新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

早期剥離で死亡:医療事故じゃないでしょう?

2008-05-02 21:10:54 | 医療

ちょっと、気になる記事を見つけました 。読売新聞です。

 

「大量出血」帝王切開で母子死亡…静岡厚生病院  

静岡市葵区北番町の静岡厚生病院(265床)は2日、同病院で帝王切開手術を受けた同市の妊婦(24)と10か月の胎児が死亡する医療事故が起きたと発表した。  

同病院は、静岡中央署に異状死の届け出を行った。  

記者会見した玉内登志雄院長によると、妊婦は出産予定日を3日過ぎた4月27日朝に産気づき、診察を受けるなどしていた同病院に来た。胎盤が分娩(ぶんべん)前にはがれる胎盤早期剥離(はくり)と診断され、医師が帝王切開したが、胎児は死亡。その後、妊婦も大量出血を起こし、同日午後に死亡した。  

胎盤早期剥離を起こすと、胎児は低酸素状態になり、妊婦も大量出血で生命に危険が及ぶことがある。胎盤早期剥離は妊婦の1%弱に起きるが、双方が死亡するケースはまれで、同病院ではここ20年間起きていないという。玉内院長は「医療行為に、死因に直結する問題はなかったと考えている。事態の重大性を考え、公表した」と述べた。 (2008年5月2日 読売新聞)

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これだけの情報では何もいえないかもしれませんが、医療行為に死亡に繋がるものはなかったと考えられているものが、「読売新聞」で「医療事故」と書かれているのが、少し気になります

 

「医療事故が起きた」と発表したのか、「読売新聞の記者」さんがそう解釈したかによって、批判するしないは変わるのですが、早剝での大量出血であれば、死亡につながる可能性は十分あるでしょうし、事情はどうあれ医療事故と書くのはおかしいように思います

 

大手新聞記者さんの記事は「強い責任」が伴います。少なくとも、この記事の書き方が気になったので、ここで書かせていただきました

マスコミの方の「責任」に関して、もっと「責任感をもって、きちんと書いてほしい」と思われる方、応援をよろしくお願いいたします

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

もちろん、すべてのマスコミの方が「責任感」がないとは思っていません。むしろ、過重労働の中、現場の方に関しては忙しく働かれている事だと思います。

しかし、この一つの記事が「産科医療」を更に壊すかもしれない。おかしな世論を構成するかもしれない・・・ということだけ、訴えたいと思います。

 

最後に、亡くなられた妊婦さん、お子さんに深く哀悼の意を表して終わりにしたいと思います。

それでは、失礼いたします

コメント (4)
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5分間ルールの目的は医療費抑制:医療・教育の改善は経済の効率化へ繋がる!

2008-05-02 20:21:55 | 医療

こんばんは

今日は、昨日も書いたとおりで休暇をもらっていたので、ゆっくり休ませていただきました。

午前中はネットと読書。午後からは読書と2時間ほど走ったり、筋トレしたりして過ごしておりました。 午後にマジで走ると・・・・夕食を受け付けません。ただ、トレーニング後に飲んでいる牛乳300ml+プロテインが効いているだけかもしれませんが

さて、今日は「北海道で白鳥から鳥インフルエンザ」が出た(強毒かは不明)とか、内閣支持率が20%だとか、市立泉佐野病院が内科・外科の救急部門を停止(産科はやるのにね)とか・・・いろいろな記事がありました。

しかし、キャリアブレインからこの記事を取り上げたいと思います。

 

「『5分ルール』は医療崩壊を加速」

 【特集・第9回】2008年度診療報酬改定(9)池川明さん(神奈川県保険医協会副理事長)  

今回の診療報酬改定では、「外来管理加算」の算定要件に5分以上の診察時間を義務付ける「5分ルール」が導入された。5分ルールについては、「診察の内容をおおむね5分という時間で評価すること自体が不適切」という批判が少なくない。神奈川県内の小児科と200床未満の中小病院を対象に緊急アンケートを実施した同県保険医協会の池川明副理事長に、5分ルールや今回の改定に関する問題点などを聞いた。(山田利和)

-今回の改定を、どう評価していますか。 

一言で表すと、国が医者を管理していく仕組みをうまく入れ込んできたという感じです。医者とは元来「自由人」で、自分が適すると判断する治療法で患者さんを治したいという希望があります。だから、“フリーハンド”でありたいのですが、今回の改定では、その枠がかなり狭められたと思います。

