劇団☆新感線の上演から13年、ついに「阿弖流為」 (アテルイ) が歌舞伎化されました。
今年一番期待の大きかった舞台。
20日に、娘、夫、とともに鑑賞。
期待にたがわず、胸のすくような、全力疾走の熱い舞台に今も感動がよみがえります。
7月20日 「阿弖流為」 新橋演舞場にて 作:中島かづき 演出:いのうえひでのり
出演:市川染五郎、中村勘九郎、中村七之助、坂東弥十郎、片岡亀蔵ほか
あらすじ
北の民族は蝦夷(えみし)と呼ばれ、大和の時代から、朝廷と争いを重ねていた。
平安初期になり、北への勢力を確たるものにしたい朝廷は 坂上田村麻呂(勘九郎)を征夷大将軍に任じ、北への更なる侵略を始めた。
蝦夷の長は 阿弖流為(あてるい)(染五郎)
この二人は、敵として戦いながら、時として共通の敵を倒しながら、お互いを認め合っていく。
しかし、蝦夷の仲間が倒れ、戦いが深刻化していく中で、阿弖流為は蝦夷の存亡をかけ、ある決断をする。
この芝居は13年前、染五郎が案をだし、劇団☆新感線により舞台化された。
演劇的な評価が高く、その年の読売演劇大賞に輝いた作品。
今でも、2つの花道にそれぞれ立ち、大音声で 「我こそは・・・・」と名乗り合う場面が忘れられない。
堤真一と染五郎のかっこよかった事!!
朝廷を背負う男と、蝦夷を背負う男のぶつかり合いだった。
今までみた芝居の中でピカイチの場面だ。
この芝居が歌舞伎化で、どう変わるのか? 楽しみだった。
今回、一階の両方の花道が見られる一階席を絶対に確保するつもりだったが、
なぜか、歌舞伎会のチケットでも良い席が無かった!!10時ピッタリにホームページを開いたのに~!!何で~~?
悔しいけど、2階席、中央、前から2番目がとれたので、まあまあ良し。
まずは13年前のチラシ写真・・・・・舞台のイメージがわかるかしら?
市川染五郎 堤真一 水野美紀
歌舞伎版
市川染五郎 中村勘九郎 中村七之助
歌舞伎化に際し、脚本も書き直し、演出も変えたそうだが、限りなく☆新感線に近い歌舞伎だった。
舞台狭しと全員が全力疾走、派手な立ち回り(もちろん音付き)、全員歌舞伎役者なので(歌舞伎なので当たり前!)見得が決まる、
全員立ち姿が良い。
これでもか!!と思うぐらいに立ち回りのシーンが多く、いずれも見事。
染五郎は勿論素晴らしいが、勘九郎の力のこもった太刀さばきは素晴しい。
七之助も、負けじと刀を振るい、流麗な太刀さばきで、こんなに動ける役者だったのかと驚いた。
新感線とどこが違うかと言うと、全員男性だという事。
立ち回り部分は、鍛えられた役者達が演じるので、一糸乱れずで全く目が離せない。
ストーリーが歌舞伎向けに非常にわかりやすくなっていた。
阿弖流為の相手役・田村麻呂を勘九郎が演じたため、田村麻呂が、若干若い設定になっていた。
新感線版は、おどろおどろしい闇の部分と 別れの切ない部分があったが、歌舞伎版は少し違ってさっぱりした感じだった。
以前、勘三郎が、いのうえひでのりに、「この芝居は歌舞伎役者がやれば、歌舞伎になります」と言ったそうだ。
確かにそうだった。
新感線版も忘れ難い芝居だったが、
歌舞伎版も、素晴らしく、是非再演をお願いしたい。それも早目に
勘九郎と七之助はまだまだ大丈夫だが、染五郎はこの芝居50代に入ったら無理だと思う。
立ち回りもそうだが、最初から最後まで力を入れっぱなしなので体力勝負の芝居といえるので。
また一つ、思い出に残る芝居に出会い、とても満足しています。
着物姿がちらほら 前回アップしたのと同じ麻の着物。
帯、半襟、帯揚げは よそゆきバージョンにしました。