エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

「正しいこと」、という名の、落とし穴

2015-11-14 10:13:54 | アイデンティティの根源

 

 

 
黄金律の知恵 不思議な一致
  黄金律には、不思議な魅力がありますよね。 p220の第3パラグラフ。      黄金律は、...
 

 

 

 ルターは、心が変えられたのに、「正しいこと」に足を救われてしまいましたね。

 Young Man Luther 『青年ルター』p.240の、第1パラグラフの、下から9行目途中から。

 

 

 

 

 

ルター自身は、法律を使う習慣のために、聖書の御言葉を、あらゆる種類のこの世的な妥協を正当化する律法にしてしまいました。他のいろんな根本法が、聖書と健全な競争をするようになり、ルターが、自分の意志や意図に反して、世俗化するのに手を貸した、ひとりびとりの様々な「人として正しいこと」を保証することになって初めて、プロテスタンティズムは、もっぱら怯えとは無縁な生き方をすることに役立ちました。でもね、こういった役に立つこともあった一方で、倫理哲学者キルケゴールのような人は、ルターを、キリストやパウロ以来の、最も真実な宗教的人物になるかもしれないと見ていたのに、ルターを許せない、ということもあり得ましたね。

 

 

 

 

 ルターも、矛盾の人でしたね。それはある意味では、スケールが常人の及ぶところではないので、そう「見える」という面ももちろんあったことでしょう。しかし、やっぱり「正しいこと」に足を救われて、信頼を回復した心の在り方とは違うものに囚われてしまった一面があったことは、確かでしょうね。

 

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的外れの生き方、してません?

2015-11-14 08:59:18 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
機械仕掛けの人間
  現在のシステムの力は、個人の力を圧倒しますでしょ。意識的に、同調主義に傾かない心の姿勢が必要です。 p122の12行目途中から。 &nb...
 

 

 

 光に向かって、生きてるかなぁ?

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の第4章、「自我と人品 : 結びの覚書」p91の、第2パラグラフの11行目から。

 

 

 

 

 

 世界に対するいろんなイメージについて研究することは、どんなものでも、ひとりびとりの≪私≫が、根源的な心の時空の中で光を目指さなくっちゃならないことや、お互いに見通しを一致させていくネットワークをもたらす様になるように進化していくことと、ともに始めなくっちゃね。根源的な心の時空と言うのはね、たとえば、一日を過ごし方、一年の過ごし方、仕事の分担の仕方、自分や集団を≪超越≫する価値を共有する礼拝の分かち合い、のことですし、それは、限界まで、すなわち、K・エリクソン(1966)(訳注:エリクソンの息子のカイで、エール大社会学部教授。その著作『あぶれピューリタン逸脱の社会学』から。エリクソンが『エール大学評論』に著作を記したのは、息子のカイの勧めがあったからだ、と言われています)の意味では、「いろんな境界線」まで及びます。この境界線で、「よそ者」や「異物」が始まります。

 

 

 

 

 

 心の時空、その共有などと言われても、ピンと来ないかもしれませんね。「心」のような眼には見えないことを知っても、1円の得にもなりませんからね。損得勘定、「損しない生き方」ばかりの日本人には、基本、縁のない話なのかもしれません。でも、自分自身がパニック障害になったり、家族がうつ病にでもなれば、「心って何だろう?」、「心の病気って、どうすりゃ治るの?」と思うやもしれませんよね。

 心には、必ず、向きがあんですね。オリエンテーションと呼ばれます。こころは必ず東向、日出る方向を見るようになっています。すなわち、光を目指してんですね。その向きを確かめるためには、光を目指している心を持つ相手が、少なくとも、1人必要です。

 ゼニ勘定、損得勘定を目指していたら、したがって、それは、見当違い、的外れ、ってわけですね。

 

皆さんも、光向きに向き直してね!

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息と怒り

2015-11-14 03:17:04 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
黄金律の知恵 不思議な一致
  黄金律には、不思議な魅力がありますよね。 p220の第3パラグラフ。      黄金律は、...
 

 

 息と怒り 

 ティグ・ナット・ハーンさんの『平和は一息(魂)から』から。

 一編の詩のような言葉をご一緒に。

 

 

 

 

怒りの面倒をみること

 

 

 イライラや怒りが嵩じてきたら、私どもは、マインドフルネス練習中なら、ずくにでも、意識的に息をすることに戻りましょうよ、歩きの瞑想をやりましょうよ。マインドフルネスのエネルギーを生み出せば、怒りに気付いて、怒りの面倒が見られますから。

 

 ユッタリと息を吸えば、怒りが心に芽生えたことも分かります。

 ユッタリと息を吐けば、心の中で怒りのエネルギーの面倒を見ることになります。

 

 こんな風に、マインドフルネスのエネルギーを生み出して、怒りのエネルギーに気付いて、大切にしてあげる練習をし続けます。

 

 

 

 

 

 皆さん、ご大切に…ね。

 

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愛着障害のカウンセリングはこれだぁ! その2

2015-11-14 02:20:14 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
≪私≫の中には、≪約束≫がある
  「私には夢がある」と言ったのは、かのマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師。夢があることは、人間が日々心豊かに、そして、意識的に生きていくうえで、非常に大...
 

 

 発達トラウマを抱えた愛着障害の子どもは、決して「怒らない」「良い良心」のセラピストが、1人、必要です。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.213の第5パラグラフから。

 

 

 

 

 

 こういうことをしてたら、回復の妨げになりますね。心の傷が痛んで起きちゃういろんな行動は、自分の命を守りたくて始まるものだということが分かれば、あなたは心の中で響いている音色(不協和音)に耳を傾ける勇気を出そうとするかもしれませんよね。でもね、現実に、あなたはその勇気を出す必要があんですね。あなたが探さなくっちゃならないのは、あなたと心響き合わせてくれる信頼できる人ですし、あなたの気持ちにそっと寄り添ってくれて、感情脳からくる、心がシクシク痛む心の声にあなたが耳を傾けるのを手助けしてくれる人です。あなたが必要なセラピストは、あなたが怯えていることにも、ビクビクせず、あなたが抱く最も暗い激しい怒りを包み込んでくれる人ですし、あなたの全てを守ってくれる人です。そういう人がいれば、自分が長い間、心向き合わさず捨ておかなければならず、バラバラになっていたいろんな経験に、シッカリと心向き合うことができるようになります。心の傷を負わされた人は、ほとんどの人が、ジックリと踏みとどまり、しかも、どこまでもやり取りのある関係の中で、この作業を共にしてくれる人が、1人、必要です。

 

 

 

 

 今まで繰り返し「怒られてきた」愛着障害の子どもは、自分が避けてきて、バラバラになった経験を、決して「怒らずに」共にしてくれる人が、1人必要です。それは、必ず「良い良心」の人なんですね。愛着障害の子どもは「激しい怒り」が必ずありますから、その「激しい怒り」付きのバラバラになった経験を、決して怒らずに共にできるのは、「良い良心」のセラピストだけですから。

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