過去現在未来のメモリーノート 72 コードネーム 20191108
最近、令丈ヒロ子さん著の『パンプキン ー 摸擬原爆の夏 ー』(講談社青い鳥文庫、講談社、2019年6月15日、新書版、121ページ、定価本体660円)という児童文学を読んだ。
そのなかにこういう文章がある。主人公の小学5年生の少年少女の会話です。
「「パンプキンにしろ、ファットマンにしろ、ふつう爆弾にそんな名前つける?」
「わからんなあ、アメリカンジョークちゅうやつちゃうか?」
「アメリカンジョークて!おもしろく爆弾落とされたら、たまらんわ!」
文句を言いながら、次々出てくるパンプキンについての説明を読む。」(p28)
パンプキンというのはアメリカが日本で落とした長崎原爆と同じ大きさと形と重量の通常爆弾。つまり摸擬原爆のことです。
アメリカ軍はこれをパンプキン(かぼちゃ)と名前をつけていたのです。これは「アメリカンジョーク」でも「ニックネーム」でもないと思います。
広島原爆を「リトルボーイ(小さな少年)」、長崎原爆を「ファットマン(太った男)」というのも同様です。
これはアメリカ軍の正式の名称「コードネーム」です。
今、ネットで「コードネーム」を検索すると「第1回 基本的なコードネームを理解しよう - ヤマハ」とか「楽典:コードネーム」という音楽の和音の「コードネーム」、英語で書くと「chord name」というのが出てきます。これではありません。
もうひとつの「コードネーム」、英語で書くと「code name」、こっちです。「コード code」は映画「ダヴィンチ・コード」のように「暗号」のことです。
たとえばボクの手元にある小山仁示/訳『米軍資料 日本空襲の全容 マリアナ基地B29部隊』(東方出版、1995年)では、のB29の「作戦任務番号第185号 日付 1945年5月28日」まで「コード名」がついている。
この日のコード名は「スターベイション(Starvation)№17」。5月29日以後は「コード名」がついていないのはなぜか研究したい。
つまりコード名というのは作戦内容が通信や文書で敵に漏れないように、聞いてもなんだかわからない名前をつけた軍事的なものだと思う。任務のあいまにおもしろがってつけたようなニックネームではけっしてない。
同様のことはアメリカの核実験の1つひとつに名前をつけているのもそうだと思う。
たとえば1954年3月1日のビキニ水爆実験を「ブラヴォー」というように。まだ、それが「コードネーム」だというアメリカ側文書をボクは見たことはないが。
「コードネーム」についての叙述は不完全だと思う.第二次世界大戦中のアメリカ軍の日本軍飛行機へのネーム付け、戦後のNATO軍のソ連軍飛行機へのネーム付けの問題も含まれると思う。
まだ未完。 20191108