その当人は、真っ白な、美しく創られた桐の箱を用意し、
ピカピカに磨かれた、直径一センチの、
とても美しい天然水晶の小さな玉を、その箱の中に納めました。
その玉は結構長い間、
身近に置いてとても大切にしてきた玉でもあって。
しかし、その箱の蓋は二度と開けられることはない......のでしょうか。
場合によっては、大地の中に埋めてしまうかもしれない......と。
そんなことも、その当人は考えている様でした。
自分ならざるもの
====================================
上にテキストリンクをしていますが、
今回は、少し前の記事の続編となります。
その記事には、メール等で色々なお話や質問を沢山頂いていたのですが、
今回の記事がその答えになれば......と。
大切な人へ、そんな気持ちで置いておきます。
====================================
言葉を伝えられた当人は、その言葉通り、
小さな水晶玉を入れた桐の箱を、
部屋の片隅にある先祖代々の位牌の下に置いておきました。
箱は位牌の下に敷くようにして置くのではなく。
位牌が乗っている真っ白な木の板の下に、
高さ10センチぐらいの箱の入る空間を作って、
その空間の奥、位牌の真下に相当する辺りに、そっと、
目立たぬようにして置いておきました。
それはまるで、墓碑の下の地中に埋められている骨壷のように、
そんなふうにして置かれていました。
しばらく、
「その時」が自然と来るまで、
タマの入った箱は静かに、そこに置かれていました。
——————そして、また、しばらくの時が経ち——————
尊い存在から言葉を降ろす不可思議な御人は、
玉を鎮めた当人に、新たな言葉を届けました。
「石は土に埋めるのではありません」
相変わらずの不思議な空気感を身にまといながら、
御人そんなことを言いました。
「母なる海に還すのだそうです」
言われている当人は、そのまま黙し、
その御人の降ろす言葉を聞いています。
「海はどこでもかまいません。
世界中、どこでも繋がっています。
......固執しすぎているせいか、手を離すと、
その分、力を失うのではないか、と。
それゆえに、魂の声に身を任せられずに今に至ります。
反対に言えば、今だからこそ手離すチャンスです。
石は、母なる海でコロコロと洗われながら、
月と地球の輪を成します。
天地結ばれれば、固くむすび。
天久の智をもって、我を助ける。
では、行ってらっしゃいませ」
新たな言葉を受けた当人は、
先祖代々の位牌の下にしばらく置いていた水晶のタマを、
容れ物の桐の箱ごと部屋から持ち出しました。
行き先は、
綺麗な海を遥かに見渡せる浜辺。
時は、
美しくも妖艶な満月の夜。
たどり着いた浜辺には、端の方に、
海にせり出した観光用の綺麗な桟橋がありました。
バッグパックの中に箱を携えた当人は、
その桟橋の先端まで、一人、歩いて行きました。
実は、当人は、この夜の浜辺に来るまで、日中、
いくつかの「しかるべき」神社を一本の酒を携え、
回ってきていました。
その巡りの最終地がこの浜辺であり、
バッグの中には日中に巡った神社で捧げてきた酒の残りも入っています。
「酒も、繋いできました」
浜辺に突き出た桟橋の突端にしゃがみ込んだ当人は、
手にしていたバッグから酒瓶と、焼き物の猪口(ちょこ)を取り出し。
神々を繋いで来たお酒を、なみなみと猪口に注ぎました。
次に、タマの入った桐の箱も......取り出し、
酒の注がれた猪口と酒瓶の脇にそっと置きました。
そして、その前に立ち、しばしの静寂を感じ、目を閉じ、両手を合わせ、
祝詞もあげて。
胸に去来する様々なことを、ポツポツと、
誰に届けるでもない口調で語り出します。
「全てを、、手放します。
生まれ、、、変わります。
とにかく、頑張ります。
何が正しくて、何が間違いか、
実は、本当のところ、今でもよくわかってはいません。
でも、こうすることが、
こうすることで、
また、新しく進んでいけそうな、
そんな気もするのです。
とにかく、今までの自分とはさようならです。
