新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

僕の本態性血小板血症に関する説明(患者さん向け、2017年版)

2017-12-18 20:00:00 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

さて、本態性血小板血症(ET)は骨髄増殖性疾患の中では最も予後が良い疾患です。血小板を中心に血球増加を認める疾患で、血栓症が問題になります。

 

たまに血小板が増えすぎると二次性von willebrand病を発症して、逆に出血することもあります。

 

それでは、簡単に説明文を書いていってみます。

 昔作ったやつはこちら(骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症)の説明) 


 

Nさんは健診で白血球が軽度増加、血小板増加を指摘されて紹介になりました。

血液検査や骨髄の検査の結果が出ましたので、ご説明してまいります。

 

まず、血液検査では白血球が10000/µl、ヘモグロビン(Hb)は14g/dl、血小板は80万/µl軽度の白血球増加、血小板増加を認めています。血液像という顕微鏡で血液をみた限りでは、桿状核球が5.0%、分葉核球が56.0%と好中球系が少し増え気味ですが、異常な血液細胞は認めませんでした。

 

この時にBCR-ABL遺伝子変異についても調べていますが、これは陰性でした(慢性骨髄性白血病ではない)。

 

骨髄の検査では芽球の増加や異形成はなく、線維化も認めませんでした。骨髄スメアでは成熟巨核球の増加を認めております。

 

血小板増加の持続期間(6ヶ月以上)の問題はありますが、現時点では本態性血小板血症の可能性が最も高いと考えます。

 

Nさん:本態性血小板血症とはどのような病気でしょうか?

 

本態性血小板血症は「巨核球」という血小板を作る細胞が増殖し、主に血小板が増えてくる病気です。血小板は止血機能を担当しますので、これが過剰にあることで血栓症、脳梗塞などを起こしやすくなります

 

リスク因子などで対応を考えるのですが、Nさんの年齢が60歳以上なので、高リスク群になります。その場合はアスピリンとハイドロキシウレアを使って治療を行います。

 

Nさん:どの程度、生きられますか?

 

この病気は血栓症さえ上手くコントロールできれば、比較的長く生きることができます。平均的には20年前後ですが、個人個人によって違いますので、なんとも言えません。第一、20年経ったら治療法も変わっているかもしれません。

 

Nさん:確かにそうですね。では、今の一番良い治療を宜しく御願い致します。

 

では、当初はアスピリンだけ使用して血栓症を予防し、6ヶ月以上経過しても血小板が改善しない、もしくは急激に血小板数が増えてくるようであれば、ハイドロキシウレアを併用して治療をしましょう。

 


 

こんな感じでしょうか。本態性血小板血症の予後因子はいくつかありますが、いずれにせよ長期戦ですので、治療法が変わるかもしれないといっております。ですので、どうしても知りたいという方には参考程度にお伝えしますが、あまり触れません。

 

まぁ、他の悪性疾患でも、治療法に違いが出ないのであれば、細かいことは言わないことが多いですけどね。僕は・・・。

 

 

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年内最後の出張です

2017-12-18 06:31:43 | Weblog

おはようございます

 

昨日のソユーズ打ち上げ、無事に行われて良かったです。宇宙空間って色々人体に与える影響が違うと思いますし、無重力条件だと遺伝子などの動きも変わりそうですから、色々研究をしてきていただきたいです。

 

さて、今日から少し出張です。年内は最後の遠出になります。昨日も鍋パーティをしましたが、今日も飲み会が現地で行われる予定です。飲みすぎないように気をつけます(笑

 

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電子タバコと禁煙:うちはみんな上手くいってますけどね(笑

2017-12-17 16:00:39 | 医療

こんにちは

 

今日はブログ用記事の作成(説明シリーズ)を作ったり、EZR(フリーの統計ソフト:自治医大血液内科教授の神田先生が作られた)をMACにダウンロードして、少し解析をしていました。

 

解析していたのは少人数ながら禁煙外来で禁煙の成功失敗に関連する因子がありそうだなと思ったので、ちょっと調べてみただけです。

 

有意差がついたのは「家族に喫煙者がいる」「2回目の受診時の呼気一酸化炭素濃度が>10ppm」でした。まぁ、家でタバコを奥さんが吸っていたら、なかなかやめられないよね・・・。

 

ちなみにICOSだと呼気一酸化炭素濃度が上がらないのですが(その他、タバコで白血球が増えていた人は、ICOSに変えたら正常範囲に下がりました)、ニコチン依存から脱却するわけではないですよね。

 

ということで、こちらの記事です。朝日新聞です。

 

電子たばこで禁煙「成功率低い」 国立がん研究センター

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171217-00000006-asahi-soci

12/17(日) 8:13配信

 

 「電子たばこ」を使って、紙巻きたばこの禁煙に取り組んだ人は、電子たばこを使わなかった人に比べて禁煙成功率が低い――。国立がん研究センターによるネット調査でこんな結果が明らかになった。担当者は「禁煙目的で売られているものもあるが、その手段として推奨すべきではない」と指摘する。

(以下略)


そもそも電子タバコも喫煙だよね・・・(汗

 

電子タバコも紙巻きタバコほどではないとするものの、健康の害は報告されています

呼吸器学会の声明(http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/hikanetsu_kenkai.pdf)

 

 

ただ、電子タバコに変えた方は健康上の理由など、何か理由があって変更されたと思います(少なくとも紙タバコをやめようと思った)。「これで禁煙」と思わなければ、タバコをそのままスパスパ吸っている方よりも良いような気がします。少しでも周りに害が少ないもの、自分に害が少ないものと思って紙から変えられたと思いますので。そういう意味では素晴らしいと思います。

ただし、電子タバコに変えたことで満足してはダメだと思います。もうワンステップを進める気力があれば、禁煙できるのではないかなと。電子タバコが禁煙でないということを認識できれば(笑

 

ちなみに僕の禁煙外来でICOSなどを使っている患者さんの禁煙成功率は今のところ100%です。期間が短いので1年後はどうなっているかはわかりませんが(笑

 

職場の人に鍋会に呼ばれているので、今から出発します。

 

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P.S  今日は宇宙への旅立ちの日ですね。半年間頑張ってきてほしいです。

宇宙への出発がおよそ5時間後に迫った、日本人宇宙飛行士の金井宣茂さん(41)が17日午前、滞在先を出発し、激励の声援に笑顔で応じた。
(以下略)

P.S2
 
コメントをいただきましたが、電子タバコと加熱式タバコを区別できておりませんでした。
電子タバコはニコチンが入っていないのですね。
 
そんなものを吸ってどうするのかと・・・少し思ってしまいましたが、ニコチン依存ではなくて、雰囲気依存なんでしょうか・・・?
 
コメントいただきまして、ありがとうございます
 

コメント (4)
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僕の骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍の説明(患者さん向け)

2017-12-17 15:39:30 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

骨髄異形成症候群/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)は骨髄異形成症候群の特徴である「異形成」を持った細胞が増えるという特徴と、骨髄増殖性腫瘍の特徴である「血球増加」の2つを特徴とした病気です。急性骨髄性白血病に進行することもあります。

 

 

ここでは10万人あたり0.3人とされる慢性骨髄単球性白血病(CMML)を例にとり、説明をさせていただきます。ちなみにBCR-ABL陰性非定型慢性骨髄性白血病(aCML)とかは100万人あたり0.1名なので滅多にお会いしません(今まで2名くらいです担当したのは・・・)。CMMLは結構詳しいと思います(研究していましたから)。

 

 

それでは、説明の方を書いていきます。


 

Oさんは貧血を主訴に近医を受診され、白血球増加、貧血、血小板減少を認め、血液疾患が疑われて、当科に紹介となりました。

 

血液検査では白血球は32000/µl、ヘモグロビン(Hb)は6.5 g/dl、血小板は7万/µlとなっています。白血球の中身を調べてみますと、芽球と呼ばれる未熟な細胞は認めませんが、単球が45%と上昇しており、好中球が50%、リンパ球が5%となっていました。LDHは250 IU/Lと軽度上昇しておりますが、他の血液検査では大きな異常はありません。

 

今回は輸血のために、一度入院していただき、骨髄の検査も行いました。骨髄検査の詳細はまだ出てきませんが、少なくとも急性白血病の基準を満たすような芽球の増加は認めません。また、形態学的に異常のある(異形成あり)血液細胞を認めています。

 

今の時点ではBCR-ABLがまだわかっていませんので、絶対ではないのですが慢性骨髄単球性白血病の可能性が最も高いです。

 

慢性骨髄単球性白血病は単球の増加(1000/µl以上)と異形成を特徴とした疾患です。症状としては貧血による症状や血小板減少による出血のほか、発熱や激しい寝汗、体重減少、全身倦怠感など様々な症状を認めます。

 

この病気を完治させるには骨髄移植のほかないのですが、Oさんは70歳になりますので、骨髄移植はリスクが高いと思います(将来的にはどうなるかわかりません。70歳以上でも骨髄移植を実施する施設が出てきていますので)。

 

今の状況だとアザシチジンという骨髄異形成症候群の治療で使う薬を使用するか、血球が増えてきたときにハイドロキシウレアなどで血球コントロール(現時点ではハイドロキシウレアが血球コントロールには一番良さそう)を行うなどになります。

また、現在行なっているように状況に合わせて輸血をしたり、抗菌薬治療を行ったりします。

 

Oさん:今、最も良い治療法はどれでしょうか?

 

この病気は数が少なく、タイプが色々分かれているため、明らかにこれが良いという指標はありません。先ほど申し上げたような治療が既存の薬では候補になりますが、今の段階であればアザシチジンを使用してみたいと思っています。

 

Oさん:宜しく御願い致します

 


 

こんな感じでしょうか。

 

慢性骨髄単球性白血病は不均一な腫瘍です。今でも標準治療といって良いものはありませんが、骨髄移植ができるならば実施します。

 

診断は急性白血病ではなく、異形成が1つはあり、特徴的な遺伝子異常がある疾患群(CMLやそのほかの遺伝子異常)を否定しますが、CMMLの表現型でBCR-ABLが検出されたこともありますので、きちんと確認は必要だと思います。

 

治療選択は難しい病気だと思いますが、将来的にはリゴサチブ(RAS阻害薬)なども加わってくると思います。

 

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僕の非ホジキンリンパ腫の説明の仕方(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:DLBCLを例に)

2017-12-16 14:55:38 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

 非ホジキンリンパ腫は日本では悪性リンパ腫の90%を占めるグループになります。以前、「悪性リンパ腫の説明(僕の説明の仕方)」と書いて記事にしたものもびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を題材にしました。それはDLBCLが非ホジキンリンパ腫の40%を占めるメインの集団だからです。

 

ただ、このDLBCLには少し落とし穴があって、その他大勢・・・という位置付けのため、雑多な集団の集まりでしかありません。同じようで、かなり違う。そのため予後も他のリンパ腫以上に違いが大きいわけです。

 

以前書いた頃と大きく違うのは、ABCタイプとかGCBタイプというような考え方が出てきました。これは初期治療では影響はないと思いますが、再発時などの治療選択には影響するかもしれません。

まだ、使えませんがレナリドミドはABCタイプ(もしくはnon-GCBタイプ)に上乗せ効果がありますが、GCBタイプには認めません。イブルチニブ(慢性リンパ性白血病の治療薬、これまたDLBCLには使えません)もABCタイプには効く可能性がありますが、GCBタイプには効き目はないと言われています。まぁ、これから色々進んでくるのでしょう。

 

さて、それではDLBCLを題材に悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫から)の説明を書いていってみます。

 

 


 

Pさん(60代の男性)は今回、首のリンパ節が腫れたということで受診されました。診察では首以外に、鎖骨の上や腋の下などのリンパ節も腫れていました。しかし発熱や体重減少、ひどい寝汗(俗にいうB症状)など他の不具合はないということでよろしいでしょうか?

鎖骨の上のリンパ節腫脹は細菌などの感染では腫れにくいので、悪性リンパ腫の可能性を疑う助けになります)

 

Pさん:はい。首などにぐりぐりがあるだけです。

 

それに対して原因究明のためにリンパ節生検を行ないました。その結果説明のために来ていただきましたが、この検査で悪性リンパ腫の1つであるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断がつきました。

 

これは悪性リンパ腫の中でも中等度の悪性度と言われるリンパ腫になります。

 

悪性リンパ腫にはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫があり、ホジキンリンパ腫ではABVD療法という治療を、非ホジキンリンパ腫というグループではCHOP療法という治療が標準治療とされていました。今でもABVD療法は標準治療のままですし、CHOP療法も抗がん剤を加えたりはしていますが、これをベースに治療を行います。この2つはそういう意味で大きく違います。

非ホジキンリンパ腫には低悪性度と言われる「年単位」でゆっくり進行するもの、「月単位」で進行する中等度「週単位」で進行する高悪性度リンパ腫があります。これは先ほども申し上げましたが、月単位で進行する悪性リンパ腫になります。

 

DLBCLは非ホジキンリンパ腫の中では最も多いグループになります。これは大型のリンパ腫細胞が正常なリンパ節構造を破壊しながら、びまん性に増えてきます。

 

Pさん:私はどうしたら良いでしょうか。治りますか?

 

まず、病気の正体がわかりましたので、次に病気の評価を行いましょう。確かに月単位で進行するため、ゆっくり検査をするわけにはいきませんが、評価をしないで治療をすることはできません。まずはどこにリンパ腫がいるのか、それを評価するためにPET-CTと骨髄穿刺を行います。

 

PET-CTは糖分に目印をつけたようなもの(FDG-PET)を注射します。悪性リンパ腫のように増殖の早い細胞は糖分を欲しがりますので、それ(FDG-PET)がリンパ腫のいるところに集まります。普通の造影CTというものよりも「質的評価」をすることができ、より詳細にリンパ腫がいる場所を特定することができます。PET-CTはかたまっている(一定以上集まっている)悪性リンパ腫を評価するには最も良い検査です(ちなみに悪性度が低すぎるため、MALTリンパ腫は造影CTの方が良いとされています。濾胞性リンパ腫はPET-CTの方が良いことが示されていますので、MALTリンパ腫以外はPET-CTです)。

 

もう一つ骨髄の検査を行います。これは骨髄という「血液を作る大元」の組織に悪性リンパ腫がバラバラっと混じりこむことがあります。これはPET-CTではわからないことがありますので(わかる時もありますが、骨髄穿刺は実施します)、別に行います。これでリンパ腫がどこにいるかを把握します。

 

精巣原発DLBCLや乳房原発DLBCL、副腎原発DLBCLなどは中枢神経浸潤:脳や脊髄に入りやすいので、これらは髄液の検査や髄注などを行います)

合わせて血液検査を行い、総合的な治療前の評価を行います。それから治療についても細かく説明いたします。

 

(数日後、全ての検査結果が出揃い説明をします)

 

Pさんはこの数日で骨髄の検査とPET-CTを受けていただきました。まず、PET-CTの結果ですが、首、鎖骨の上、腋の下には赤く集積を認めます。PET-CTは肝臓の取り込みを基準として評価をしますが、それより強いところは上記の部位です。お腹の中や足の付け根、脾臓や肝臓という臓器には明らかな集積は認めません。

 

骨髄の検査では肉眼的(病理学的検査)にも、特殊な検査(フローサイトメトリー)でも悪性リンパ腫の浸潤を疑う所見はありません。

 

現時点では広がり具合としてはStage IIです。悪性リンパ腫は仮にStage IV期であっても治りますので、治すつもりで治療を行います。II期ですのでしっかり治療を行いましょう。

 

(IIIs:脾臓に入っているというのもあります)

なお、血液検査に関しては肝臓や腎臓など、治療に悪影響を及ぼすような障害がないか確認しましたが、ありませんでした。B型肝炎にかかった既往があると、治療で悪影響が出ることがありますので、それも調べていますが、明らかな感染も感染の既往もなさそうです。

悪性リンパ腫の量を反映すると言われるLDHという数値も正常範囲内であり、IPI、年齢調整IPIではLow risk、R-IPIではGood riskになります。予後が良いグループという位置付けです。他にも予後が悪くなる因子というものもありますが、いずれもなさそうです(他にもNCCN-IPIなどもありますが・・・まぁ、IPIとR-IPIで良いかなと)。

 

(ここで気がつきましたが、aa-IPIは上から0点、1点、2点、3点です。出版社に連絡しないと・・・)

Pさん:では、治る可能性は十分にあるということでしょうか?

 

もともとStage IVでも治る可能性は十分にあります。統計学的な数値はお伝えすることもできますが、Pさんにとっては「治る」か「治らない」かという話でしかないので、「治る」つもりで一緒に治療にのぞんでいただけると嬉しいです。

 

Pさん:ありがとうございます。治すつもりで頑張ります。

 

宜しく御願い致します。

 

治療についてですが、R-CHOP療法という治療を行います。これは以前話をした、CHOP療法という治療法に抗体医薬と言われる「リツキシマブ」というお薬を加えたものです。

 

この薬はCD20というアンテナを持ったリンパ腫の細胞に結合して、抗リンパ腫効果を発揮する薬です。

 

(治療に関しては以前書いた「悪性リンパ腫の説明(僕の説明の仕方)」と同じなので、そちらを参照してください。

 

(中略)

 

 

(これが基本ですね。ちなみに以前も書きましたが、僕は6コースで良いと思っています。Interim PET-CTの結果を見たら6コースまでもつれ込んだDLBCLにR-CHOPを8コース継続するメリットをあまり感じないので。ただ、私見ですので・・・悪しからず)

 

 

治療終了後はPET-CTで再評価を行います。PET-CTで残存腫瘍があれば、残存腫瘍の範囲に応じて放射線治療を行います。PET-CTで腫瘍が消えていた場合は、治っている可能性が高い(論文にもよりますが、PET-CTで消えていた場合は再発率が20%くらいまでです)ので、慎重に様子を見ていきます。

 


 

 

こんな感じでしょうか。

 

地味に治療法が大きく変化していないのは、もともとそれなりの成績があったDLBCLやホジキンリンパ腫なんですよね。

 

マントル細胞リンパ腫やT細胞リンパ腫は色々と治療が進歩しました。これから現場に戻るためには覚え直さなくてはいけません(笑

 

 

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診療報酬本体部分0.55%増:たぶん人件費には反映しないと思う

2017-12-16 11:05:48 | 医療

おはようございます。

 

昨日は職場の方の昇進祝いの会をしておりました。ワインが飲みたいという話だったので、ワインが美味しく飲めそうな店を探しに行きました。

というかインターネットで調べました。

 

人気店・・みたいな店があったので、そこに電話をかけましたがつながらず・・・。

 

「とりあえず行ってみますか?」

と、行ってみたところ・・・

 

「店、潰れていますな・・・」

 

そりゃ、電話にも出ないし、なかなか見つからないはずだ(汗

 

そんなこんなでしたが、街中をうろうろして、良さそうな店を探してお祝いをしておりました。

 

今日は洗濯や読書、その他で1日を終える予定です。とりあえず、久々にクラシックを聴きながらのんびりしております。

 

先ほど、Yahooを見ていたらこんな記事がありました。毎日新聞です。

 

<18年度予算>医療など3報酬改定固まる 人件費分プラス

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171216-00000009-mai-soci

12/16(土) 7:00配信

 

 2018年度予算編成の焦点になっていた診療、介護、障害福祉サービスの3報酬の改定率が15日、固まった。医師や看護師、介護職員らの人件費につながる報酬はそれぞれ0.47~0.55%引き上げるなど、賃上げを重視する政権の姿勢を色濃く反映した改定となった。18日に加藤勝信厚生労働相と麻生太郎財務相が折衝し正式に決定する。

 診療報酬は2年に1度、介護、障害福祉サービスの報酬は3年に1度見直され、同時改定は6年に1度。診療報酬のうち、薬や医療材料の公定価格である「薬価」は、市場の実勢価格に合わせた引き下げや制度改革による削減分を含め1.74%程度のマイナス、医師らの人件費や技術料に当たる本体部分は0.55%引き上げる。プラス改定は6回連続。厚労省調査で16年度の一般病院の利益率がマイナス4.2%と過去3番目に低く、引き上げを求める日本医師会や自民党厚労族に配慮した。

 診療全体ではマイナス1.19%程度となる見通し。

(以下省略)


本体部分というとよくわかりませんが、要するに診察料や入院料などが本体部分で、薬価差益が薬価部分。薬価改定で薬価が下がれば、差益が大きくなるので下げましょうね・・・というのが薬価部分の引き下げです。

 

ただ、診療報酬の本体部分が人件費かというと、そういうわけではなくて医師・看護師・薬剤師・放射線技師・事務官などの人件費に加えて医療機器の購入や維持費、病院の維持費、薬の購入や維持に当てる費用(在庫を抱えるとそこに税金がかかるため、必要最小限の薬しか持たないようにしている)などに関わってきます。患者さんが待合室などで見るような雑誌や自動販売機の設置や維持などもここから出ます。

 

人件費に回る余地はほとんどないはずです

実際は赤字の病院がその赤字部分をどうにかして終わりだと思います。黒字のところもできるのであれば人件費を上げるよりは設備投資でしょうね。

 

そこは民間企業と同じような感じではないかと思います。大きな会社が儲けたからといって、人件費にそれほど回ってはいかないでしょうし・・・。病院でよほど収益が上がっても、人件費には回りませんよ・・・多分。

 

むしろ、わざわざこんな記事を書かないで欲しいと思うところです。と、ちょっと思ったので記事にしました(笑

 

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僕の骨髄線維症の説明(患者さん向け、2017年度版)

2017-12-15 20:00:00 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

さて、骨髄線維症・・・。

僕は3、4年目の時にやっていた研究のテーマは実は骨髄線維症でした。

 

骨髄線維症は骨髄の線維化、骨硬化が起きる疾患で、それにより巨大脾腫による圧迫・髄外造血による白赤芽球症、高サイトカイン血症による全身症状が特徴になります。

 

以前書いた時はルキソリチニブがなかったので、治療が「同種造血幹細胞移植をどのような対象患者に行うかが」ポイントでしたが、武器が増えました。

 

また、遺伝的な背景としてJAK2、CALR、MPLの変異がわかっていますし、色々理解が深まった分野だと思います。

 

それでは、簡単に書いていきます。

以前書いた記事はこちらになります

 僕の骨髄線維症に関する説明(患者さん向け)


Mさんは左腹部の膨満感、食欲低下を主訴に近医を受診されました。診察と超音波で巨大な脾腫があることがわかり、紹介されました。

 

原因精査のための検査で、いくつかのことがわかりましたので、説明してまいります。

 

今回の巨大脾腫の原因は骨髄線維症という病気によるものです。

骨髄線維症は血液を作る骨髄という場所が線維化と言って、硬くなっていく病気です。本来、血液を作るはずの工場が、他の物で埋まっていくために血液が作れなくなります。当初は貧血が進み、病気が進行すると血小板というものも減少してきます。

 

今回の血液検査では白血球は7000/µl、ヘモグロビン(Hb)は8.2g/dl、血小板は18万/µlと貧血の進行を認めました。血液中には芽球が2.0%、赤芽球が8%と血液中に本来は出てこない若い血液が出てきていました(白赤芽球症)。

 

Mさん:それはどういうことでしょうか?

 

今からご説明しますが、骨髄というところが硬くなると、そこで血液が作れなくなってしまうため、胎児の頃に血を作る組織であった「脾臓」「肝臓」などに血液細胞が移動していきます。そこで血液を作るのです。

しかし、骨髄には「骨髄-血液関門」というものがあり、幼弱な血液は出ていかないようになっていますが、脾臓などではそれがないために若い血液も出てきてしまいます。

 

他に涙滴赤血球という涙のような形をした赤血球なども認めています。

 

骨髄穿刺・骨髄生検の結果は、骨髄穿刺はdry tap (うまく骨髄が取れない)気味でしたが、形態学的に異形成のある細胞やリンパ腫細胞、固形癌などは認めませんでした(二次性骨髄線維症では固形癌の骨髄転移などや骨髄異形成症候群、急性白血病、悪性リンパ腫などが基礎疾患になることがあります)。骨髄生検では過形成骨髄で、骨髄の線維化を伴っていました。巨核球系はやや過形成、赤芽球系細胞は減少していました。

 

このあと出てくると思いますが、BCR-ABLという慢性骨髄性白血病で認められる異常は認めていません。真性多血症の診断基準は認めず、本態性血小板血症に特徴的な変化もないため、特発性骨髄線維症と診断しました。

 

染色体検査なども行なっていますが、複雑核型や7番染色体異常などの予後不良染色体異常は認めておりません。

 

Mさん:骨髄線維症はどのような症状が出たり、どうなっていくのでしょうか?

