新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

がん遺伝子は遺伝しない

2013-05-17 22:08:59 | 医療

そういえば、アンジェリーナ・ジョリーさんが両側乳房の手術をしたという話が週半ばにありましたが、多分BRCAなんでしょうね。

 

BRCAというのはがん抑制遺伝子の一つですが、がん抑制遺伝子というやつが遺伝する可能性のあるものです。

 

先日外来に来た患者さんの家族が「○○という遺伝子の異常がある可能性」を言われて不安に感じているという話がありました。

○○という遺伝子は「がん遺伝子」で、すなわち増殖を促進するものです。これが異常になる・・・例えば慢性骨髄性白血病でのbcr-ablや骨髄増殖性疾患におけるJAK2遺伝子などですね。

 

がん遺伝子が受精卵の時点で異常をきたしていたら、正常発生はしないはずです。理屈上そうなります。

 

ですので、この時はそういったことを説明して「遺伝子の検査は不要」というようなことを言いました。患者の家族のですけど。

 

いつぞや、近藤誠医師関係の話で「アメリカのスクリーニング検査」に関して書きました。

 

検診を否定しているのではなくて、検査の有用性は「患者の検査前確率に大きく依存している」ので、スクリーニングをおこなう集団を限定しているにすぎない

 

例えば今回の乳癌だとアメリカ予防医学会などは

第1度近親者に乳癌が2人以上おり、1人は50歳以下で診断されている

第1度~第2度の近親者に乳がん患者が3人以上いる

などはBRCA遺伝子の異常も含めて「乳癌の高リスクグループ」としている

 

他にもいろいろ書かれているが、そういった情報をもとに40~49歳まではルーチン検査ではなく個別化し、50歳以上74歳までは2年に一回のマンモグラフィーというような話が書かれている

 

 

そこらへんがアメリカの検診がしっかりしている点だと思いましたが・・・・、BRCAの話を思い出して脱線して言っているなぁ。

今回の報道で多分そうだろうと思いながら見ていましたが・・・眠いなぁ。…くぴー。

 

 

それでは、お風呂に入ってきます。

 

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ジェネリックを使いたくない理由

2013-05-17 21:28:50 | 医療

こんばんは

 

今週はいろいろあって、寝不足でした。というよりイライラして大変でした。

先日、僕が怒っている方のはずなのに周囲から「○○先生がお怒りだから自制しろ」というようなことを言われ、何故言われる必要があるのか・・・というのと、そういう方々の顔を立てるために黙っていたら、イライラしてきて眠れなくなりました。僕が言いたいのに、周りの人の顔を立てるために黙る・・・。イライラしますね(笑

ちなみに通常僕は布団に入ると5分で寝ます。どこでも寝れます。

 

ということで、今週は木曜日まではほとんど夜間の睡眠時間が0で、研究室の人はわかるのでしょうけど「眠そう(というより眠らない医者のはずが「うとうと」していたりw)」な状況でした。木曜日の外来助っ人やカンファレンスもよく寝不足でやっていたなと・・・笑いごとではないですが

 

いつもイライラし始めてから数日間は、イライラする原因を考えますが…今回のは

「イライラするだけ時間の無駄。他人に感情のコントロールを任せるのは気に入らない」

原因がわかってもコントロールできる範囲のものでもないし・・・ということで、いつも通りに戻りました。

 

ただ、最後に一言

FBやMixiが好きな人間にチェックされていないという想定はない。そこまで人を低く見てくれるな。

ということで、この話題終了。

 

さて、今日はいくつか紹介したい記事があります。

政府の国民医療費を賄う財源は、健康保険、税金、そして自己負担分の3つしかない。その3つが現在、火を噴いているのが実情だ。

 現在日本は少子高齢化の真っただ中、その進行速度は、年々上昇し、2025年には、700万人の団魂の世代が後期高齢者になる。その時の国民医療費は、70兆円にも膨れ上がると予想されている。政府の国民医療費を賄う財源は、健康保険、税金、そして自己負担分の3つしかない。その3つが現在、火を噴いているのが実情だ。

 このままいくと世界でも健康保険のモデル的存在として、喝さいを浴びた国民皆保険制度の破たんは免れないとの見方をする人は多い。つまり国民の全ての人が、健康保険に入り、健康保険証1枚で、いつでもどこでも安く医療が受けられる制度が破たんするということだ。

 こうした中で、国民医療費削減の切り札として登場したのが、「ジェネリック医薬品」だ。このジェネリック医薬品は、今に始まったわけではない。前々から特許が切れた医薬品が、ぞろぞろ市場に出回ったことから後発薬品といわず「ゾロ品」と言っていた。

