登り、笹薮に入るとものの1分足らずで登山道。
これは凄いねぇ、なんだかねぇ、と皆ニヤニヤしてしまう。


登山道に出た

俎山稜

下山は谷川岳経由で。

下山後の温泉。立待月が微笑んでいた。

sak


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