27.09.14 ド ア ー ・ ボ ー イ NO.917
中学卒、就職組・夜間高校進学希望者の就職先は、大阪駅前のタクシー乗り場のドアー・ボーイでした。
3年半勤めました。直射日光から身を守るべき庇もない、炎天下の夏季はぶっ倒れるほどの灼熱地獄で、
厳寒の冬は目の前の水たまりが凍り付いて行くのが見えるほどの、身も心も凍る厳しい職場でした。
真面目さを買われて、何回か天満天神宮の結婚式場のドアー・ボーイに「抜擢」されたものでした。
ある雨の日タクシーに乗ろうとした盛装の新婦の履物が脱げて、車の下に転がって行きました。
それを誰も拾おうともしない。 当然ドアーボーイが拾うものと思ってる。 衆目注視のなか、泥まみれに
なって車の下に這いつくばって拾ってあげたが、誰も有難うとも言わない、当然と思ってる。
今、同じことをやってもどうとも思いませんが、その時の少年は「なんで俺がこんなことせんとアカンねん!」
と心の中で泣いていました。 楽は苦の種・苦は楽の種と言いますが、若い時にいくらこういう苦労をしたって、
人間の老後はどうなることはか知れませんが、若い時の苦労は人様の心の痛みや悲しみが、少しは理解で
きる人間になれるのではないかと思っています。