 

骨髄線維症の症状は多いものは肝脾腫、巨大な脾腫による圧迫症状、貧血による症状などに加えて、サイトカインと言いますが異常な細胞が出す因子によって発熱や着替えなくてはいけないレベルの寝汗、体重減少などもあります。そのような症状はありますか?

 

Mさん:発熱はないと思いますがなんとなくだるい感じはします。寝汗はなく、体重も減ってはいないと思います。

 

治療に関してですが、この病気を完治させる手段は「骨髄移植」しかありません。しかし、骨髄移植はリスクを伴いますので、リスク評価をした高リスク(int-2以上)のグループに行います。Mさんは60歳ですので、骨髄移植の適応はあります。

 

今までの情報から、リスク評価を行いますとIPSSで2点、DIPSSで3点、DIPSS-PLUSで2点になり3つの予後分類でint-2になります。これは同種骨髄移植を検討して良いことになります。

 

 

Mさんにはご兄弟がいらっしゃいますでしょうか?

Mさん:弟が1人おります

 

では、弟さんとも相談しながら、移植などの可能性も検討していきましょう。必要であればバンクドナーも検討しましょう。

 

もし、ドナーが得られない場合や、そこまでに時間がかかるようでしたらルキソリチニブで治療を行いましょう。

 

Mさん:ルキソリチニブという薬はどのような薬ですか?

 

この骨髄線維症の原因遺伝子の1つにJAK2という遺伝子があります。このJAK2を含めたものを抑える薬です(JAK1/2阻害薬)。脾腫や高サイトカインによる症状を改善する効果があり、延命の効果もあるとされています。

 

ただ、JAK1というものがリンパ系に強く影響するため、JAK1も抑えてしまう結果、ウイルスを含めた感染症に弱くなってしまいます。しかし、高リスクで移植を検討する状況であれば、デメリットよりもメリットが大きいので、うまく使って治療をしていきたいと思います。

 

Mさん:宜しく御願い致します。

 


 

こんな感じでしょうか?

 

低リスクに対しての治療という意味では経過観察をするか、貧血に対してはタンパク同化ステロイド、保険適応はないですがサリドマイド・レナリドミドも有効とされています。

 

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二次性赤血球増加症について(患者さん向け)

2017-12-14 20:00:00 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

二次性赤血球増加症は肥満や喫煙、睡眠時無呼吸症候群など酸欠をきたす状況下に置かれた体が、「赤血球を増やせ」とシグナルを送って赤血球が増えてしまうものを言います。心疾患や肺の病気で体(というか腎臓)が酸欠を感じたら、赤血球は増えます。

 

そういったもの以外にも「エリスロポエチン産生腫瘍」など特殊なものもあります。

 

酸欠が原因のためエリスロポエチン値が正常〜上昇という状況になります。正常になるのは赤血球が増えるシグナルを常に出す必要がないからです(赤血球の寿命は120日なので)。

 

なぜ、あえて二次性赤血球増加症を書くかと言いますと、実際に多血症で紹介されてくる患者さんは二次性が多いからです。過去にもHb 20g/dlを超えていましたが、すごいヘビースモーカーの糖尿病の方で・・・生活習慣の改善も期待できずに瀉血をして調整していました。そのうち目安の数値を記載して、紹介元でやってもらうようにしましたが。

 

では、書いてみます。

 


 

Lさんはこの度赤血球が多すぎるという理由で紹介されました。血液検査では白血球は5000/µl、ヘモグロビン(Hb)は19.2 g/dl、血小板は20万/µlで赤血球が多いことだけが目立ちます。

Lさんはこの多血による症状、例えばめまいや頭痛などの症状はありましたか?

 

Lさん:う〜ん、頭痛はたまにあるし、めまいも立ちくらみみたいなのはたまにあるかな〜。

 

なるほど。前の病院の先生からは特に他の病気などは書いていないのですが、受診されたきっかけはどういったことでしょうか?

 

Lさん:いや。会社の健康診断で引っかかって、近くの病院に行ったら、またここに回された。

 

会社の健診がきっかけなんですね。他に大きな病気とか治療中の病気、薬を飲んでいるものなどありますか?

 

Lさん:いや、病気とは言われていないけど、健康診断では多血の他に糖と脂肪も高いと言われたかな。血圧も高めだ・・・。

(生活習慣病はチェック) 

でも、お薬は飲んでいらしゃらないわけですね?

