小言コウベイN

日々感じた風刺等について書いています。

だるま屋

2015-09-09 20:31:07 | 日記

         27.09.10     だ る ま 屋       NO.913

 昭和31年に「売春防止法」が施行されて、私が住んでいた花街「住吉新地」にあった97軒遊女屋の

紅灯が消えました。   当時この街で「ウナギ」専門料理を営んでいた親戚のおじさんの店も、街に

閑古鳥が鳴き始めると商売が成り立たなくなってしまいました。

捨てる神あれば拾う神ありといいますが、ちょうど近所にあった会社の社員食堂の経営者が老齢た

めに商売がきつくなってきたので、手放すという話があって、渡りに船でその店を譲りうけたのです。

ところが、おじさんはもともと高級料理旅館で修業をした、腕利きの板前で大衆向きの料理なんかプ

ライドが許さないのでとてもできない。  焼き魚だってほとんど焼け目をつけないで焼き上げる達

の域でしたが、そういう料理を庶民はあまり食べたことがないので、おっさんこれ焼けてへんやんか!

と文句を言われる。 どう説明してもわかってくれない。 おじさんは1ケ月もしないうちにとうとう頭

にきて「もうやめじゃ!」と匙をなげたのです。「だったらおれがやる!」・・・と私が経営を引き受けました。

パートのおばさんと総勢5名で、フライを揚げたりジャガイモや玉ねぎの皮をむき6ケ月間頑張りまし

たが、忙しい割にあまり儲かる商売でもなく、そのうち公務員試験に受かったし、パートに来ていたお

ばさんの一人が希望したので経営を譲りました。 19歳でした。 その社員食堂の名前が「だるま屋」

でした。  空腹から解放されたのと貴重な経験をしたという思いがあります。

          

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