エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ホッとするような温もりのある悦び

2016-03-29 05:45:07 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
安物の世俗
  ルターは、ドイツ神秘主義に心惹かれながらも、ドイツ神秘主義に与しませんでした。何故でしょうか? Young Man Luther 『青年ルター』p189の...
 

 トラウマには、表現して、言葉にする時に癒されるらしい。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第14章 Languare : Miracle and Tyranny「言葉 :奇跡も残虐も(、もたらすもの)」p.245の第2パラグラフから。

 

 

 

 

 

 しかしながら、ペネベーカーとクランツの出した結論、すなわち、言葉は癒しになくてはならない、ということが、いつでも正しいのかは、分かっていません。PTSDの症状(一般の健康とは逆に)に焦点を当てて文字にした学生は、失望しています。私がペネベーカーと議論したとき、ペネベーカーが私を注意したのは、PTSDの患者が文字で自己表現する、たいていの研究は、参加者たちが自分達の語りを分かち合う集団の場で行われている、ということです。ペネベーカーは、私が今まで申し上げたことを繰り返し言いました。すなわち、書く相手は、自分自身であって、自分が何を避けようとしているかに、自ら気付くことなんですね

 

 

 

 

 書くことは、実は自分自身に語ること、そして、自分自身に語ることは、内省です。insight. 不思議なことですが、自分を深く見つめるほど、繋がり、すなわち、さっき、ブルース・ペリー教授が教えてくれたみたいな、生き物としての根源的な命の繋がりを実感するものですね。

 その時の、安心感、信頼感。まぁ、ホッとするような温もりのある悦び。これがあれば、得体の知れない不安に侵されることは、決してありません。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生き物としての根源的な繋がり、および、得体のしれない不安

2016-03-29 04:03:20 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 
小学生と安倍政権 子どもに不信を植え付けています。改訂版
  そして、小学生のことを考えることが、今私どもは、どのような社会に暮らしているのか? を考える上で、一番大事な点かもわかりません。 私どもは、どんな社会で暮...
 

 

 日本では、長時間労働、長時間通勤が当たり前ですから、ネグレクトが一番多い長時間労働が、発達トラウマを作り出しているのです。

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog の第11章、「癒しのやり取り」に入りますp.233、真ん中あたりから。

 

 

 

 

 

 数え切れないほどの世代の間、人間は小グループで暮らしてきました。それは、40~150人の集団で、お互いに近しい関係ですし、寝食を共にしていました。遅くても、西暦1500年には、ヨーロッパの平均的な家族のグループは、だいたい20人くらいでして、心の奥底から繋がり合って、暮らしていました。しかし、1850年までには、近しくして暮らしている家族のメンバーの数は10人に減りましたし、1960には、その数は5人に減りました。2000年の1世帯の平均的な数は、4人以下になり、アメリカの26%は、ビックリするのですが、お一人様です。

 

 

 

 

 

 このようにして、西洋の人たちも、心底繋がって、寝食を共にして生きる力が弱くなりました。アメリカではこの本が出た2006年当時、単独世帯、お一人様が26%だと言います。日本では2014年、単独世帯は27.1%です。日本も、心底繋がって、寝食を共にして生きる力が弱くなってます。

 生き物としての根源的な繋がり。アメリカ人も、日本人も、その繋がりを見失って、得体のしれない不安に侵されているのです。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

心の病の源

2016-03-28 08:03:39 | アイデンティティの根源

 

 

 
シングルマザーと安倍政権
  シングルマザーのおかれている状況も、いま私たちがどんな社会で暮らしているのか、考える時に重要です。 私たちはどんな社会で暮らしているのでしょうか? こ...
 


