§44
Was den bestimmten Beruf (※1) betrifft, der als ein Schicksal erscheint, so ist überhaupt die Form einer äußerlichen Notwendigkeit(※2) daran aufzuheben. Es ist mit Freiheit zu ergreifen und mit solcher auszuhalten und auszuführen.
第四十四節[職業と運命]
職業(Beruf)は、あたかも一つの 宿命 のように見えるが、定められた職業については一般にそれにかかわる一つの外的な必然性の形式は取り去らなければならない。職業は自由に選び、その職業を保持して果たさなければならない。
Erläuterung.
説明。
Der Mensch, in Rücksicht auf die äußerlichen Umstände des Schicksals und Alles, was er überhaupt unmittelbar ist, muss sich so verhalten, dass er dasselbe zu dem seinigen macht, dass er ihm die Form eines äußerlichen Daseins benimmt. Es kommt nicht darauf an, in welchem äußerlichen Zustande der Mensch sich durch das Schicksal befindet, wenn er das, was er ist, recht ist, d. h. wenn er alle Seiten seines Berufs ausfüllt.
人間は、宿命という外的な状況と、人間が一般に直接かかわるすべてのものに関しては、それらを自分自身のものに なるように行動し、外的にそこにある存在の形式を取り除くように振る舞わなければならない。もし人間が正しくあるならば、すなわち、自分の職業を全面的に果たし遂げるならば、運命によって彼がどのような外的な状況に置かれているのかはさして問題ではない。
Der Beruf zu einem Stande ist eine vielseitige Substanz. Er ist gleichsam ein Stoff oder Material, das er nach allen Richtungen hin durcharbeiten muss, damit dasselbe nichts Fremdes, Sprödes und Widerstrebendes in sich hat. Insofern ich es vollkommen zu dem Meinigen für mich gemacht habe, bin ich frei darin. Der Mensch ist vorzüglich dadurch unzufrieden, wenn er seinen Beruf nicht ausfüllt. Er gibt sich ein Verhältnis, das er nicht wahrhaft als das seinige hat. Zugleich gehört er diesem Stande an. Er kann sich nicht von ihm losmachen. Er lebt und handelt also in einem widerwärtigen Verhältnis mit sich selbst.(※3)
一つの立場に置かれた職業というのは多面的な実体である。それはいわば素材もしくは材料のようなものであり、全面において職業を果たし遂げることによって、それによって職業に何ら不慣れな点や粗雑さ、もしくは未熟な点のないようにしなければならない。私がそうして職業を自分のために完全に私自身のものとしている限り、そこでは私は自由である。人間は自分の職業を十分に果たさなければ、何より満たされない。
人間は本当に自分自身のものではないような関係の中に自身がおかれることがある。それは彼がその身分に属することと同じである。彼はその身分から自分を解放することはできない。したがって、彼は自分自身にとっては不本意な関係の中に生きかつ行為することになる。
(※1)
Beruf.
rufen 呼び出す。 be rufen ある者に呼び出されること。ある仕事に呼び出されること。
職業。「召命」が原意に近い。
(※2)
die Form einer äußerlichen Notwendigkeit
外的な必然性の形式=不自由のこと
Beruf が職業にかかわる「外的な必然性の形式」にとどまる限り、それは宿命であり、不自由である。人間にとって「宿命」とは本質的に不平等なものであり、それはとくに職業においてそうである。抽象的な平等論者は、その本質的な不平等を解消しようとして、具体性を破壊し生命そのものを殺してしまう。
(※3)
このことから、die Form einer innerlichen Notwendigkeit
「内的な必然性の形式」に従うことが「自由」である。
「必然性 Notwendigkeit」に「外的」と「内的」の二種のあることを明らかにして、内的な必然性に従うことをもってヘーゲルは「真の自由」であるとした。
「内的必然性」と「外的必然性」の相互の転化が当然に予想されている。また「偶然と必然」の他に「自由と必然」が対概念となる根拠もここにある。
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