 ジェネリック医薬品とは、簡単に言うと特許が切れた医薬品のことだ。製薬会社が開発した新薬は、開発してから20-25年特許を取得してから、販売を独占できる。これを先発品と言っている。その特許が切れた後、同じ有効成分で薬を作るので後発商品という、それがジェネリック医薬品である。

 欧米では早くからジェネリック医薬品は、60%近くの普及率だが、日本ではいまだに16%程度しかない。それは日本と欧米の医療制度が全く違うからだ。欧米では医療保険が極端に限られるので、莫大な医療費を請求される。

 日本は、医療制度が充実しているので、保健でかなりの部分カバーできる。健康保険さえあれば医療費、薬代1~3割負担という恩恵があるが、外国はこうした制度がないので莫大な医療費、薬代を払う。それだけに少しでも安いジェネリックの需要が増えるというわけだ。

 また、普及度が鈍いのはこうした理由だけではないようだ。未だに医師や、薬剤師のジェネリック医薬品への不信感が根づいているのも要因といえよう。

 20年くらい前には、ジェネリック医薬品は、零細企業や中小企業しか製造してなく、薬の卸店も新薬以外は取り扱っていなかったことで、医師や薬剤師にその情報が入ってこなかったようだ。

 現在でこそ大手製薬企業もジェネリックを生産しているが、MRはそうした情報は医師や薬剤師に積極的に与えてないというのが現状だろう

 政府厚労省では、そうした不信感を拭うためにも、「加速試験」や「生物学的同等性試験」、そして2009年には「溶性試験」を取り入れるなど、ジェネリック医薬品の安全性、有効性の二重三重のチェック体制を強いている。しかし”笛吹けど踊らず”政府がいくら国民にジェネリックを使いなさいと、TVやCMで訴えても、肝心の医師や薬剤師にその気にさせなければ、進展はあり得ない。そのため政府厚労省は、2006年4月から、「代替調剤制度」を打ち出しジェネリックの促進に乗り出した。

 これは、今まで医師が出していた処方箋に、患者の希望があれば、後発医薬品変更可とあり、その下に医師の名前を書くといったもの。その時医師が商品名を指定しても、患者がジェネリック医薬品に変更できるという画期的なものだった。

 欧米では、この制度が早くから導入され、ジェネリック医薬品普及の原動力となっている。日本でもこれで大きく普及すると思われていたが、全く効果なし。署名する医師が、患者からジェネリックが欲しいという要望がない限り、署名しないというのが大半、自ら積極的に署名する人などほんの数パーセント。これだけでなく、医師が変更可の署名をしたにもかかわらず、調剤薬局の薬剤師が、何の変化も見せず、そのまま新薬を調剤するといったケースが大半だ。 薬剤師とすれば、調剤過誤の責任や、煩わしいこともあり、患者に問うことはまずしない。患者からジェネリックにしてくれと言ったら、今在庫がないという返事が返ってくる。

 これでは、普及も推進もあったものではないというのが現状といえよう。まず医師や薬剤師のジェネリック医薬品への啓蒙が必要だ。

 ここまで日本でのジェネリック医薬品の普及が遅れているのは、ジェネリック医薬品を患者が選ぶ仕組みができていなかったことが大きな要因と言えよう。今後は処方箋様式の変更により患者が医薬品を選ぶ時代になろう。その時には安いジェネリック医薬品を選ぶことになり、大きく発展していくだろう。(編集担当:犬藤直也)

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と書かれているので、いつも書いていることを書きますがジェネリックを「鎮痛薬」「胃薬」などでは自分自身も積極的に使用していたりしますが、命にかかわるようなものは患者さんに処方し兼ねるというのが実情です。

 

まず、治験などが行われておらず「理屈」上は同等のはず・・・のジェネリック医薬品。もし、同等でなかった場合どうするのか・・・

それ故『抗ガン剤』『免疫抑制剤』など、本当は有効性が先発品より下だったらどうするの・・・と思うものは処方していません。それ以外は気にしていませんが。

 

うちの大学でもとうとう「抗癌剤」の一部を後発品に変えるようですが(薬剤部よりの情報。いろいろなところを行き来するので、情報をもらえます)、実際に使用されている数が少ないので実際の医療費削減にはあまり実効性がない

にもかかわらず、使用している患者さんにとっては有効性が落ちているかもしれない。

 

患者さん1人1人が「有効性が落ちてもよいから安いのでお願いします」と言われれば、「了解です」…と思いますが。

 

先日、こんな記事を書きました

ジェネリックをどこまで使う?

一般名処方の増加:ジェネリック推進はよいがバイオアベイラビリティも考えて

生活保護者はジェネリック強制:奨励はよいが、罰則を設けるな

 

全てのジェネリックを否定するつもりはないですが、効かなかった場合に患者さんの命にかかわるものだけはやめてほしいですね。

 

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