 反抗の話題は、人気がありませんが、今どき大事な視点です。

 今日は、Young Man Luther 『青年ルター』、第Ⅷ章 終章(エピローグ)のp.262の、下から3行目途中から。

 

 

 

 

 

 霊的指導者は、謙遜の極みにおいて「自分の口は、キリストの口です」というものだ、とルターは言いました。霊的指導者の神経は、いまだ簒奪者の神経です。ですからしばらくは、世界は、良くなるというヴィジョンがありながらも、だんだん悪くなるのかもしれませんね。一番古い禅の詩から、一番最近の心理学の定式まで、「善悪の葛藤こそが、心の病」というのは、ハッキリしています。

 

 

 

 

 

 そして、善悪の葛藤を起こす元が、自罰的であると同時に、他罰的でもある、「悪い良心」です。ですから、「善悪の葛藤こそが、心の病」という定式は、「悪い良心こそ、心の病の源」という定式に、言い換えることが出来ます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真の叡智とヴィジョン

2016-03-28 07:33:19 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
魂の炎
  こういう北の浜を持っていたいものですね。  The Sense of Wonder 『不思議を感じる心』から p106の4行目途中から。 ...
 

 

 年寄り不遇の時代です。

 The lie cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』の、p.116の、第3パラグラフ、8行目途中から。

 

 

 

 

 

 己を知ることが真の叡智であり、自覚的であることでもある、と知ったことを思い起こして下さい。己を知るだけで、死の扉までの長旅に十分準備をしたことになるでしょうか? 私どもの社会は、最後の人生の巡り合わせの舞台が移り変わるのを手助けしたり、年寄りたちが存在することに見合ったことをしているでしょうか? すべての人が、年を取るのです。かつてないほど人が、80の峠を超えるようになり、薬のおかげで、寿命が大幅に伸びました。しかしながら、年寄りたちを、私どもの社会と生きる場に包み込む方法に対する見通しは、そのヴィジョンも計画も、いまだ全くないのです。

 

 

 

 

 

 大きく社会が変化する時に、人間らしさを守るためには、それなりのヴィジョンが必ず必要です。つまり、真の叡智は、ヴィジョンと言う形を取らなければならない、ということです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表現するだけで、発達トラウマは解消するか? 言葉にする必要もあるのか?

2016-03-28 02:15:30 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
ルターとドイツ神秘主義
  自分を確かにするには、進取の気質が必要だったり、積極的であったりする必要があると考えがちです。しかし、実際は真逆です。完全に受け身な方が、はるかに自分を確かに...
 

 トラウマには、芸術療法の効果が「絶大」です。

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第14章 Languare : Miracle and Tyranny「言葉 :奇跡も残虐も(、もたらすもの)」p.245から。

 

 

 

 

 

 

 恐怖が伴う、話しができない状態を避けることができる力が、美術、音楽、ダンスにはあることが、世界中のいろんな文化圏で、芸術(表現)療法がトラウマ治療に使われている1つの理由かもしれませんね。言葉に由らない芸術表現セラピーを、書くセラピーと比較した数少ない体系的な研究の1つは、ジェームズ・ペネベーカーと、サンフランシスコのダンス・運動セラピストのアンネ・クランツによって、行われました。64人の学生たちの集団の3分の1が、三日連続で、1日最低10分間、身体表現運動で、自分のトラウマ経験を表現し、10分間でトラウマ経験について書くように言われました。第2グループは、トラウマ経験を表現するダンスはするけれども、それについて書くことはありませんでした。第3グルーブは、いつもやる運動プログラムをやりました。3か月間たってから、すべてのグループのメンバーが、前よりもハッピーで、身も心も魂までも健全になったのかを報告しました。しかし、トラウマをダンスで表現し、また文字にしたグルーブだけが、改善した客観的な証拠を示しました。すなわち、身体の健康が増し、平均成績も上がりました。(この研究では、特定にPTSDの症状は評価していません)ペネベーカーとクランツの結論は、「トラウマを表現しただけでは不十分で、身も心も魂までも健全になるためには、経験を言葉にしなくちゃなりません」というものでした。

 

 

 

 

 

 発達トラウマも、言葉にすることはもちろん大事です。しかし、私の心理臨床の経験から申し上げれば、箱庭やコラージュなどで表現するだけで、言葉にしなかったケースの方が、言葉に出来たケースに比べて、むしろ、キレイサッパリ、発達トラウマから解放されていますね。≪話し言葉≫を大事にしている私の理論的な枠組みからは外れてんですけれども、それが現実です。また、それが不思議です。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする