新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

遺伝子検査は誰が受けるべき?

2013-05-27 21:45:38 | 医療

さて、追加します

 

先日、「遺伝子検査をするべきか?」という記事を書きましたが、今日の中日新聞でこのような記事がありました。

 

遺伝性乳がん 問い合わせ急増

http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20130527063659633

(2013年5月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】

遺伝子変異 患者全体の5% 定期検診こそ安心への一歩

 米国の人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が乳がんの遺伝子検査を受け、未発症だが予防のために両乳房を切除したことが話題となり、医療機関には患者などから問い合わせが相次いでいる。だが、ジョリーさんのようにがんになりやすい遺伝子変異が起きて、さらに発症するのは、乳がん患者全体の5%。医療関係者は「過剰な不安を抱く必要はない。定期的な検診を受ける方が予防効果は高く、安心につながる」と呼び掛けている。(柚木まり)

 「母親が乳がん。私も心配です」。ジョリーさんの件が報道された後、名古屋市立大病院の臨床遺伝医療部には、遺伝子検査についての問い合わせが通常の約4倍に増えた。浜松市の浜松医療センターにも、乳がんの通院患者や、乳がんの家族がいる人から問い合わせが10件ほどあった。

 日本では1年間で4万人が乳がんを発症するとされ、同センター乳腺外科の徳永祐二医師は「血縁者の中に1人、乳がん患者がいても、その原因が遺伝子変異である可能性は極めて低い」と話す。

 名市大病院・臨床遺伝医療部の鈴森伸宏准教授によると、70歳までに乳がんを発症する確率は、近親者に乳がん患者がいると10~20%。遺伝子変異があると45~85%と、確かに高くなるが、それでも乳がん患者全体の5%。遺伝子検査で陽性と出るのは珍しいケースといえ、鈴森准教授は「現実には、遺伝子変異がなくても乳がんを発症する人の方が圧倒的に多い」と指摘する。

 名市大病院では専門医による遺伝カウンセリングの前に遺伝カウンセラーが家族の病歴を尋ね、陽性だった時のシミュレーションなどを行い、検査の必要性を検討する。

 医療関係者によると、カウンセリングや遺伝子検査を受けただけで、生命保険の加入や掛け金への影響が懸念されるという。認定遺伝カウンセラーの大瀬戸久美子さんは「遺伝子検査は最大の個人情報。興味本位でむやみに受けるべきではない。ベストの選択をするためにはカウンセリングが重要」と話す。

 カウンセリングで必要と判断されれば遺伝子検査をするが、名市大病院の場合、実施例は過去3年で10件以下。検査の主な目的は、他の部位への発症を警戒したり、子やきょうだいの発症率を予測することで、ジョリーさんのように予防的手術を受けることについて、鈴森准教授は「検査から、さらに段階を踏んだ先の話」と指摘している。

日本の検診受診率は3割

 乳がんなどの検診の普及に取り組む「名古屋ピンクリボンフェスタ実行委員会」の伊藤加奈子代表の話 親族の中で圧倒的に乳がんの人が多い場合など、遺伝子検査を受けて遺伝性を調べることに意味がある人もいるが、検査代はとても高い。マンモグラフィーなどの乳がん検診は、欧米では8割を超える。日本も5割以上を目指しているが、まだ3割ほど。予防の面からも費用面からも、まずは定期的な婦人科検診を受けることを勧めたい

  乳がんの遺伝子検査  血液中のがん抑制遺伝子「BRCA1」と「BRCA2」の変異を調べる。対象者は、近親者に遺伝子変異がある人がいることや、45歳以下で乳がんと診断されたり、母親や姉妹が乳がんで亡くなり遺伝性が疑われる場合など。同じ検査で卵巣がんの発症率も分かる。費用は1回20万円ほど。

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がん遺伝子は遺伝しないという記事で少し書きましたが、

第1度近親者に乳癌が2人以上おり、1人は50歳以下で診断されている

第1度~第2度の近親者に乳がん患者が3人以上いる

 などが乳癌の高リスクグループとされています。まずはこれが参考になるのではないでしょうか?

そして40~49歳まではルーチン検査ではなく個別化し、50歳以上74歳までは2年に一回のマンモグラフィーというような話が書かれている

 

この中日新聞の記事でも「マンモグラフィ」に関して書かれていますが、基本的にはそのほうが良いのではないでしょうか?

遺伝子検査などは↑に記載されている「高リスクグループ」のかたを中心に検討される方が良いような気がします

 

患者さんの遺伝子検査を専門の方にお願いしたことがありますが、その方は母親とお兄さんがある病気と診断されていました。そんな頻度で起きるか・・・(同じ血液腫瘍が母子で発生していた時は、いろいろ考えましたが・・・よくわかりませんでした)と思い、遺伝子検査をしてもらったことがあります(当然ながらある遺伝子異常がありました)。

また、たまたまITPで受診されましたが、原因不明の小球性貧血があり、親と息子も貧血があったといわれ・・・調べたらサラセミア(遺伝性の貧血)・・・という方もいました。

このように複数の親族が同じ疾患を発症するリスクというのは「有病率」のn乗になりますので、おかしいわけですが・・・一親等以内に乳癌の患者さんがいる方全員が遺伝子検査を受けるというのはナンセンスで、おそらく統計学的な話から設定された「高リスクグループの枠」の中に入らなかった場合は、あまり勧められないのではないかと思っています

 

もちろん、調べた人の中にはBRCAなどの遺伝子異常が見つかる方もいると思いますが、調べた数に比べて少ない(陽性的中率は低い)と思います。あまり心配しすぎると、日常生活に支障をきたすと思うので・・・そういうレベルになってしまうのならばいっそのこと遺伝子検査を受けて陰性・・・とはっきりさせた方が良いかもしれません。

 

逆に、その時陽性になったらどうするのか・・・。何も病気がないのに手術をするのか、それとも検診頻度を増やすのか・・・

 

難しい問題ですね

 

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久しぶりのレース(駅伝ですが)

2013-05-27 21:38:02 | Weblog

こんばんは

 

昨日は土曜日にも書きましたように、谷川真理さん主催の駅伝に参加しました。いい天気でしたが、おかげさまで真っ赤に焼けまして(真っ黒ではないです、赤くなりました)・・・。風呂に入るとヒリヒリします。

 

駅伝などレースに出るのが10年ぶりということもあり(確かに職場内の長距離走などはありましたが、一般的なものはなく)、ウォーミングアップなどは念入りにやったのですが・・・

実は最初から不安が・・・・

 

職場内の長距離走・・では、時間がない中で「インターバルトレーニング」を行うことで、心肺機能を改善させることを第一にやっていました。実は心肺機能は比較的早く改善します。

今回は週に何回か5kmほどジョギングはしていましたが、インターバルのようなことはやっておらず

「意外と心肺機能の方が駄目だったり・・・」

と思っていたら、確かに心肺機能がついていきませんでした。これは予測できたのにトレーニングをしていなかった自分の失敗です。

 

10年前なら1km4分ペースでハーフマラソンでも問題なかったのに、今回21分かかりました(汗

後輩にいろいろ言われそうですが、年末にあるハーフマラソン目指して少し練習をしていこうかと思っています。

 

正直、少し悔しい状況です。う~ん、少なくとも1km4分ペースでは走れるようにしておかないとね・・・・。

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