 

Lさん:薬は飲んでいない。体調は悪くないし。

 

わかりました。ありがとうございます。薬は使っていなくて、他にお酒やタバコなど、運動習慣なども伺ってもいいですか?

 

Lさん:酒は1日にビールで1500mlくらいかな。たまにそのあと焼酎やウイスキーも少し・・・。タバコは1箱くらい一日に吸うかな。運動はしないね。この体格だし。

 

わかりました。血糖値や脂質なども含めて、少し検査を行いましょう。

 

(検査結果が出ます)

血液の数値は先ほどの数値とほとんど変わりません。乳酸脱水素酵素(LDH)という数値は190/IU/Lと正常範囲になっていますね。おっしゃられるように血糖値も脂質も高いですね。脳梗塞などを起こしやすくしているかもしれません。

 

Lさん:本当かい。薬飲めばいいの?

 

いや、生活習慣も改善させる必要がると思いますが、それについてはせっかくなので紹介元のクリニックでやっていただきましょう。

他に多血症の原因を調べる検査を行っていますので、来週もう一度受診していただけますか?赤血球が多いと、血液がドロドロになって脳梗塞などになりやすくなります。

今日はこのままだといつ脳梗塞になってもおかしくないので、少し赤血球を抜いて薄めるような処置をしたいのですが?

 

Lさん:なんでもやってくれ。

 

(瀉血が終わり、1週間後に検査を聞きに受診されます)

 

先週行なった血液検査の結果が出ました。まず、エリスロポエチンという赤血球を作らせる物質は正常範囲の25mU/mlでした。ビタミンB12も正常範囲内でした。LDHが正常ということや、喫煙、肥満などの因子を考えると二次性赤血球増加症の可能性が高いと思います。

 

これは肥満やそれに伴う睡眠時無呼吸症候群、喫煙などの原因により「体が酸欠」を感じる機会が増えて、赤血球を増産する病気です。赤血球が増えすぎると脳梗塞などを起こしやすくなりますし、頭痛やめまいなども起きやすくなります。

Lさんは他の脳梗塞の危険因子もありますので、非常に注意する必要があります。

 

Lさん:どうしたら良いのだろう?

 

基本的には原因を減らしていくこと、必要に応じて赤血球を減らすことになります。できれば他の生活習慣病のこともありますので、肥満を改善させ、禁煙をします。運動をし、状況によっては瀉血療法を行うようにするのが良いかなと思います。

Lさん:頑張ってみます。 


 

 

こんな感じでしょうか。実際に多血だけであれば、二次性多血症の方がはるかに多いと思います。ただ、二次性でも他のリスク因子もあるならば、脳梗塞など注意していただきたいなと思います。

 

 生活習慣病や肥満、喫煙などはすぐチャックできますが、予測外だったのが標高800mの山の中に転居した方が多血症になられて紹介されてきたことがありました。そういうのもあり得ます。

 

ちなみに真性多血症はこちらへ「僕の赤芽球ろうの説明(患者さん向け)」 

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二日酔い対策:最も使うのは五苓散

2017-12-13 20:35:50 | 医療

こんばんは

 

今日も出張で、先ほど帰ってきました。猛吹雪になる前に離脱しましたが、行きよりも帰りの方が時間がかかりました。

 

運転されている方の方が大変だというのはよくわかるのですが、移動する(乗っているだけでも)のも大変です(笑

 

さて、たまたま忘年会の季節だからかGooのブログのお題関係に「二日酔いを治す方法は?」というのがありましたので、かいてみます。

 

と言っても、僕は医師ですので薬を使います。

 

五苓散ですね。

五苓散の効能には「二日酔い」もあります。この漢方薬は「漢方の解毒剤」とも言える薬です。そして熊本大学(だったと思いますが)の先生がこの薬のメカニズムの1つを解明されました。

 

血管内外の水の移動を妨げる

 

というものです。簡単に書きますと水が余っているときは、利尿作用がかかります。脱水の時は水を蓄える方向に行くという薬です。

 

めちゃめちゃ都合のいい薬だ

 

そう思っていますが、本当に嘔吐・下痢のような時に飲むと水分の問題は補正されますので、かなり調子が良くなります。先日、胃腸炎で職場を休んだ看護師さんに「五苓散でも飲んでみて」と言ったら、即日良くなったそうです(3日間調子悪かったそうですが)。

 

さて、この五苓散を僕がどうやって使っているかというと

 

飲み会の30分前に飲む!

