雨宮智彦哲学経済学メモリー 14 20200304 哲学の学習 9 「安定」「固定」と「変化」「発展」の関係 20100225
「哲学の学習 9 「安定」「固定」と「変化」「発展」の関係
2010年02月25日 04時33分37秒 | 人間・生命・宇宙
「ものごとはすべて変化・発展する」かどうか、という学習の続きです。
「変化」とは何かということですが、「ある物あるいはある物事」の「要因」「要素」「属性」の一部の量あるいは質が変化することではないかと思います。
ただし、「ある物あるいはある物事」の統一性というか、「ある物がある物である量と質」「ある物事がある物事である量と質」は保っているので、連続性はあるわけです。
たとえば「ある物A」の属性「a、b、c、d・・・・」とするとき、属性aがa1からa2に変化しても「A」が「A」であることに変わりありません。
連続性とは何かというと、たとえば、カフカさんの小説「変身」で、主人公が毒虫(さそり?)に変身するのに、周囲の人が「この毒虫はお兄ちゃんの青年グレーゴル・ザムザが変身した姿である」という妹グレーテの認識がなければ「お兄ちゃんがいなくなって、嫌な毒虫が現われた」ということになります。
あるいはガラスのコップが壊れれば、コップは「変化・発展した」わけではなくて、たんに「コップでなくなった」、ガラスの破片になっただけです。
コップが「ガラスの破片」に変化したと強弁できなくもないですが、すでにコップでないことには変わりありません。
基本はこうだと思います。ものやものごとは、
① 変化せずに安定している場合
② 「そのもの」を保持しながら、変化・展開・発展していく場合
③ 「そのもの」や「そのものごと」の統一性を保持できなくて崩壊・分解する場合
つまり「ものごとはすべて変化・発展する」というのは「安定期」を無視し、「崩壊・分解の可能性を軽視していて、正しくありません。
①と②との関係では「物あるいは物事」が安定して存在するためには、周囲の環境・条件も長期にわたって安定していないといけません。
ですから、「変化・発展」の時期と、「固定・安定」の時期は「物あるいは物事」を構成する2つの両面で、「変化・発展」の方が本質的で大事だとか、「固定・安定」の方は表面的で軽視できる話と言うことは正しくありません。
地球生命の進化でも、長期の安定的地質条件と、矛盾が爆発する短期間の危機とが混在しています。
人類の歴史でも、たとえば300年にわたる江戸時代の長期の安定期は、戦国時代の転換期と、明治維新の転換期にはさまれています。」