夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』第二章 義務と道徳 第四十節[人間の義務について]

2022年01月28日 | ヘーゲル『哲学入門』

§40

Der Mensch hat: 1) die wesentliche Bestimmung,(※1) ein Einzelner zu sein; 2) gehört er einem natürlichen Ganzen, der Familie, an; 3) ist er Glied(※2) des Staates; 4) steht er in Verhältnis zu anderen Menschen überhaupt. — Die Pflichten teilen sich daher in vier Gattungen: 1) in Pflichten gegen sich; 2) gegen die Familie; (※3)3) gegen den Staat und 4) gegen andere Menschen überhaupt.(※4)

第四十節[人間の義務について]

人間は、1)個人であることが存在としての宿命である。2)人間は一つの自然な総体に、つまり家族に属している。3)人間は国家の成員である。4)人間はあまねく他の人間との関係に立つ。 ⎯⎯⎯ したがって、義務は四つの種類に分かれる。1) 自己に対する義務。2)家族に対する義務。 3) 国家に対する義務、そして、 4) 他の人間一般に対する義務。


※1
die wesentliche Bestimmung,「存在としての宿命」と訳した。ふつう「本質的な規定」とも訳される。

※2
Glied 手足、肢体。 国家を有機体として捉えるとき、人間(個人)は国家の肢体である。

※3
「個人 → 家族 → 市民社会 → 国家」 と展開されるヘーゲルの『法の哲学』の構成から言えば、ここに市民社会における義務が来るはずであるが、ヘーゲルは項目を立てていない。しかし、実質的には職業における義務として第四十四節以下に論じている。

※4
自己に対する義務から始めているところがヘーゲルらしい。




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