これまでの自分も決して嫌いではなかったけれど。
好きだったと思うけど、でも、いつも、何かが足りない気がしていて。
このままではダメだという気持ちも、いつも強く持っていて。
そんな自分ではこれ以上進めない所にまで来てしまったのではないか、と、
必ず、素晴らしい人間になってみせます。
強く、大きな人間になってみせます。
サヨウナラ。
好きだったけど、
嫌いだった、
憎んでもいたかもしれない、
どうしようもなかった、、、、、、、自分、、、」
満月の輝く夜の海は、
その光を淡い夢のように反射させ、波打っていました。
月の光はどこかへ続いていく道の様に、細長く、
幻の如く海の上に漂っていて。
そんな月の光の道が海から桟橋へとつながり来る場所に立った当人は、
酒の横に置いてあった桐の箱からピカピカと光る水晶の玉を取り出し。
そして、その玉に一礼をして。
感謝の気持ちも込めて。
目前の夜の海に、程よい力で、
少しばかり遠くへと投げ込みました。
.......ポシャ、、、っと、
かすかに、
遠くから玉が海に落ちる音が聞こえてきました。
続いて、石の入っていた木の箱も、
蓋と本体部分とに分けて海に投げ入れました。
言葉を下ろす御人からはねぎらいの言葉が届いてきました。
「今日は、観月会という日でした。
日本中の神社でも催事が多く行われていたと思います。
今日は120点です。満点以上です。
これから2、3日は、不具合があるかと思います。
4日後から歯車は噛み合ってきます。
お疲れ様でした。ごゆっくり。
本当にお疲れ様でした」
どうやら、自分の、
自分の手による葬式は終わったようです。
すべきことを終え、
そのまましばらく満月の輝く夜の浜辺に佇んでいた当人は、
何処からか声が響いてくるのを聞いていました。
「海原を治めさい」
「夜を治めなさい」
「よるのおすくにをしらせ————夜の食国を知らせ」
神話にそんなことを記されていた特別な2柱の神。
青き炎を宿す、大王なる神と、月を司る宵闇の神。
本当のところ、この二神は表裏一体の関係。
力の現れが違うだけであり、根本は繋がっていて。
どちらがどちらともいえない関係。
このことを知る人は、感じられていた人は、
この世界に、果たしてどれくらいいたのか。いないのか。
そんな二神が一体となり、本来の形に戻り。
しかし、戻ったとしても、繰り返したとしても、
この世の理(ことわり)の通り、
以前と全く同じ形になるというわけではなく。
それは、
新たな神の誕生ということであり。
これまでにない神の登場ということであり。
2神の力を併せ持つ強大な神となるということであって。
この後には、他の沢山の神々も同様の結合と進化が控えていて。
全て、これまでと同じでは、これ以上は進めないのだ、と。
人も「自分ならざるもの」に導かれている状態では、
もう、行き止まりなのだ、と。
海に沈んだ水晶のタマは、ゆらり、ゆられ。
コロコロと流れゆき。
自身と地球と月と太陽と宇宙の果てとを繋ぐ、
そんな石となりえるのだろうか。
満月の光と空と。大きな海と。
心地よく寄せ返す波の音。
それらの輪郭は、これまでにない明瞭さを現して来て、
海辺に佇む当人の胸に迫ってきていました。
———————ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは—————————————
ピカピカに磨かれた、直径一センチの、
とても美しい天然水晶の小さな玉を、その箱の中に納めました。
その玉は結構長い間、
身近に置いてとても大切にしてきた玉でもあって。
しかし、その箱の蓋は二度と開けられることはない......のでしょうか。
場合によっては、大地の中に埋めてしまうかもしれない......と。
そんなことも、その当人は考えている様でした。
自分ならざるもの
====================================
上にテキストリンクをしていますが、
今回は、少し前の記事の続編となります。
その記事には、メール等で色々なお話や質問を沢山頂いていたのですが、
