AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

古代中国医師は気血水を、どう考えていたか

2006-05-04 | 古典概念の現代的解釈
 鍼灸古典を読んで常々思うことは、「これはこうだ、こうなっている」という記述に終始し、なぜそうなのかという疑問の手がかりがない、ということである。
気血水にしても同じである。一応古典派の間の共通認識を簡便に記すと、つぎのようになる。
 血:現在でいう血液と同一
 水:津液ともよぶ。血液以外の生理的体液
 気:気と水を動かすエネルギー

 では古代中国医師は、なぜそう考えたのだろうか。以下に私の個人的見解を述べる。血液を器に入れて放置(血沈検査と同じ)すると、上下二層に分かれる。現代では上層の淡黄色の液体は血漿成分、下層の暗赤色の液体は血球成分であることが知れているが、中国人は上層のは水、下層のは血だと考えた。
(また出血した血を放置すると、ペースト状に固まることを知り、瘀血のイメージを得た)

 二層に分かれたのは放置していたからであり、血液が動いていれば二層に分かれることはない。生体内では血液が循環しているから二層に分かれることはなく、血液を動かしている力を考え、気という概念を完成させたのだろう。その結論の正しさはともかくとして、観察による事実から論理的に考察していたと思われる。

 
気・血・水を、どう考えるべきかは、稿を改め、考察していきたい。