 

これだけです。これで僕は二日酔いになったことがほとんどありません。翌日、口が乾いて水が欲しい・・・という状況もあまりないです(お酒の分解には水が必要なので、飲みすぎると翌日水が欲しくなります)。

 

ちなみに家ではお酒を飲みませんが、飲み会ではかなり飲みます。先日も生ビール大ジョッキ(700mlくらい?)を4杯+αを飲みました。ただ、この対策で翌日朝4時半から元気に活動しております。ちなみにうちの部署で飲み会をすると日本酒の1升瓶が2本くらい空きます(汗

 

もちろん、個人差がありますので、このくらい飲めるよ・・・というものではなくて、そのくらい二日酔い対策になります

 

ちなみに、万一翌日残った時に五苓散を飲むと「催吐作用」があり、リバースさせてくれます。なぜか、スッキリします。

 

 

 

僕は大量に持っていますが、五苓散(ツムラの)はよく効きます。

http://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/017.html

 

 

市販されているやつはあるのかしら・・・と思い検索したら、ありました

 

アルピタン(https://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160928_02/

こちらの保証はしませんが、同じくらい効くなら僕と同じ要領、用法でいけると思うのですけどね。

 

 

もし、気になる方がいたら使って見てください(ついでに市販のやつを試された方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください

 

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僕の先天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症)の説明

2017-12-13 20:00:00 | 患者さん用(説明の仕方シリーズ2017年版)

さて、先天性溶血性貧血・・・特に日本人に多い「遺伝性球状赤血球症(HS)」に関してです。

正直、基本的に小児科で対応されていますので、僕らが治療に関わることは少ないのですが、成人で受診された患者さんがいます。

 

小児期に指摘はされていたが、そのまま放置していた患者さん。

治療をしたが、副脾が出て来て溶血が再燃した患者さん。

 

遺伝性球状赤血球症は赤血球の膜タンパクの異常で、赤血球を平べったい形にしているタンパク(アンキリン、スペクトリンなど)がうまく働かなくなり、丸い形になります。そうすると脾臓を通り抜けることができなくなり、溶血してしまいます。

 

そのため脾臓を摘出するという治療を行います。

 

重要なことは「いつ脾摘を行うか」であり、可能であれば6歳以降に行うとされています。また、肺炎球菌ワクチンなど「莢膜を持つ細菌」の予防を行います。

 

では、少し書いてみます。

 


 

Jさんは会社の健診で横断と貧血を指摘されて、紹介されました。血液検査では白血球4000/µl、ヘモグロビン(Hb)9.5g/dl、血小板は21.5万/µlと貧血を認め、他の検査結果としてビリルビンという数値が6.5 mg/dlあります。これは黄疸の時に上がる数値ですが、肝臓の機能としては特に問題はなさそうなデータになっています。

 

Jさん:肝臓は大丈夫なんですか?

 

はい。肝臓よりは血液の異常で黄疸が出ているようです。当科で追加で行なった検査では網状赤血球という赤血球の産生を反映する数値が18.5%とかなり高くなっています。これは貧血を進行させないために、かなり頑張って赤血球を作っていることになります。

他の検査結果ではクームス試験という「赤血球を壊す抗体」を確認する検査では異常は認めておりません。他に血液像という「顕微鏡」で赤血球などを確認する検査では、球状赤血球という丸い赤血球が多数観察されています。

 

今の時点ではまだわからないのですが、子供の頃に貧血とか黄疸を指摘されたことはありませんか?

 

Jさん:親に聞かないとわからないのですが、そういう話があったかもしれないのですが、特に調子が悪くなかったので放置してしまいました。

 

もし、よろしければ少し確認をしてみていただけますか?

 

こちらは追加の検査を少しさせていただきます。一つは浸透圧抵抗試験というもので、球状赤血球の場合は食塩水の濃度が減っていくと、溶血しやすいという特徴があります。正常な赤血球と比較して、溶血しやすいかどうかを食塩水の濃度を変えながら、判定します。もう一つ、自己溶血試験という検査も行います(溶血しないようにするのにかなり頑張らないといけないので、エネルギーが必要。グルコースを加えると溶血が改善)。

 

診断を確定させるのであれば、小児科領域の特殊な検査をお願いする必要がありますが、今はここまでで良いと思います。

 

また、脾臓の大きさや胆石の有無など、いくつか確認したいので、CT検査も行います。

 

Jさん:わかりました。

 

Jさんは子供の頃から黄疸や貧血を指摘されており、浸透圧抵抗試験や自己溶血試験も陽性で、他の溶血性貧血の診断基準には合致しなかったことから、球状赤血球症と診断されました。他の家族には同疾患は確認されず、30%ほどいる孤発症例と判断されました。

貧血、網状赤血球、黄疸のレベルからは中等症と判断され、胆石やかなりの脾腫を認めることから、胆嚢摘出+脾臓摘出のため外科に紹介となりました。

 


 

こんな感じでしょうか。

一般的な話として、この疾患は脾臓摘出を行えば症状は劇的に改善する(有効率は85.7%)とされています。軽症患者では脾臓摘出のメリットはほとんどないとも言われますが、中等症以上では一般に行います。

 

あと、遺伝性といいますが、30%は遺伝性ではなく、たまたまなることがあります。生まれついてそうなっているという意味では先天性ですが、遺伝ではないと・・・。わかりにくいでしょうか?

 

成人ではあまりみませんので、詳細は小児科の先生に・・・と思いますが、少しでもお役に立てればと思います。

 

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