-それに5分ルールが関係しているのでしょうか。 

そうです。患者さんにどのくらいの診察時間を使うかは本来、医師の裁量で決めるものです。わたし自身、一人の患者さんに1時間をかけることもあるのですが、必要と考えるから時間をかけるのであって、お金になるからという理由ではありません。逆に言うと、短い診察時間でも、患者さんの状態をよく知っていて、コミュニケーションが取れていれば、5分という要件は不要です。しかし、国は診察時間に5分という「規制の網」を掛けてきたのです。 -国の狙いは、どこにあるのでしょう。 

医師一人当たりの患者数を減らすには、診察時間が長い方がいい。そうすると、医療費を抑えることができるわけですから。国の狙いは、医療費抑制にあります。決まった医療費で長く診察すれば、それだけ医療費は少なくなるでしょう。そのために、今後も医師の診察行為をどんどん縛ってくると考えられます。今回の改定は、そのための布石だったとも言えるでしょう。

-神奈川県保険医協会では、いち早く5分ルールに関するアンケートを実施しました。 

5分という要件を満たして時間内に診察を終えようとすれば、一日に診察できる患者さんが減り、収入は悪化して、経営の悪化につながります。また、要件を満たした上で、すべての患者さんを診察するには、診察時間を大幅に延ばさざるを得ないなどの問題点が想定されます。その影響は、一体どのくらいなのかを調べてみることにしたのです。

-かなり深刻な結果になったようですが。 

県内の小児科と200床未満の中小病院の計68医療機関から回答を得ました。その結果、5分ルールをクリアできて「外来管理加算」を算定できるのは、小児科の患者で25.6%。小児科では5割が10%以上の減収になり、その平均額は288万円でした。また、中小病院の患者では、クリアできるのが58.8%、平均の減収額は587万円でした。こういう影響から、5分ルールについては、小児科の94.1%、中小病院の80.6%が反対を表明しています。

-5分ルールは、医療現場が否定していますね。 

今回の改定は、医師不足が特に目立つ小児科や産科、病院勤務医への対策が柱だったと言われていますが、医療現場の実態とは矛盾した改定だったことが、アンケートからも浮き彫りになりました。アンケートでは、小児科の70.6%、中小病院の71.0%が「5分ルールは医療崩壊を加速させる」と答えています。

-保険医協会では、後期高齢者医療制度にも反対していますが。 

これも大きな問題だと思っています。国は「『主病』は一つで、一人の患者に一人の医師」としていますが、実際には、一人の患者さんがいくつもの病気を抱えていることがある。にもかかわらず、「『主病』は一つ」と決めてしまう。人間には多面性があるということを認めないという発想です。75歳以上の高齢者に、複数の病院に行ってもらっては困るという考えで、これも「5分ルール」と同様、医療費の抑制というのが根本にあるのです。

医療費抑制が“錦の御旗”になっています。 

医療費については、国民的な議論が必要です。安い保険料で今のフリーアクセスを求めるのか、保険料を高くしてフリーアクセスにするのか、病院に行かないように制限して安い医療費でいくのか。こうした選択に迫られていると思います。

問題なのは、医療費が同じだとすると、「限られたパイ」をどう配分するかになりますから、高齢者の数が増えていく中、診療行為へのしわ寄せ、いわゆる医療の内容が乏しくなることも考えられます。 

このことについては、後期高齢者医療制度に典型的に表れています。「後期高齢者診療料」が新設されましたが、診療報酬は月額600点(6000円)です。これについても保険医協会で検証したのですが、従来の老人医療費と比較するとマイナス27%の低水準です。医療内容を軽視する報酬で、対象者に質の高い医療を難しくさせます。採算割れの報酬で、現場には疑問が噴出しています。

-今回の改定は本体部分がプラス改定でしたが、内容を見ていると問題が多いですね。 

「5分ルール」にしても、後期高齢者医療制度にしても、医療への「制限」が鮮明になっており、今回の改定で、国が医師をコントロールする「管理医療」が強まりました。これでは、いい医療を提供することができません。