今回の記事がその答えになれば......と。
大切な人へ、そんな気持ちで置いておきます。
====================================
言葉を伝えられた当人は、その言葉通り、
小さな水晶玉を入れた桐の箱を、
部屋の片隅にある先祖代々の位牌の下に置いておきました。
箱は位牌の下に敷くようにして置くのではなく。
位牌が乗っている真っ白な木の板の下に、
高さ10センチぐらいの箱の入る空間を作って、
その空間の奥、位牌の真下に相当する辺りに、そっと、
目立たぬようにして置いておきました。
それはまるで、墓碑の下の地中に埋められている骨壷のように、
そんなふうにして置かれていました。
しばらく、
「その時」が自然と来るまで、
タマの入った箱は静かに、そこに置かれていました。
——————そして、また、しばらくの時が経ち——————
尊い存在から言葉を降ろす不可思議な御人は、
玉を鎮めた当人に、新たな言葉を届けました。
「石は土に埋めるのではありません」
相変わらずの不思議な空気感を身にまといながら、
御人そんなことを言いました。
「母なる海に還すのだそうです」
言われている当人は、そのまま黙し、
その御人の降ろす言葉を聞いています。
「海はどこでもかまいません。
世界中、どこでも繋がっています。
......固執しすぎているせいか、手を離すと、
その分、力を失うのではないか、と。
それゆえに、魂の声に身を任せられずに今に至ります。
反対に言えば、今だからこそ手離すチャンスです。
石は、母なる海でコロコロと洗われながら、
月と地球の輪を成します。
天地結ばれれば、固くむすび。
天久の智をもって、我を助ける。
では、行ってらっしゃいませ」
新たな言葉を受けた当人は、
先祖代々の位牌の下にしばらく置いていた水晶のタマを、
容れ物の桐の箱ごと部屋から持ち出しました。
行き先は、
綺麗な海を遥かに見渡せる浜辺。
時は、
美しくも妖艶な満月の夜。
たどり着いた浜辺には、端の方に、
海にせり出した観光用の綺麗な桟橋がありました。
バッグパックの中に箱を携えた当人は、
その桟橋の先端まで、一人、歩いて行きました。
実は、当人は、この夜の浜辺に来るまで、日中、
いくつかの「しかるべき」神社を一本の酒を携え、
回ってきていました。
その巡りの最終地がこの浜辺であり、
バッグの中には日中に巡った神社で捧げてきた酒の残りも入っています。
「酒も、繋いできました」
浜辺に突き出た桟橋の突端にしゃがみ込んだ当人は、
手にしていたバッグから酒瓶と、焼き物の猪口(ちょこ)を取り出し。
神々を繋いで来たお酒を、なみなみと猪口に注ぎました。
次に、タマの入った桐の箱も......取り出し、
酒の注がれた猪口と酒瓶の脇にそっと置きました。
そして、その前に立ち、しばしの静寂を感じ、目を閉じ、両手を合わせ、
祝詞もあげて。
胸に去来する様々なことを、ポツポツと、
誰に届けるでもない口調で語り出します。
「全てを、、手放します。
生まれ、、、変わります。
とにかく、頑張ります。
何が正しくて、何が間違いか、
実は、本当のところ、今でもよくわかってはいません。
でも、こうすることが、
こうすることで、
また、新しく進んでいけそうな、
そんな気もするのです。
とにかく、今までの自分とはさようならです。
これまでの自分も決して嫌いではなかったけれど。
好きだったと思うけど、でも、いつも、何かが足りない気がしていて。
このままではダメだという気持ちも、いつも強く持っていて。
そんな自分ではこれ以上進めない所にまで来てしまったのではないか、と、
必ず、素晴らしい人間になってみせます。
強く、大きな人間になってみせます。
サヨウナラ。
好きだったけど、
嫌いだった、
憎んでもいたかもしれない、
どうしようもなかった、、、、、、、自分、、、」
満月の輝く夜の海は、
その光を淡い夢のように反射させ、波打っていました。
月の光はどこかへ続いていく道の様に、細長く、
幻の如く海の上に漂っていて。
そんな月の光の道が海から桟橋へとつながり来る場所に立った当人は、
酒の横に置いてあった桐の箱からピカピカと光る水晶の玉を取り出し。
そして、その玉に一礼をして。
感謝の気持ちも込めて。
目前の夜の海に、程よい力で、
少しばかり遠くへと投げ込みました。
.......ポシャ、、、っと、
かすかに、
遠くから玉が海に落ちる音が聞こえてきました。
続いて、石の入っていた木の箱も、
蓋と本体部分とに分けて海に投げ入れました。
言葉を下ろす御人からはねぎらいの言葉が届いてきました。
「今日は、観月会という日でした。
日本中の神社でも催事が多く行われていたと思います。
今日は120点です。満点以上です。
これから2、3日は、不具合があるかと思います。
4日後から歯車は噛み合ってきます。
お疲れ様でした。ごゆっくり。
本当にお疲れ様でした」
どうやら、自分の、
自分の手による葬式は終わったようです。
すべきことを終え、
そのまましばらく満月の輝く夜の浜辺に佇んでいた当人は、
何処からか声が響いてくるのを聞いていました。
「海原を治めさい」
「夜を治めなさい」
「よるのおすくにをしらせ————夜の食国を知らせ」
神話にそんなことを記されていた特別な2柱の神。
青き炎を宿す、大王なる神と、月を司る宵闇の神。
本当のところ、この二神は表裏一体の関係。
力の現れが違うだけであり、根本は繋がっていて。
どちらがどちらともいえない関係。
このことを知る人は、感じられていた人は、
この世界に、果たしてどれくらいいたのか。いないのか。
そんな二神が一体となり、本来の形に戻り。
しかし、戻ったとしても、繰り返したとしても、
この世の理(ことわり)の通り、
以前と全く同じ形になるというわけではなく。
それは、
新たな神の誕生ということであり。
これまでにない神の登場ということであり。
2神の力を併せ持つ強大な神となるということであって。
この後には、他の沢山の神々も同様の結合と進化が控えていて。
全て、これまでと同じでは、これ以上は進めないのだ、と。
人も「自分ならざるもの」に導かれている状態では、
もう、行き止まりなのだ、と。
海に沈んだ水晶のタマは、ゆらり、ゆられ。
コロコロと流れゆき。
自身と地球と月と太陽と宇宙の果てとを繋ぐ、
そんな石となりえるのだろうか。
満月の光と空と。大きな海と。
心地よく寄せ返す波の音。
それらの輪郭は、これまでにない明瞭さを現して来て、
海辺に佇む当人の胸に迫ってきていました。
———————ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは—————————————
まるで自分がその場に居るような感覚になりました。
愛おしさを手放すような、
愛する何かの旅立ちを見送るような、
悲しさと切なさの気持ちが込み上げてきて、
それと同時にどこか祝福感も感じられて、
心がきゅーっ (>_<) となりました。
石を手放した後の部分を読んだ時は、
半ばぼうぜんとしながらも、
それでも淡々と前へ進んでいくのだろうと思いました。
執着を手放し、新しい自分が誕生する事の、
疑似体験をさせて頂いたように思います。
この度も、
素晴らしいブログをありがとうございました。
深く理解出来たと思います。
続編ありがとうございました(^_^)!
ありがとうございます(^^)
初めてコメント入れさせて頂きます。
ノナの家ブログ様からこちらへ飛んで来させて頂きました。自分ならざるもの、読ませて頂き、
言葉にするのは難しいですが、
胸がドキドキして
魂が、何だか清々しい、嬉しい気分になりました。感激です。
若輩者ですが、私も見習い、生まれ変わります。
自分や世界の為の神事?お仕事を、いつもありがとうございます。沢山の気付きと学びを頂けております。
これからもお身体ご自愛頂き、いつまでもお元気で(●´ω`●)ありがとう偉大なる尊敬するシャーマン
愛してます。
転がる石によって綺麗になるのでしょうか。
ライク ア ローリングストーンですね◎
その環境下にいる僕らも同じ状況となるのでしょうね。