-どのような対策が必要でしょうか。 

医療をより良くするには、患者さんと医師が連携を取らなければならないと思います。患者さんは医療現場の実態を知り、医師は患者さんのニーズをつかむ。お互いが医療に望んでいることをすり合わせ、大きな声にしていく必要があります。 神奈川県保険医協会が窓口になって、「医療費の窓口負担『ゼロの会』」を立ち上げましたが、これは患者さんと医師が望ましい医療について話し合うことが目的です。医療保険・制度は国民みんなで支え合って成り立っています。この制度が「崩壊」していると言われている今こそ、患者さんと医師が問題を共有し、どのような医療を進めていくか、じっくり話し合わなければなりません。そのために「ゼロの会」を役立てたいと考えています。

 更新:2008/05/02 18:18 キャリアブレイン

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この記事は「5分ルール」に関して書かれた記事ですが、昨日書いたように「医療費抑制」が目的である・・・と。 我々は・・あえて言えば、今が安すぎるから(GDP比で諸外国の6~8割)程度なのでもう少しあげろと要求しているだけなのですが、国はまず経済ありき。医療福祉は二の次と言う考え方です。

いつも書いておりますが、医療や福祉、そして教育と言う分野があって初めて「経済」と言うものが有効性を発揮してきます。

 

経済重視・・・である割には、非常に効率的でないと国際的には評価されている日本ですが(時間で割るとですね)、何故効率的ではないかということを考えたりしないのだろうか?

実は、医療福祉や教育の分野の改革がなされていないからだと思っています。特に教育の分野の改革がおろそかになりすぎているために、経済活動が非効率的である。

僕は専門家ではないですので、経済活動が非効率的といっているのは、ある本に書いてあったことがひとつ。もうひとつは・・・

「休日」をしっかりとってオン-オフはっきりさせている欧米諸国

     と

残業が当たり前でその時間を使って漸く今の状況を保っている日本

そのうち燃え尽きるでしょうねw 日本全体が・・・・。

 

全国医師連盟の6月8日の設立集会で江原朗先生が「医師の長時間勤務で医療安全は低下」(http://www.doctor2007.com/recommend4.html)というお話をなさいますが、何の分野でもそうでしょう。 様々な分野の無駄をとっていかなくてはならないと思います。

教育改革を行う事で、実は経済改革にもなるでしょう

医療福祉を充実させることで、経済活動に専念することもできるでしょう

 

ほんとに・・・今の教育ではどうしようもないと言うのが、プロフェッショナルな職業(医者とか弁護士とか・・・)を除いて、どちらかと言うと「大学」で学んだ事が職業に生かされていない

 

いや、もともと「大学に入る」ことが目的だからなのだろうけど、そういう目的になってしまう理由は「社会システム」にもあり・・・

 

う~ん、こうやって書いていくと「日本」と言う国のシステムってまともじゃないですね。駄目駄目じゃないですか・・?

 

「外国からの移民」を受け入れない以上、単純労働者も日本人です。これをいろいろな改革を実施したとします。

すばらしい教育を行い・・全員のスペシャリティを生かそうとすると「スペシャリティ」に対して賃金を払わないといけないから、それを安くしたいがためにこういう制度にしているのではないかとも、考えたりしています

だとすれば、本当にどうしようもないなのですけど・・・

もし考えていなくても・・・現実にそうなっているのだから・・・どうしようもない。

 

話が脱線しましたw

 

いずれにせよ、教育改革や医療・福祉の分野を充実させ(少なくとも普通の国の最低ラインまで)、社会システムの異常を再確認して・・・その原因検索もして・・・行かないと駄目だと思います。

この医療費抑制政策、そして教育政策の失敗が「日本」を二流の国にしてしまうと思います。

 

医療においてもそうだと思っているのですが、意外と他の分野の知識が自分の専門に役立つものが多いと思っています(そういう目で見ていたらですけどね)。

経済主体で考えている人たちが、少しでも医療や教育と言う分野に目をむけ、そこから異常な状況を再確認していければ・・・もしかしたら、日本と言う国が「まとも(何を持ってまともと言うかは不明ですが)」な国に改良されていく様な気がします

 

医療費抑制政策や教育改革を早急に実施し、医療福祉の現状の改善だけではなく、経済的の非効率性も改善させる必要がある・・・と思われる方は、応援をよろしくお願いいたします

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

明日は朝一番に東京に向かいます。大事な友人の結婚式です。

2次会の司会を担当しているので、2次会もあまり飲めません

 

明日は幸福を少し分けてもらってきますw

二人とも幸せになってくださいね~

では、また。

コメント (2)
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